ハッケシェ・ヘーフェ
ハッケシェ・ヘーフェ[1][2] (独: Hackesche Höfe) は、ドイツの複合施設。ベルリンのミッテ区に位置する、8つの中庭をもつ建物である[3]。ヘーフェ (Höfe) は、ドイツ語で中庭を意味するホーフ (Hof) の複数形[1]であり、ハッケシェ・ヘーフェはベルリンで最も規模の大きいヘーフェである[4]。
ハッケシェ・ヘーフェ | |
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情報 | |
用途 | 商業施設、共同住宅 |
旧用途 | 共同住宅 |
設計者 | クルト・ベルント |
竣工 | 1908年 |
所在地 | Rosenthaler Straße 40-41, 10178 Berlin |
座標 | 北緯52度31分26.6秒 東経13度24分7.0秒 / 北緯52.524056度 東経13.401944度座標: 北緯52度31分26.6秒 東経13度24分7.0秒 / 北緯52.524056度 東経13.401944度 |
ハッケッシェ・ヘーフェ[5]、ハケッシャ・ホーヘ[3]、ハッケシャー・ヘーフェ (Hackesher Höfe)[6]、ハッケッシェン・ヘーフェ (Hackeschen Höfe)[7]などの表記がある。
来歴
編集ハッケシェ・ヘーフェは、ガラス製品の製造業者が19世紀に土地を買い取り、アルト・バウと呼ばれる古い建物が建設されていた絶頂期に当たる1906年から1908年に建造された[6][8][9]。設計は、建築家のクルト・ベルント (Kurt Berndt) が手掛けた[10]。
建てられた当時、ヨーロッパ最大の集合住宅であり、ユダヤ人職人たちの住居やアトリエとして使われていた[11][12]。建物は戦争によって大きな被害を受けた。東ドイツ時代、表通りに面したファサードは改築されたが、多くの中庭は半壊した状態で放置されたままになるなど荒廃していた[13][14]。
1989年、建物を当初と同様のものに修復する事業計画が動き出す[14]。ベルリンの壁が崩壊した後、旧西ベルリンと比べて家賃が安かったこともあり、アーティストや若者はハッケシェ・ヘーフェの周辺に新しい住居を求めて集まり始めていた。ドイツ再統一後の1995年から改修が行われ[9]、その頃からショップなどが入り始める[4]。1997年に改修工事が完了し[11]、ハッケシェ・ヘーフェは今までにない新しい都市空間となり、やがてベルリンで最も熱気のあふれる場所といわれるまでになり、多くの観光客が訪れている[13][15]。
構造と用途など
編集路面電車の走るローゼンタール通り (de:Rosenthaler Straße) に正面の出入口があり、北側のソフィーエン通り (Sophienstraße) 側にも出入口があるので通り抜けができる[3][11]。
それぞれの中庭には、数字が割り当てられている。8つの中庭は、ファサードのデザインも建物の用途も異なっている[16]。建物の1階・2階部分には、中庭に面する形でカフェやショップ、ギャラリー、劇場、映画館などが設けられており、上階は、集合住宅として利用されている[6][17][18]。
ホーフⅠは、エンデルの中庭と呼ばれ、レストランなどが入っている。ユーゲント・シュティールの建築家アウグスト・エンデル (de:August Endell) が、この中庭を囲む建物のファサードをデザインした[19]。ホーフⅡは、シアターの中庭と呼ばれ、劇場やギャラリーがあり、その横にはカフェやショップなどがある[20]。ホーフⅢは、芸術の中庭と呼ばれる[19]。ホーフⅣは、泉の中庭と呼ばれ[19]、トリッペンの旗艦店(北緯52度31分29.5秒 東経13度24分05.4秒 / 北緯52.524861度 東経13.401500度)が入っている[1]。ホーフⅤは、栗の木の中庭と呼ばれ、アンペルマンショップの本店(北緯52度31分29.8秒 東経13度24分03.2秒 / 北緯52.524944度 東経13.400889度)が入っており[2]、中庭の中心には大きな栗の木がある[16]。ホーフⅥ、Ⅶ、Ⅷはそれぞれ、ソフィーエンの中庭、職人の中庭、住宅の中庭と呼ばれる[19]。
交通アクセスと周辺
編集ハッケシャー・マルクト駅から徒歩3分[1]。ヴァインマイスターシュトラーセ駅 (de:U-Bahnhof Weinmeisterstraße) から徒歩5分[2]。
周辺には、ペルガモン博物館、ボーデ博物館、旧博物館、新博物館、旧国立美術館を擁するムゼウムスインゼルの他、ベルリン大聖堂、ベルリンテレビ塔などがある[21]。
脚注
編集- ^ a b c d 『るるぶドイツ』 2015, p. 108.
- ^ a b c 『地球の歩き方』 2014, p. 83.
- ^ a b c 『路地研究』 2013, p. 209.
- ^ a b 坪井由美子. “ベルリンの人気観光スポット ハッケシャー・ホーフ”. オールアバウト. 2018年11月11日閲覧。
- ^ 『新ドイツの街角から』 2011, p. 23.
- ^ a b c 金田真聡. “ベルリンの中庭” (PDF). 法政大学建築同窓会. 2018年11月10日閲覧。
- ^ 『ことりっぷ』 2018, p. 60.
- ^ “科学研究費助成事業 研究成果報告書” (PDF). 国立情報学研究所. 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b “美感都市のまちづくり戦略”. 京都新聞. 2018年11月11日閲覧。
- ^ “独・アイウェアブランドMYKITA(マイキータ)が新社屋を発表”. A.KA Tokyo (2014年10月8日). 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b c 『地球の歩き方』 2014, p. 67.
- ^ 小林将輝 (2015年11月5日). “観光研修実施報告(2)ドイツ、ベルリンの博物館島”. 駿河台大学. 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b 『路地研究』 2013, p. 214.
- ^ a b “老朽化した団地再生、集合住宅の再生手法と中心市街地活性化を学ぶ旅(ドイツ編)”. シー・ムーン企画. 2018年11月11日閲覧。
- ^ “観光の国 ドイツ こんなに面白かったんだ!自然も歴史もメルヘンも!!”. 朝日新聞社 (2013年11月6日). 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b 『路地研究』 2013, p. 213.
- ^ “巡検内容” (PDF). 東京学芸大学. 2018年11月11日閲覧。
- ^ “第38回海外住宅・都市開発事情視察” (PDF). 公益社団法人 全国市街地再開発協会. 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b c d 『路地研究』 2013, p. 210.
- ^ 『路地研究』 2013, p. 211.
- ^ 『地球の歩き方』 2014, p. 42.
参考文献
編集- 高橋憲『新ドイツの街角から ドイツ文化事情』郁文堂、2011年。ISBN 978-4-261-01240-8。
- 上田篤、田端修『路地研究 もうひとつの都市の広場』鹿島出版会、2013年。ISBN 978-4-306-09423-9。
- 『フランクフルト・ベルリン ハンブルク ことりっぷ 海外版』昭文社、2018年。ISBN 978-4-398-15462-0。
- 『るるぶドイツ ロマンチック街道』JTBパブリッシング、2015年。ISBN 978-4-533-10623-1。
- 地球の歩き方編集室編『地球の歩き方 2014~15 ベルリンと北ドイツ』ダイヤモンド・ビッグ社、2014年。ISBN 978-4-478-04539-8。