ナタマメ
ナタマメ(鉈豆[3]、学名: Canavalia gladiata)はマメ亜科の蔓性の一年草。原産地は熱帯アジアまたはアフリカ。刀豆(トウズ、タチマメ、ナタマメ)、帯刀(タテハキ)ともよばれる。日本へは江戸時代に渡来。約25センチメートルほどの豆果を結ぶ[1]。以前から漢方薬として知られており、近年では健康食品、健康茶としても一般的に知られるようになった[3]。
ナタマメ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Canavalia gladiata (Jacq.) DC. (1825)[2] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
sword bean |
歴史
編集アジアかアフリカの熱帯原産とされ[1]、食用や薬用として栽培される。日本には江戸時代初頭に清から伝わった。特に薩摩では江戸時代から栽培が盛んで[3]、NHK大河ドラマ『篤姫』のワンシーンでも長旅の無事を祈る餞別として送られていた。福神漬の材料にもなる[3][1]。
生態
編集夏に白またはピンク色の蝶形の花を咲かせる。その後、結実するが、実の莢は非常に大きく、大きなものでは30 - 50センチメートル (cm) で[3]、幅が5cmほどになる。葉は長い柄のある3出複葉で大型である。莢果は11月頃。別名の「タテワキ(帯刀)」は、この莢の形に由来する[1]。
産地
編集利用
編集熱帯アジアやアフリカで食用や薬用に用いられており[3]、日本でも福神漬・健康茶・民間薬・メッセージ缶(種子にレーザーで文字を彫ったもの)などに利用される。食用としては、若い莢を食べることが多く、炒め物、煮物、漬物にすることが一般的である[3]。福神漬に用いられる[4]。薬効を目的にした場合は、豆を利用することが多い。完熟した豆は、主にお茶として用いられる[3]。
豆の栄養素は、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富である[3]。ナタマメから作る茶の薬効としては、血行促進や免疫力の向上などのさまざまな効果があるほか、アレルギー性鼻炎、口臭の緩和によいといわれている[3]。昔から排膿(膿を出す)の妙薬といわれており、腎臓に良く、蓄膿症、歯周病や歯槽膿漏の改善、痔ろうなどにも効果がある。他の野菜の病害虫の防止用として周囲に植えられることもある。
コンカナバリンAはナタマメにしか存在しないレクチンであり、植物レクチンの代表例として知られる。生物工学の分野ではT細胞のマイトジェンなどとして広く使われている。
毒性
編集豆類全般にいえることだが、ナタマメにも毒がある。とくにタカナタマメ・タチナタマメには毒が多い。食用とするのはアカナタマメ(赤豆)・シロナタマメ(白豆)といわれる品種で、アカナタマメにはわずかな毒性があるが、焙煎加工されたものは副作用がない[3]。粗悪な健康茶などには注意が必要。また、メッセージ缶に用いられるものは食用に適さない品種が使われており、食べることはできない。サポニン・青酸配糖体・有毒性アミノ酸のコンカナバリンAやカナバニンなどの毒素が含まれている。
カナバニンは、アルギニンに類似した構造を持ち、アルギニンの機能を阻害しアンモニアが蓄積する有害作用があり、多くの昆虫がナタマメを避けるので虫害が少ない[5]。
種類
編集- タカナタマメ(Canavalia cathartica Thouars)
- 南西諸島、台湾、中国南部、インド、東南アジアに分布。
- 蔓性の多年草で大型。海岸近くに生育する。
- タチナタマメ/ジャック・ビーン(Canavalia ensiformis (L.) DC., Jack-bean)
- 立性の多年草で大型。
- アカナタマメ/ソード・ビーン (Canavalia gladiata, Sword Bean)
- シロナタマメ/ソード・ビーン (Canavalia gladiata (Jacq.) DC. f. alba (Makino) Ohashi, Sword Bean)
- ハマナタマメ (Canavalia lineata (Thunb.) DC.)
- 本州(千葉県山形県以西)/四国/九州、南西諸島/小笠原諸島に分布。
- 蔓性の多年草で小型。熱帯/亜熱帯の海岸近くに生育する。
- ナガミハマナタマメ/ベイ・ビーン(Canavalia rosea (Sw.) DC., Bay Bean)
- 九州以南、亜熱帯、熱帯に分布。
- 汎熱帯海流散布植物(熱帯域で海流により地球一周規模の分布)。
脚註
編集- ^ a b c d e “Weblio三省堂大辞林「なた まめ [0] 【鉈▼豆・刀▽豆】」”. 2018年8月10日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Canavalia gladiata (Jacq.) DC. ナタマメ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 139.
- ^ 星川清親『新編 食用作物』訂正第5版、養賢堂、1985年5月10日、548頁。
- ^ 藤井義晴「未利用植物の有効利用と調理科学への期待」、『日本調理科学会誌』Vol. 41 (2008) No. 3 pp. 204-209
参考文献
編集- 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、139頁。ISBN 978-4-415-30997-2。