ナイラ証言
ナイラ証言(ナイラしょうげん、Nayirah testimony)とは、イラクによるクウェート侵攻の後、「ナイラ」を名乗る少女が行った証言。
イラク軍兵士がクウェートにおいて、新生児を死に至らしめていると涙ながらに述べたこの証言により、国際的に反イラク感情とイラクへの批判が高まり、湾岸戦争の引き金ともなった。しかし後に「ナイラ」なる女性は存在せず、クウェート・アメリカ政府の意を受けた反イラク扇動キャンペーンの一環であったことが判明し、今ではプロパガンダの一例としてしばしば取り上げられる。
概要
編集「ナイラ」なる女性(当時15歳)が1990年10月10日アメリカ合衆国議会議会人権委員会にて行った。イラクによるクウェート侵攻後、「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置し、死に至らしめた」、その経緯を涙ながらに語った事で知られる。国際的な反イラク感情とイラクへの批判が高まって、無関係に近かったアメリカを中心にイラクへの攻撃支持世論が喚起されることとなる。
「証言」は裏付けの取れたものと国際的に認識されていたが、クウェート解放以後マスコミが同国内に入り取材が許された結果、虚偽の「証言」であった事が発覚した。また、1992年に「ナイラ」なる女性は苗字がアッ=サバーハ(al-Ṣabaḥ、アラビア語:الصباح)であり、当時クウェート駐米大使であったサウード・アン=ナーセル・アッ=サバーハの娘だった事実が明らかになった。その上、証言自体がイラクから攻撃を受けて劣勢だったクウェート政府とヒル・アンド・ノウルトンによる自由クウェートのための市民運動の反イラク国際世論扇動のために行った広報キャンペーンの一環であったことが判明した。アメリカ合衆国大統領、上院議員や、各国のマスメディアに「証言」は幾度となく引用され、反イラク世論喚起どころか世論の高まりを受けたアメリカ参戦で敵対国イラク壊滅などクウェート政府によるプロパガンダとして大成功であった。この「証言」はアメリカ政府が目的としていた湾岸戦争の火付け役となり、「女性や子供の証言」「現地で現場を見た被害者は嘘をつかない」との人々の根強い思い込みを背景に、弱者側[注釈 1]が女性又は子供を利用したプロパガンダの例として引用される[1]。
背景
編集新生児についての証言
編集イラク軍が爆弾や銃で民衆を襲撃しています。また、全ての病院施設に押し入り、新生児を連れ出しています。生命維持装置は切られています。抵抗したり、クウェート軍や警察と一緒にいる所が見つかれば、拷問を受けかねません。 |
—Evacuee's description as reported in St. Louis Post-Dispatch[2] |
イラクによるクウェート侵攻及び占領以後、これに乗じた略奪行為が数多く報じられた。その最中の1990年9月2日、ハビエル・ペレス・デ・クエヤル国連事務総長宛に、モハンマド・A・アブハッサン同クウェート代表から、次のような一通の手紙が届けられた。
クウェートのイラク占領当局による国際法をことごとく踏みにじる行為や、クウェート政府を通じて我々に提供される確固たる情報を踏まえ、我々は史上類を見ない出来事、すなわちクウェートを荒らし、略奪するべく仕掛けられたイラク占領当局の作戦に注意を引くことを願います。この作戦は実際に家屋や工場、店舗や病院、学校や大学といった教育機関のみならず、国家や自治体、民間機関や個人の所有する財産を含む、クウェート国内の資産を完全に奪い去るものでしかない以上、似たような如何なる出来事と比較したり、正確に説明することは不可能です。クウェートで起こっている事は、その目的に向けた国家による強盗に他なりません。[3]
手紙の中でアブ=ハッサンは、「レントゲン装置やスキャナーなど、公私を問わず病院からあらゆる設備が盗まれた」[3]とも述べている。なお、略奪行為については、避難民が「エアコンやコンピュータ、黒板や机の他、保育器や放射線装置までをも狙って、兵士が社屋や学校、病院に押し入った」[4]と再度語ることとなる。また、ダグラス・ハード英外務大臣も「人目に憚られる方法で略奪や破壊の限りを尽くしている」と総括[5]。いずれにせよ保育器の略奪は、未熟児が放り出されたり、その結果死に至るものであったことから、メディアの注目を集めた[6]。
