ノーフォーク伯爵
ノーフォーク伯爵(英語: Earl of Norfolk)は、イングランド貴族の伯爵位。
過去に4回創設されており、現在の第4期のノーフォーク伯爵位はノーフォーク公爵ハワード家によってノーフォーク公爵位の従属爵位として世襲されている。2014年現在のノーフォーク伯爵はエドワード・フィッツアラン=ハワード(第18代ノーフォーク公爵・第16代ノーフォーク伯爵)である。
歴史
編集第1期のノーフォーク伯爵はラルフ・ド・ガーダー(1040頃–1096頃)が保有したが、反逆によって剥奪されたと見られる[1]。第2期のノーフォーク伯爵は1141年にヒュー・ビゴッド(1095–1177)が叙されたのにはじまり、1306年に5代伯爵ロジャー(-1306)が子供無く死去するまで続いた[2][3][4]。
第3期のノーフォーク伯爵はエドワード1世の庶子トマス・オブ・ブラザートン(-1338)が1312年に叙されたのにはじまる[2][5]。この爵位はトマスの娘マーガレット(-1399)に継承され(彼女は後にノーフォーク女公爵にも叙される)、その後彼女の娘エリザベスの子トマス・ド・モウブレー(1365–1399)(後に初代ノーフォーク公爵に叙される)に継承された[2]。彼はヘレフォード公ヘンリー(ヘンリー4世)との決闘騒ぎを起こして1399年にノーフォーク公爵位を剥奪されたが、第4代ノーフォーク伯爵はその息子トマス(1385–1405)が継承した。
トマスもヘンリー4世に反抗して処刑されたが、弟の第5代ノーフォーク伯爵ジョン(1392–1432)が1424年にノーフォーク公爵位復権が認められたことで、以降モウブレー家がノーフォーク公爵位の従属爵位として継承した[6]。第4代ノーフォーク公爵・第7代ノーフォーク伯爵ジョン(1444-1476)の死でノーフォーク公爵位は絶えたが、ノーフォーク伯爵位はジョンの娘でエドワード4世の庶子ヨーク公リチャードと結婚したアン・ド・モウブレー(1472–1481)まで継承されたと見られる[7]。
第4期は第21代アランデル伯爵トマス・ハワード(1585–1646)が1644年に叙されたのに始まる[8]。その孫である第23代アランデル伯爵・第3代ノーフォーク伯爵トマス(1627-1677)が第5代ノーフォーク公爵位に復権したため、以降ノーフォーク伯爵位はノーフォーク公爵位の従属爵位の一つとしてハワード家に世襲される。2014年現在のノーフォーク伯爵はエドワード・フィッツアラン=ハワード(1956-)(第18代ノーフォーク公爵・第16代ノーフォーク伯爵)である。
歴代ノーフォーク伯爵
編集ノーフォーク伯爵(及びサフォーク伯爵)第1期
編集- ラルフ・ド・ガーダー(1040年頃 - 1096年頃)(1074年剥奪)
ノーフォーク伯爵 第2期(1141年)
編集- ヒュー・ビゴッド (初代ノーフォーク伯爵)(1095年 - 1177年)
- ロジャー・ビゴッド (第2代ノーフォーク伯爵)(- 1221年)
- ヒュー・ビゴッド (第3代ノーフォーク伯爵)(- 1225年)
- ロジャー・ビゴッド (第4代ノーフォーク伯爵)(- 1270年)
- ロジャー・ビゴッド (第5代ノーフォーク伯爵)(- 1306年)
ノーフォーク伯爵 第3期(1312年)
編集- トマス・オブ・ブラザートン (初代ノーフォーク伯爵)(1312年 - 1338年)
- マーガレット (ノーフォーク女公爵・第2代ノーフォーク女伯爵)(1338年 - 1399年)
- トマス・ド・モウブレー (初代ノーフォーク公爵・第3代ノーフォーク伯爵)(1365年 - 1399年)(1399年ノーフォーク公爵剥奪)
- トマス・ド・モウブレー (第4代ノーフォーク伯爵)(1385年 - 1405年)
- ジョン・ド・モウブレー (第2代ノーフォーク公爵・第5代ノーフォーク伯爵)(1392年 - 1432年)(1425年ノーフォーク公爵復権)
- ジョン・ド・モウブレー (第3代ノーフォーク公爵・第6代ノーフォーク伯爵)(1415年 - 1461年)
- ジョン・ド・モウブレー (第4代ノーフォーク公爵・第7代ノーフォーク伯爵)(1444年 - 1476年)(1476年ノーフォーク公爵休止)
- アン・ド・モウブレー (第8代ノーフォーク女伯爵)(1472年 - 1481年)
ノーフォーク伯爵 第4期(1644年)
編集- トマス・ハワード (第21代アランデル伯爵・初代ノーフォーク伯爵)(1585年 - 1646年)
- ヘンリー・ハワード (第22代アランデル伯爵・第2代ノーフォーク伯爵)(1608年 - 1652年)
- トマス・ハワード (第5代ノーフォーク公爵・第3代ノーフォーク伯爵)(1627年 - 1677年)(1660年ノーフォーク公爵復権)
以降ノーフォーク公爵位の従属爵位として現在まで続く。2014年現在のノーフォーク伯爵は第18代ノーフォーク公爵エドワード・フィッツアラン=ハワード(1956年 - )(ノーフォーク伯爵としては16代)である。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ Stephen, Leslie; Lee, Sidney, eds. (1890). . Dictionary of National Biography (英語). Vol. 23. London: Smith, Elder & Co. pp. 314–315.
- ^ a b c 森(1987) p.22
- ^ Lundy, Darryl. “Hugh Bigod, 1st Earl of Norfolk” (英語). thepeerage.com. 2014年11月26日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Roger le Bigod, 5th Earl of Norfolk” (英語). thepeerage.com. 2014年11月26日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Thomas of Brotherton, Earl of Norfolk” (英語). thepeerage.com. 2014年11月26日閲覧。
- ^ 森(1987) p.22-24
- ^ Tait, James (1894). Lee, Sidney (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 39. London: Smith, Elder & Co. pp. 222–226. . In
- ^ Lundy, Darryl. “Thomas Howard, 21st Earl of Arundel” (英語). thepeerage.com. 2014年11月26日閲覧。
参考文献
編集- 森護『英国の貴族 遅れてきた公爵』大修館書店、1987年。ISBN 978-4469240979。