ニュージャージーサメ襲撃事件
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ニュージャージーサメ襲撃事件 (Jersey Shore shark attacks of 1916) は、1916年にアメリカ合衆国ニュージャージー州で発生したサメによる獣害事件。ピーター・ベンチリーが「ジョーズ」を執筆した際に題材とした事件と言われている(ディスカバリーチャンネル『実話!映画「ジョーズ」』)。
大西洋湾岸での襲撃事件
編集1916年7月1日、ニュージャージー州のリゾート地の海岸で、遊泳中の男性がサメに襲われて死亡した。しかし、当時の海洋生物学者の間ではサメが人を襲うものとの認識はなく、人を襲う可能性があるホオジロザメは、北半球の冷たい海には住めないと考えられていたので、サメではなく他の生物が原因ではないかと学者は主張した。
それから5日後の7月6日。40マイル(約64キロメートル)離れた海岸で、今度はホテルの従業員が泳いでいた所をサメに襲われた。ライフガードがすぐに助けだしたが、その従業員は両足を喰いちぎられていて、まもなく死亡した。この事件では足を失った彼を多くの人が目撃し、新聞が大々的に報じたことから、海水浴客が訪れなくなり、現地の観光産業は大きな打撃を受けることになった。
マタワン川での襲撃事件
編集2人目の犠牲者が出てから6日後の7月12日。今度は海でなく淡水の川にサメが現れて人を襲った。2回目の襲撃現場から30マイル(約48キロメートル)北にあるラリタン湾にそそぐマタワン川の河口から16マイル(約26キロメートル)遡った上流の桟橋で、近所の少年達が泳いで遊んでいた。突然、1人の少年が水中に沈み、水面は渦を巻き血で赤く染まっていった。残りの少年達は陸に上がり、「サメに襲われた」と大人達に助けを求めた。現場に駆けつけた中から大人が数人水に入り、少年を捜索したが水が濁って見つからない。いったん上がろうとしたが、捜索に加わった一人スタンレー・フィッシャーが最後にもう一度確認しようと深く潜ると、川底でサメが少年をくわえているのを発見した。
フィッシャーは勇敢にもサメに殴りかかり少年を離させることに成功したが、今度は自身がサメに襲われ足を噛まれた。フィッシャーは桟橋から他の大人によって救出されたものの重傷を負い出血が酷く、車では揺れて危険だからと鉄道で50キロメートル離れた病院に運んだものの治療のかいなく死亡した。4人目が襲われた直後、近くで騒ぎを知らず泳いでいた少年にもサメは襲いかかり、1人の足に大怪我をさせている。少年は一時足の切断は免れないと思われたが、奇跡的に回復している。最初に襲われた少年の遺体は後日発見された。
2人の死者と1人の重傷者を出したマタワンの住人達は怒りと復讐心に沸き立ち、サメに懸賞金をかけ、連日ダイナマイトを川に投げ込むなどしてサメを捜索したが、見つかることはなかった。
サメの捕獲
編集マタワンの襲撃から2日後の7月14日。海上で漁をしていた剥製業者の船の網に、2.5mほどのホオジロザメがかかった。殺して持ち帰り、剥製業者がサメの胃を裂くと、中から人間の骨と思われるものが出てきた。このことから、このホオジロザメが一連の襲撃事件の犯人であるとされ、騒動は終息することになった。このサメが1匹で4人を死亡させ、1人に重傷を負わせたのかどうかは不明だが、捕獲以降、人間が襲われることは無くなった。ただし、マタワン川で3人を襲ったサメは、淡水域でも生息できるオオメジロザメではないかという意見もあり、実際にオオメジロザメも人を襲うことがある。