同年9月5日、亡命中のアブドゥル・ワッハーブ・アル=フォーザンクウェート保健大臣は、サウジアラビアタイーフで開かれた記者会見にて「侵攻以後、イラク軍兵士が国内の全病院や医療機関を事実上掌握」、「患者を追い出し病院からハイテク機器や救急車、薬品や血漿を計画的に略奪した」ために22名の未熟児が命を落としたと発言した[5][7][7]。ワシントンポストは新生児の話の起源について、次のように記している。
ロンドンでその手紙を受け取った建築家のフダ・バハーによると、先月末ヨーロッパ人外交官により密出国した公衆衛生省高官から寄せられた手紙に因るものであった。なお、その内容はクウェート人小児科医ファウジア・サイェーが亡命者などから収集した情報が追加されている。
その手紙はイラク軍兵士が複数の病院から患者を立ち退かせ、癌や透析、糖尿病の治療に必要不可欠な設備を接収したと主張。バハーやサイェーは、イラク軍兵士がアラブの金融機関によって20億ドルを越えると言われる現金や金、自動車や宝石の一部をバグダッドへ運び出したとも述べている。また、持ち出された設備の中には保育器22台もあったという。[7]
ワシントンポストはイラクが域内の立ち入りを禁じ、外交官を強制的に隔離したとも報じた[7]。
国連事務総長宛ての手紙はもう一つあり、アブハッサンはフォーザンの主張を次のように幾度も繰り返した。
我々は、クウェートの保健機関からの確たる情報源に基づき、イラク占領当局が人道に対する罪に値する惨たらしい犯罪を実行しているという事を知っています。産院から未熟児用の保育器が持ち出され、療育中の新生児は皆命を落としました[8]。
手紙は新生児が何名死亡したか明らかにしていない[7][9]ものの、翌日にはメディアがその内容を一斉に報じた[6][10][11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][6][23]。
また、「自由クウェートのための市民運動」総裁がガス・ヤトロン下院議員に対し、クウェートの惨状を文書で伝えた[24]他、ジャービル・アル=アフマド・アッ=サバーハクウェート首長とジョージ・H・W・ブッシュによる会談でも、イラク軍が保育器をイラクへ送った事が議題に上った[25][26]。会談後のジャービルの回想によると、ブッシュは「イラク軍の攻撃により、嘗て平和かつ安全であった国が略奪に遭い、人々は拷問を受け、殺害さえされている」として、「イラクの指導者らは、アラブ連盟及び国際連合の加盟国で、国際的にも認知されている主権国家を、地図上から消し去ろうとしている」と発言したという[27]。
その後、10月9日にブッシュが記者会見の中で次のように述べている。
(国家安全保障問題担当大統領補佐官の)ブレント・スコウクロフトが大層、首長に関して発言していました。私も首長が我々に伝えた話の中に、物理的な破壊のみならず、アムネスティ・インターナショナルによって裏付けられた事態に関心があります。透析患者から奪った機器をイラクに輸送し、新生児が放り出された保育器をバグダッドへ送るなど、信じられない事ばかりです。今や、こうした話がどれ程信憑性があるか分からないものの、首長は本心から話していたに違いありません。また、アムネスティ・インターナショナルによる報告も受けましたが、それは痛ましいものでした。[28]
広報
編集アメリカの広告業者は軒並み、クウェート侵攻で一儲けしたがった |
—Advertisers steer clear of Mideast,St. Petersburg Times [29] |
ほとんどの広告業者は当初、広告で中東危機を訴えようとはしなかった[29]一方で、通信社を始めとする情報産業が上述の通りクウェート侵攻を報じていた[29]。また、自由クウェートのための市民運動は100万ドルでヒル・アンド・ノウルトンと契約、キャンペーンを委託した[29]。
自由クウェートのための市民運動
編集自由クウェートのための市民運動は、クウェート大使館が設立しタイムズニュース社が執筆を行いワシントンD.C.に本部を置く草の根市民運動を偽装して宣伝活動を行う(アストロターフィング)広報委員会であった[30][31]。同委員会は大使館舎の一角を占めたものの、大使館からは独立して業務を行った[30]。
ヒル・アンド・ノウルトン
編集ヒル・アンド・ノウルトンは1990年、ニューヨークでクウェートからの亡命者と接触した後に自由クウェートのための市民運動に参画[32]。国家的キャンペーンの目的はイラクの独裁者たるサダム・フセインによるクウェート侵攻についてアメリカ国内で世論を喚起することにあった[32]。100万ドルを費やし、強硬な手段に向けた支持を勝ち取る最善策を決める研究に着手[33]。研究によると、暴虐とりわけ保育器の話が最も影響がある事が分かった[34]。なお、広報キャンペーンにはクウェートから1200万ドルの資金提供を受けたとされる[35]。
