ニコレット・ラーソン
ニコレット・ラーソン(Nicolette Larson、1952年7月17日 - 1997年12月16日[1][2])は、アメリカ合衆国の歌手。1978年にワーナー・ブラザース・レコードからソロ・デビューを果たし、1980年代中期にはカントリーの分野でも活動した。
ニコレット・ラーソン Nicolette Larson | |
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ニコレット・ラーソン(1985年) | |
基本情報 | |
生誕 | 1952年7月17日 |
出身地 | アメリカ合衆国 モンタナ州ヘレナ |
死没 | 1997年12月16日(45歳没) |
ジャンル | ロック、ポップス、ソフトロック、カントリー |
職業 | 歌手 |
担当楽器 | ボーカル、ギター、パーカッション |
レーベル |
ワーナー・ブラザース・レコード MCAレコード ソニー・ワンダー |
共同作業者 |
コマンダー・コディ&ヒズ・ロスト・プラネット・エアメン ニール・ヤング マイケル・マクドナルド スティーヴ・ウォリナー |
来歴
編集モンタナ州ヘレナで生まれ[1][2]、ミズーリ州カンザスシティで育った[3]。
サンフランシスコを拠点として歌手活動を始め、1975年よりコマンダー・コディ&ヒズ・ロスト・プラネット・エアメンのレコーディングやツアーに参加した[1]。その後、ロサンゼルスに移ってセッション・シンガーとしての活動を始め[1]、1977年までにホイト・アクストン、ジェシ・ウィンチェスター、エミルー・ハリス、ジェシ・コリン・ヤング、ニール・ヤング、ロドニー・クロウェル等のレコーディングに参加した[4]。
1978年にワーナー・ブラザース・レコードとの契約を得て、テッド・テンプルマンのプロデュースによるデビュー・アルバム『愛しのニコレット』を発表。同アルバムからは、ニール・ヤングが提供したシングル曲「溢れる愛」がBillboard Hot 100で8位を記録するヒットとなった[1]。2作目のアルバム『愛の季節』(1979年)からは、マイケル・マクドナルドとのデュエット曲「愛にさよならを」が全米トップ40入りしているが[1]、『愛の季節』、『レディオランド』(1980年)、『オール・ドレスト・アップ&ノー・プレイス・トゥ・ゴー』(1982年)は、デビュー・アルバムほどの成功を収められなかった[2]。
1983年、MCAレコードへ移籍[1]。1984年にはアカデミー・オブ・カントリーミュージックによって最優秀新人女性ボーカリスト賞を授与され、翌年キャリア初のカントリー・アルバム『セイ・ホエン』をリリースし[1]、『ビルボード』のカントリー・アルバム・チャートで48位に達した[5]。次作『ローズ・オブ・マイ・ハート』(1986年)はカントリー・アルバム・チャートで40位を記録し[5]、同アルバムからのシングル「That's How You Know When Love's Right」(スティーヴ・ウォリナーとのデュエット)は、『ビルボード』のカントリー・チャートで9位に達した[6]。
1987年のアルバム『Shadows of Love』は、イタリアで録音された[1]。1988年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『ツインズ』には、ナイトクラブの歌手として出演し[2]、同作のサウンドトラック・アルバムには、ジェフ・ベック、トニー・ハイマス、テリー・ボジオとの共演による「I'd Die for This Dance」が収録された[7]。
1990年、セッション・ドラマーとして知られるラス・カンケルと結婚[2]。その後、旧友ニール・ヤングとのコラボレーションを再開し、『ハーヴェスト・ムーン』(1992年)、ライブ・アルバム『アンプラグド』(1993年)にゲスト参加した[4]。1994年には、カンケルとの間の娘に捧げられた子供向け楽曲のアルバム『スリープ、ベイビー、スリープ』をソニー・ワンダーから発表しており[2]、同作にはデヴィッド・クロスビー、リンダ・ロンシュタット、グラハム・ナッシュがゲスト参加した[8]。
私生活
編集1970年代、エミルー・ハリスとの初期の仕事を通じて、ラーソンはギタリストでソングライターのハンク・デヴィートと知り合った。ラーソンとデヴィートは後に結婚し、離婚した。また、カムズ・ア・タイムのセッション中にニール・ヤングと交際した。1980年代初頭、ラーソンはアンドリュー・ゴールドと婚約したが、ゴールドがプロデュースした1982年のアルバム『All Dressed Up and No Place to Go』の完成直後に破局。1980年代後半、彼女は "ウィアード・アル"・ヤンコヴィックと短期間交際した[9]。ヤンコヴィックは後に、1992年のアルバム『Off the Deep End』でラーソンの作品をパロディにした「You Don't Love Me Anymore」を作曲した。1990年、ラーソンはドラマーのラス・カンケルと結婚。夫妻の娘、エルシー・メイ・ラーソン・カンケルは1990年に生まれた[10]。
死去
編集1997年12月16日、ロサンゼルスで死去[1][2]。死因は肝不全に起因する脳浮腫であった[3][11]。
ラーソンの訃報に際し、グラハム・ナッシュは「我々はこのニュースを聞いて、本当に打ちのめされた。音楽にとって極めて悲しい日だ」とコメントしている[11]。そして、1998年2月21日から22日にかけてサンタモニカで開催されたラーソンの追悼コンサートには、ダン・フォーゲルバーグ、ジョー・ウォルシュ、リトル・フィート、ボニー・レイット、キャロル・キング、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、クロスビー、スティルス&ナッシュ、ジミー・バフェット等が参加し、その時の模様は2006年にライブ・アルバム『A Tribute to Nicolette Larson: Lotta Love Concert』として発売された[12]。
ディスコグラフィ
編集スタジオ・アルバム
編集- 『愛しのニコレット』 - Nicolette (1978年) ※全米15位[13]
- 『愛の季節』 - In the Nick of Time (1979年) ※全米47位[13]。旧邦題『イン・ザ・ニック・オブ・タイム』
