ハカワラタケ
ハカワラタケ(歯瓦茸[3]、学名: Trichaptum biforme)は、タマチョレイタケ科シハイタケ属の小型から中型のキノコ(菌類)で、白色腐朽菌である。
ハカワラタケ | ||||||||||||||||||||||||
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Trichaptum biforme
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Trichaptum biforme (Fr.) Ryvarden [1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハカワラタケ(歯瓦茸) |
生態
編集白色腐朽菌[3]。一年を通じて発生し、広葉樹林の枯れ木や朽木の上に重なり合って群生する[3][1]。極めて普通に見られるキノコで、広葉樹の枯れ木の表面に多数の子実体が屋根瓦状に広がる[3]。
形態
編集子実体は傘のみで柄がなく、扇形からへら形または半円形で、質は薄い[3][2]。傘の幅は1 - 6センチメートル (cm) 、厚さは1 - 3ミリメートル (mm) [2]。傘表面は灰白色から淡い灰褐色、あるいは淡い材木色などで、ほぼ無毛か微毛を密生し、同心円状に環紋がある[3][1][2]。傘の縁部は薄くて鋭く、乾くと下部へ強く曲がり[2]、幅狭く紫色に色づく[3]。傘裏は帯紫色から薄紅色、はじめは浅い管孔状で、のちに孔壁が深く裂けて薄い歯牙状になる[3][1]。若いときの管孔の長さは0.5 - 1.5 mmほど[2]。成長するに従って、管孔面は色褪せて淡褐色から灰褐色になり[2]、傘裏の歯が目立つことが多い[3]。肉は白色で、強靱な革質[2]。
胞子は大きさ5 - 7 × 2 - 2.5マイクロメートル (μm) の少し曲がった長楕円形で、無色で平滑[2]。子実層には少数のシスチジアがあり、シスチジアは幅4 - 5 μmの紡錘形で先端に結晶を付けることがある[2]。
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広葉樹の枯木や朽木に重生する
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傘表面、この個体は縁の紫色が目を引く
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傘裏の管孔面
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管孔面は薄い歯牙状になる
近似するキノコ
編集変異が大きく、近縁種との識別が難しいといわれている[3]。形がよく似て区別が難しい種として、同属のシハイタケ(Trichaptum abietinum)やウスバシハイタケ(Trichaptum hollii)が挙げられ、これらはアカマツやモミ、トドマツなどの針葉樹に生じる[3]。シハイタケはマツ・トウヒ類に発生し、表面は灰白色、管孔面ははじめすみれ色で、のちに色褪せる[1]。ウスバシハイタケはシハイタケに酷似するが、モミ属の木に発生し、傘はやや大形になり、膠質を帯びる[1][2]。
傘裏が紫色にならず、白くなるシロハカワラタケ(Trichaptum elongatum)も普通に見られる[3]。シロハカワラタケはしばしば別種として扱われてきたが、ハカワラタケとは連続的であり、ときに区別が困難である[1]。管孔部の色以外にも胞子の大きさなどにも変異があり、今後の分類学的検討が必要といわれている[1]。
脚注
編集参考文献
編集- 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。
- 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5。
- 今関六也・本郷次雄『続原色日本菌類図鑑』保育社、1965年3月5日。ISBN 4-586-30042-6。