連邦議会人権委員会
編集トム・ラントス民主党下院議員とジョン・ポーター共和党下院議員が委員長を務め、ヒル・アンド・ノウルトンにワシントン本部として、3000ドルという破格の安値で土地を貸し出した[36]。
証言
編集10月10日、ナイラはトム・ラントス下院議員の計らいにより、アメリカ合衆国議会議会人権委員会にて最後に証言を行った。6分程度にわたる口述において次のように発言した。
私は12人の女性とともにアッ=ラダン病院でボランティアをしていました。私が最年少のボランティアで他の女性達は20-30歳でした。イラク軍兵士が銃を持って、病院内に押し入るのを目にしました。保育器から新生児を取り出し保育器を奪うと、冷たい床に新生児を放り出し死なせてしまいました。(泣きながら)怖かったです。[37][38]
ナイラは口述の中で何名の新生児が保育器にいたのか明言していないが、ヒル・アンド・ノウルトンから渡された「台本」には、「イラク軍兵士が銃を持って病院内に押し入り、15名の新生児が保育器に入っている部屋に乗り込むのを目にしました。」と書かれてあった[39](証言では述べられず)。
集会の共同議長であるジョン・ポーター下院議員は8年間に及ぶ職務の中でこのような「惨たらしく非人間的で残虐な仕打ち」は聞いた事がないとしている[40]。証言は最も劇的なものとされた[40]。
ヒル・アンド・ノウルトン
編集ナイラ証言がどの位指導を受けたかは不明。文面のみ手ほどきを受けたとされる[41]ものの、「目撃談を『提供』し、証言を『執筆』し、効果的な目撃談を『指導』した」事は明らかである[42]。
影響
編集ナイラ証言が広く喧伝される[43]と、集会の様子を撮影したヒル・アンド・ノウルトンは、全米に約700のテレビ局を擁するメディアリンクへビデオを配給[44]。当日夜、証言の一部がABC及びNBCのニュース番組で放映され、数千万人のアメリカ国民が視聴したという[42][44]。また、上院議員7名が武力行使を支持する演説の中でナイラ証言を引用している[注釈 2]。ブッシュ大統領もその後数週間のうちに少なくとも10回は証言を繰り返した[47]。暴虐の証言は湾岸戦争参戦に対する国民の支持を取り付ける切っ掛けとなった[48]。
当初の反応
編集「確証」
編集1991年1月13日、サンデータイムズがアリ・アッ=ルワリなる医師による92名が死亡したとの証言を報じた[49]。
イラク
編集ナイラ証言を否定しており、10月16日にはラティーフ・ナッシーフ・アル=ジャセム情報大臣が「超大国の大統領たる者、言葉には注意してほしい」と通信社に伝えた[50]。
クウェート訪問者
編集10月21日、ジャーナリストがイラク情報省の執りなしによりクウェートを訪れたが、現地の産院の医師らは保育器の件を否定[51]。その上、同国保健省のイラク本部長であるアブドゥル=ラーマン・モハンマド・アッ=ルゲイリーはクウェート訪問時に、「バグダッドは侵攻後、国内の14病院などに1000名の医師のほか、薬品を送った」とまで述べている[51]。
暴露
編集ちょっとした調査報道が民主化の過程に大きな影響を与えるであろう。 |
—John MacArthur[52] |
クウェート解放直後の1991年3月15日、ABC記者のジョン・マーティンは「クウェートの看護師や医師の多くが、業務を停止し亡命した際に未熟児ら患者は確かに死亡した」と報告したが、イラク軍が「病院の保育器を盗んでもいなければ、数百名の新生児を放置し死なせてもいないのはほぼ確実」である事が発覚[53][54]。翌年1月6日にはニューヨーク・タイムズが、『ナイラを忘れるな、クウェートの証言?』と題するジョン・マッカーサーの署名入り記事を掲載する[52]。マッカーサーはナイラが当時、クウェート駐米大使を務めていたサウード・ナシール・アル=サバーの娘である事を暴露[52]。「保育器の件は軍事行動を支持するか否かについての国内の議論を酷く歪めてしまった」と述べた上で、「彼ら(ラントス・ポーター両下院議員)の行動が利害の明白な衝突を決してもたらさないのであれば、あるいは最悪1990年10月の時点でナイラなる人物が実際は誰であったのかを知っていれば、ヒル・アンド・ノウルトンとの特別の関係が、連邦議会での調査を促したのではないか」と疑問を呈した[52]。マッカーサーは同年4月、この記事によりワシントンマンスリーから月間ジャーナリズム賞を、1993年にはメンケン賞を受けた[39][55]。