- 『レディオランド』 - Radioland (1980年) ※全米62位[13]
- 『オール・ドレスト・アップ&ノー・プレイス・トゥ・ゴー』 - All Dressed Up & No Place to Go (1982年) ※全米75位[13]。旧邦題『天使のように』
- 『セイ・ホエン』 - ...Say When (1985年)
- 『ローズ・オブ・マイ・ハート』 - Rose of My Heart (1986年)
- Shadows of Love (1987年)
- 『スリープ、ベイビー、スリープ』 - Sleep, Baby, Sleep (1994年)
ライブ・アルバム
編集- 『ライヴ・アット・ロキシー』 - Live at the Roxy (2006年) ※1978年録音
コンピレーション・アルバム
編集- 『ヴェリー・ベスト・オブ・ニコレット・ラーソン』 - The Very Best of Nicolette Larson (1999年)
- 『ロッタ・ラヴ〜ベスト・オブ・ニコレット・ラーソン』 - Lotta Love: The Very Best Of Nicolette Larson (2015年)
シングル
編集- 「溢れる愛」 - "Lotta Love" (1978年) ※全米8位[14]
- 「ルンバ・ガール」 - "Rhumba Girl" (1979年) ※全米47位[14]
- 「ギヴ・ア・リトル」 - "Give a Little" (1979年)
- "Let Me Go, Love" (1979年) ※with マイケル・マクドナルド。全米35位[14]
- 「ダンシン・ジョーンズ」 - "Dancin' Jones" (1980年)
- "Back in My Arms" (1980年)
- 「ウー・イー」 - "Ooo-Eee" (1981年)
- "When You Come Around" (1981年)
- "Radioland" (1981年)
- "Fool Me Again" (1981年)
- 「ふたりだけのデート」 - "I Only Want to Be with You" (1982年) ※全米53位[14]
- "Only Love Will Make Love Right" (1985年)
- "When You Get a Little Lonely" (1985年)
- "Building Bridges" (1985年)
- "Let Me Be the First" (1986年)
- "That's How You Know When Love's Right" (1986年) ※with スティーヴ・ウォリナー
- "That's More About Love (Than I Wanted to Know)" (1986年)
- "Let Me Be the One" (1988年)
脚注・出典
編集- ^ a b c d e f g h i j Erlewine, Stephen Thomas. “Nicolette Larson - Biography & History”. AllMusic. 2017年11月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g Perrone, Pierre (1997年12月27日). “Obituary: Nicolette Larson”. The Independent. Independent News & Media. 2017年11月26日閲覧。
- ^ a b “Singer Nicolette Larson Dies”. MTV News (1997年12月18日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ a b Nicolette Larson | Credits | AllMusic
- ^ a b “Nicolette Larson Chart History - Top Country Albums”. Billboard. 2017年11月26日閲覧。
- ^ “Nicolette Larson Chart History - Hot Country Songs”. Billboard. 2017年11月26日閲覧。
- ^ Various - Twins (Music From The Original Motion Picture Soundtrack) (CD) at Discogs
- ^ “Sleep, Baby, Sleep - Nicolette Larson - Credits”. AllMusic. 2017年11月26日閲覧。
- ^ Yankovic, Weird Al. “Ask Al | "Weird Al" Yankovic”. "Weird Al" Yankovic. September 7, 2016閲覧。
- ^ Perrone, Pierre (December 27, 1997). “Obituary: Nicolette Larson”. The Independent. January 14, 2016閲覧。
- ^ a b Cramer, Christina (1997年12月18日). “Music World Says Goodbye To Nicolette Larson”. Rolling Stone. 2017年11月26日閲覧。
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “A Tribute To Nicolette Larson: Lotta Love Concert - Various Artists”. AllMusic. 2017年11月26日閲覧。
- ^ a b c d “Nicolette Larson Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2017年11月26日閲覧。
- ^ a b c d “Nicolette Larson Chart History - Hot 100”. Billboard. 2017年11月26日閲覧。