トウヒ
トウヒ(唐檜、学名:Picea jezoensis var. hondoensis)は、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹。
トウヒ | ||||||||||||||||||||||||
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トウヒ(南アルプス仙丈岳、2007年8月)
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LOWER RISK - Least Concern (IUCN Red List Ver.2.3 (1994)) (Picea jezoensis エゾマツのカテゴリ)
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分類(新エングラー体系) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Picea jezoensis (Sieb. & Zucc.) Carriére var. hondoensis (Mayr) Rehde[2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
Picea jezoensis subsp. hondoensis[3] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
トウヒ(唐檜) | ||||||||||||||||||||||||
品種 | ||||||||||||||||||||||||
北海道および北東アジアに広く分布する、エゾマツの変種。本州の紀伊半島大台ヶ原から中部山岳地帯を経て福島県の吾妻山までの、海抜1,500-2,500 mにかけての亜高山帯に分布する。
特徴
編集更新世前期に本土まで南下して本州の広い範囲に分布を広げたエゾマツが、氷期の終わりとともに本州中部の山岳地に取り残された群落の子孫であると考えられている。ただし、ミトコンドリアDNA分析によると、トウヒにもっとも近縁な集団は北海道のものではなく朝鮮半島・中国東北のエゾマツ(変種チョウセントウヒ)である。このことから、トウヒの祖先は北海道のエゾマツが東北地方経由で南下したのではなく、中国東北~朝鮮半島のチョウセントウヒが朝鮮半島~西日本経由で分布を広げたことが示唆されている。[5]
最終氷期には現在より広い範囲に分布していたが、現在は吾妻山より北の東北には分布しない。これは、トウヒがあまり大量の積雪には弱く、この地域の山岳が世界有数の多雪地域であるためと考えられる(最終氷期の日本は、現在より寒冷だが降雪量も少なかったと推定されている)。
本州のトウヒ属の中ではもっとも分布域が広く、数も多いが、それでも亜高山帯林の中ではモミ属と比べるとかなり少数派である。ただし、倒木を苗床にして稚樹が育つ倒木更新によって生育する場合が多いため、1カ所に数本がかたまって自生している場合が多い。大台ヶ原では、日本では珍しいトウヒの純林があるが、鹿の食害のため危機に瀕している。
亜高山帯の主要樹種であるモミ属のシラビソ・オオシラビソより、一般に寿命が長く、大木となる例が多い。樹高は大きいものでは40 m、幹の太さ1 m以上となる場合もある。樹皮は灰褐色。葉の断面は扁平で、長さは7-15 mm程度。球果は長さ3-6 cmほどである。
脚注
編集- ^ Conifer Specialist Group 1998. Picea jezoensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis var. hondoensis
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis subsp. hondoensis
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - Picea jezoensis var. hondoensis f. ozeensis オゼトウヒ
- ^ 逢沢峰昭「シリーズ:日本の森林樹木の地理的遺伝構造(3)エゾマツ類(マツ科トウヒ属)」(PDF)『森林遺伝育種』第2巻、第3号、森林遺伝育種学会、104-108頁、2013年7月25日。doi:10.32135/fgtb.2.3_104。ISSN 2187-3453 。
- ^ 『暮らしを支える植物の事典』 八坂書房、239頁。