捏造発覚以後の反応
編集ヒル・アンド・ノウルトン
編集我々はアメリカ国民に対して世論を形成すべく虚偽の情報を垂れ流した。 |
—Frank Mankiewicz, Vice Chairman, Hill & Knowlton[56][57] |
1992年1月15日、ヒル・アンド・ノウルトンの最高経営責任者であるトマス・E・エイドソンが、マッカーサーが呈した疑問点について、ニューヨーク・タイムズへ投書を送る[58]。エイドソンは「我が社は決して信憑性の薄い証言を捏造しようとしたのではありません」と前置きした上で、「彼女のクウェートからの亡命後に証言した時点では正確性に異論を挟む理由はありませんでした」と説明[58]。
投書はイラク軍兵士が保育器から新生児を取り出したというナイラの証言は国連安保理以前にイブラヘーム・ベフベハニ赤十字社総裁が捏造したものであること、メディアは当時クウェート国内に戻れなかったため「解放まで避難民の話を直接吟味する術が無かった」としている[58]。こうして、「ナイラの信憑性は彼女が医師か教師であったならば疑問も呈されまい」し、クウェートとの仕事は「公共の利益は公平に」という社の基準も満たしていると結論付けた[58]。
同年8月には社のイメージを一新するため、ハワード・パスターがロバート・K・グレイに替わりワシントン事務所のゼネラルマネージャーに就任[59][60]。批判は、ヒル・アンド・ノウルトンが「自由クウェートのための市民運動」なる偽装市民団体を立ち上げ、その後疑問点の多い証拠や疑わしい目撃談を用いて世論のみならずアメリカや国連の政策にも影響を与えた事にも向けられた[57][61][62]。
ヒル・アンド・ノウルトンが自由クウェート市民のために取った行動は、国際商業信用銀行やサイエントロジー、カトリック教会による反中絶キャンペーンなど、他の議論ある主要クライアントのための広報とともに、パブリック・リレーションズについて倫理的問題を引き起こした[63]。問題自体は新しくないものの、事の重大さから嘗てのものに比して強力であった[32]。
トム・ラントスの反応
編集ペルシャ湾岸戦争の歴史を大きく書き換えるキャンペーンは進行中である。 |
-Tom Lantos response to MacArthur[64] |
あるインタビューで、ナイラの家族や友人を保護するために父親の要望に応え素姓を隠していたと発言[48]。一方、「メディアが偶然、彼女に焦点を当てただけだ。彼女が証言していなければ他の誰かに焦点を当てていただろう」として、罪には当たらないとした[48]。
また、次のようにも述べている。
クウェート大使館を通じて委員会にもたらされた「目撃談」が全くの虚偽とは思わなかった。彼女の話が真実ではないのは議論の余地がないけれども、重要なのはそれではない。ナイラ証言が徹頭徹尾作り話と仮定しても、膨大な人権侵害を決して減じるものではないという事を。[48]
その後、トム・ラントスは1992年1月27日にニューヨーク・タイムズへ寄せた「クウェートが暴虐のシナリオを書いた」と題する投書の中でマッカーサーの主張に答えた。「マッカーサー氏の記事は、ペルシャ湾岸戦争の歴史を書き換えようとする皮肉屋にしか役立たない」と批判。「少女がイラクによる侵攻当時クウェートにいさえせず、身の毛がよだつような出来事はアメリカの広告業者が考え出したものであるというのは悪意ある当てこすりに過ぎない」とした[64]。また、「ナイラがクウェート大使の娘であるという事実により、目撃談がより信頼の置けるものとなった。彼女の大使館や政府との関係は信憑性を強化した」と主張[64]。「イラクによる無数の人権侵害が証拠として残っている以上、暴虐を捏造する必要は無いし逆効果である」と締め括った[64]。委員会とヒル・アンド・ノウルトンとの特別な関係については強く否定、「委員会活動は、いかなる法律事務所や広告業者とも関係は無い」と断言している[64]。
なお、後にマッカーサーはニューヨーク・タイムズへ宛てた手紙の中で証言を撤回していたことを指摘[65]。
サバー大使
編集大使は自分の娘が暴虐を目撃したのは確かで、クウェートにいた事も現地のアメリカ大使館が証明していると述べた[48]。また、「私や私達が嘘をついたり誇張したがっていると言うのなら、自分の娘をだしにせず他人を買収する方が早い」と批判した[66]。
調査
編集ミドルイーストウォッチ
編集1992年、人権擁護団体ミドルイーストウォッチが保育器の件について調査結果を公表。それによると、「イラク軍が病院を標的にしたのは確かだが、保育器を奪い新生児を床に放置し死なせたのは事実ではなく、戦争プロパガンダに過ぎない。話自体は国外の人間が捏造したものであった」という。また、ナイラが保育器の件を目撃したと主張する病院の医師にもインタビューを行った結果、「数十台の保育器はあるけれども、イラク軍が奪った保育器は無いし、新生児が取り出されてもいない」とインデペンデントが報じた[67]。
アムネスティ・インターナショナル
編集当初は証言を支持していたが、後に撤回を表明[68][69]。「イラク軍が保育器から新生児を取り出し死に至らしめたとする確たる証拠は無い事が分かった」と述べている[70]。
クロール報告
編集クウェート政府は報道について異議を挟んでいない[39]ものの、こうした主張に応えるべく危機管理会社のクロール社を雇い保育器の件について調査を実施。調査は9週間にも及び、250回以上のインタビューを行った。ナイラにもインタビューしたが、元の証言は実際のものと大きく異なる事が発覚した。新生児が保育器外にいるのを目撃したのは「ほんの一瞬」、しかも1名だけ。病院でボランティアをした事すら無く、実際には「数分間立ち寄っただけ」とも発言[71]。ヒル・アンド・ノウルトンのスポークスマンであるトム・ロスは、「弁明」として「保育器の話は存在し、ナイラはその目撃者であった」としている[39]。
テレビ
編集20/20(ABC)や60 Minutes(CBS)は証言に関し調査報道を放映した。
批判
編集イラクによる暴虐という誤った、あるいは誇張された話を広めることとなったキャンペーンについて手厳しい批判を受けた[35][72][73]が、とりわけラントスは情報を隠匿した事で非難を浴びた[36]。シカゴトリビューンに至っては証言自体「嘘」と断じており[72][74]、単なる広報に過ぎないとの見方が一般的である。
その後
編集実際のところ、アムネスティ・インターナショナルからクウェートの医師に至るまで、新生児の話にほぼ皆が巻き込まれ、素早く逃げていった。 |
—Newsday[75] |
湾岸戦争終結後、ロイターはイラクが「保育器2台など、クウェートから盗まれたトラック98台分の医療設備」を返却したと報道[76]。しかし、クウェートの医療機関関係者は、「イラクは誤って保育器を返却したかもしれないのではないか」としている[76]。また、ナイラの素性が発覚すると、情報隠匿に対する反発が巻き起こった[77]。
学問的評価
編集問題は結局ヒル・アンド・ノウルトンが効果的に世論操作を行ったか否かではなく、アメリカ政府自身や外国における既得権益層、民間広告業者並びにロビー活動が一体となった勢力が、きちんとした理性的な、感情に拠らない議論を握り潰したかどうかにある。 |
—The power house: Robert Keith Gray and the selling of access and influence in Washington[78] |
ナイラ証言の内容や広まった経緯、効果や目的が数多くの広報研究の対象となった。フランス・H・ファン・エーメレンは『議論における戦略的操作』の中で、「議論に伴う身体的メッセージは余りに強烈なため、理性的な議論はほぼ不可能となる」と論じた上で、ナイラ証言を「感情に訴えかける議論」に過ぎないとした[79]。
論文『ヒル・アンド・ノウルトンの場合-論争の概要』の中で、著者のスザンヌ・A・ロシュワルブは、ヒル・アンド・ノウルトンがイギリスの企業であるとして、「(クウェートの通貨であるディナールの価値が無くなれば財政破綻の可能性がある、といったような)イギリスの関心は、ヒル・アンド・ノウルトンの取り組みにどのような影響を与えたのか」と論じた[80]。
また、テッド・ロウズはウォーターゲート事件に準え、『クウェートゲート-イラク軍兵士によるクウェートの新生児殺害は誇張された』という記事をワシントンマンスリーに寄稿。その中で、「ヒル・アンド・ノウルトンによる作り話に乗せられた殆どの記者は、ナイラ証言がろくに検証もされず広まった際、話を無かった事にするのを好んだようだ」[39]と記している。
このほか、『第二の戦線-湾岸戦争における検閲とプロパガンダ』を著したジョン・R・ マッカーサーは、「当時、外国政府によりアメリカ国内で行われた、最も洗練された高価な広報キャンペーンであった」と述べた[72]。
ナイラ証言を題材とした作品
編集2002年、HBOが映画『ライブ・フロム・バグダッド 湾岸戦争最前線』を公開。真偽を決定しようとした登場人物が少なからずいたものの、結論を出せずに終わっている。なお、エンドロールにおいて、保育器の話は決して実証されていない旨のコメントが添えられている[81]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ NHK (2003). NHK 放送研究と調查 - 第53巻626~631号p24. NHK
- ^ “U.S. Evacuates 171 From Iraq, Kuwait - Women Who Made It Out Recount Tales Of Terror”. St. Louis Post-Dispatch: p. 1A. (1990年9月8日). "Cindy of San Francisco, who declined to be identified further, said, Iraqis are beating people, bombing and shooting. They are taking all hospital equipment, babies out of incubators . Life-support systems are turned off. . . . They are even removing traffic lights. "The Iraqis are beating Kuwaitis, torturing them, knifing them, beating them, cutting their ears off if they are caught resisting or are with the Kuwaiti army or police," she said."
- ^ a b United Nations Security Council masthead document Letter Dated 2 September 1990 From The Permanent Representative Of Kuwait To The United Nations Addressed To The Secretary-General S/21694 September 3, 1990.
- ^ Leff, Lisa (1990年9月11日). “Weary, wary evacuees bring tales of horror”. Washington Post. "The evacuees told of soldiers looting office buildings, schools and hospitals for air conditioners, computers, blackboards, desks, and even infant incubators and radiation equipment. They described food shortages that afflicted soldiers as well as civilians, and random acts of violence."
- ^ a b Beeston, Nicholas (1990年9月5日). “A battle ground to test Saddam - Iraq invasion of Kuwait”. London, England
- ^ a b c Rendall, p. 24
- ^ a b c d e Frankel, Glenn (1990年9月10日). “Iraq, Kuwait Waging an Old-Fashioned War of Propaganda ( 要購読契約)”. Washington Post. オリジナルの2012年11月5日時点におけるアーカイブ。 2011年3月15日閲覧。
- ^ United Nations Security Council masthead document Letter Dated 5 September 1990 From The Permanent Representative Of Kuwait To The United Nations Addressed To The Secretary-General S/21713 September 5, 1990.
- ^ Walton, p 771
- ^ “Kuwait says seizure of hospital equipment caused many deaths”. Reuters News. (1992年9月6日)
- ^ “Iraq equipment removal killed patients - Kuwait.”. Reuters News. (1992年9月6日)
- ^ “Kuwaiti says Iraq plundered hospitals”. Associated Press (North Carolina: Charlotte Observer): p. A16. (1990年9月7日)
- ^ “Official: Hospitalized in Kuwait are left to die”. Associated Press (Chicago Tribune): p. 12. (1990年9月7日)
- ^ “Persian Gulf crisis - More about the Mideast”. Houston Chronicle: p. A18. (1990年9月7日)
- ^ “Kuwait Says Iraq Plundered Hospitals” (Associated Press). The San Francisco Chronicle: p. A21. (1990年9月7日)
- ^ “Released Hostages Tell of Kuwait Terror” (Transcription of broadcast). All Things Considered (National Public Radio). (1990年9月7日). "Total destruction everywhere, cars wrecked, burned, people thrown out of cars on the street you're driving down; they just throw people over the street. They're hitting children with the butts of the guns, taking infants out of incubators and taking the incubators."
- ^ “Kuwait offers to help cover mideast costs - contributions should offset U.S. liability”. Newport News (Virginia). (1990年9月8日). "Cindy, who refused to give her last name, and another woman who identified herself only as Rudi, told the Reuters news agency that Iraqi troops took premature babies out of incubators in Kuwait in order to steal the equipment."
- ^ Tamayo, Juan O. (1990年9月8日). “Iraqi hostage horror: `It smelled of death'”. Austin American-Statesman: p. A1
- ^ “Weekend Edition Sunday (News)” (Transcription of broadcast). National Public Radio. (1990年9月9日). "`Time is running out,' said one, a pediatrician. She said in the last few days, the Iraqi troops had looted a local hospital. In a ward for premature infants, soldiers had turned off the oxygen on incubators , she said, and packed the equipment for shipment to Iraq. Dr. Fawzi al-Said said the report came to her by the hospital attendants, who had buried the dead infants."
- ^ “Iraq tightens its grip on Kuwait”. Ohio. (1990年9月29日). pp. 6A. "The U.S. ambassador-designate to Kuwait, Edward Gnehm Jr., told reporters Monday that Kuwaiti health officials told him 22 babies born prematurely died when Iraqi troops removed them from incubators they stole. Gnehm has been named to replace current ambassador Nathaniel Howell, who is holed up inside the U.S. Embassy in Kuwait."
- ^ Murphy, Kim (1990年9月17日). “Kuwaitis bolt for border amid reports of atrocities”. The Los Angeles Times (The Tampa Tribune): p. 1A. "Western officials said that they are still investigating reports of atrocities in Kuwait and added that many appeared to be well-documented and supported by enough eyewitness accounts that they could be considered true. In one case, refugees reported that incubators for premature babies were confiscated by Iraqi troops and the babies inside were piled on the floor and left to die."
- ^ “Air Cutoff of Iraq Gains U.N. Support Kuwaiti Refugees Spill Across Border”. San Jose Mercury News (California): p. 1A. (1990年9月17日). "In one case, refugees reported that incubators for premature babies were confiscated by Iraqi troops and the babies inside were piled on the floor and left to die. "This is the kind of thing that some people call genocide, and if people wanted to construe it as such, it could be cause for some kind of military intervention," said a Western diplomat in close contact with the Kuwaitis."
- ^ Hoagland, Jim (1990年9月25日). “End Saddam's Reign of Terror”. Washington Post: p. a23. "But while dissidents have been making such arguments, Saddam's actions in Kuwait show that he is not interested in compromise or in leaving Kuwait -- on any terms. He has begun to depopulate Kuwait, as he once did with Kurdistan, and to send in Iraqis with phony new citizenship documents. Based on Saddam's bloodstained track record, it is almost certain that the young Kuwaiti men being grabbed at the border and elsewhere in Kuwait are being sent to Iraq to die. American refugees and others report that Kuwait City's hospitals are being stripped of incubators and any other supplies that can be sent to Baghdad, leaving babies and infirm patients to die.ld give sanctions and negotiations a chance so he can avoid the costs of attacking Iraq's occupation forces is not enough. That does not stay Saddam's ruthless hand."
- ^ Hall, Lawrence. “Suffer the Children: Summit must herald a new era in lives of our endangered young”. Newark, New Jersey. "The president of Citizens for a Free Kuwait recently wrote Rep. Gus Yatron (D-Pa.), decrying the brutality of this madman."Nothing points to the ruthlessness of Saddam Hussein more poignantly than his unmerciful misuse of the very young. His manipulation of political opponents through the abuse of their children is, sadly, a well documented fact. We recently learned that the Iraqi leader has ordered that maternity hospital incubators (in Kuwait ), used for treating premature babies, be turned off, allowing these infants to die of exposure," he wrote."
- ^ “Iraq plunders Kuwait, US warns war closer- The Gulf crisis”. The Sun Herald (Sydney, Australia): p. 8. (1990年9月30日). "The emir told Bush of Iraqis going into hospitals, taking babies out of incubators and people off life-support machines to send the equipment back to Iraq."
- ^ Raum, Tom. “Iraqi provocation\Emir's tales of Iraqi atrocities in Kuwait may spur U.S. military response”. Associated Press (Philadelphia Daily News)
- ^ “Remarks Following Discussions With Amir Jabir al-Ahmad al-Jabir Al Sabah of Kuwait”. (1990年9月28日) . "Iraqi aggression has ransacked and pillaged a once peaceful and secure country, its population assaulted, incarcerated, intimidated, and even murdered. Iraq's leaders are trying to wipe an internationally recognized sovereign state, a member of the Arab League and the United Nations, off the face of the map."
- ^ “The President's News Conference”. The American Presidency Project. (1990年10月9日)
- ^ a b c d AMOS, DENISE L. (1990年9月3日). “Advertisers steer clear of Mideast”. p. 9
- ^ a b Deparle, Jason (1990年9月3日). “THE MEDIA BUSINESS; Gulf Crisis Starts a Costly Fight for Good Press”. The New York Times: p. 31
- ^ “Kuwaitis loan jets to transport troops”. Associated Press (The Times News): p. 5. (1990年8月28日)
- ^ a b c Roschbwalb, p. 268
- ^ Rowse, Aruther E. (1992年10月18日). “Teary Testimony to Push America Toward War”. The San Francisco Chronicle: p. 9/Z1
- ^ Andersen, p. 170
- ^ a b “Jury says 3 took Kuwaiti money to promote war”. Sun-Sentinel (The Washington Post): p. 3A. (1992年7月8日)
- ^ a b “Deception on Capitol Hill”. The New York Times: p. A20. (1992年1月15日)
- ^ MacArthur, p. 58
- ^ Eemeren, p. 70
- ^ a b c d e Rowse, "Kuwaitgate - killing of Kuwaiti babies by Iraqi soldiers exaggerated"
- ^ a b Brosnan, James W. (1990年10月11日). “Witenesses describe atrocities by Iraqis”. The Commercial Appeal
- ^ Pratt, p. 288
- ^ a b Sriramesh, p. 864
- ^ Walton, p. 772
- ^ a b Rowse, "How to build support for war"
- ^ Walton, p. 772
- ^ Eemeren, p. 70
- ^ Walton, p.771
- ^ a b c d e Krauss, Clifford (1992年1月12日). “CONGRESSMAN SAYS GIRL WAS CREDIBLE”. The New York Times
- ^ Alderson, Andrew; Wavell, Stuart (1991年1月13日). “Paradise lost: The full story of Iraq's violation of Kuwait - Gulf Crisis”. Sunday Times
- ^ “Iraq rejects U.S. charges of atrocities”. Reuters News. (1990年10月16日)
- ^ a b “Doctors deny babies killed in Iraqi invasion”. Reuters News. (1990年10月21日)
- ^ a b c d Arthur, John (1992年1月6日). “Remember Nayirah, Witness for Kuwait?”. The New York Times
- ^ Fowler, p. 22
- ^ Cohen, Mitchel (2002-12-28). “How George Bush, Sr. Sold the 1991 Bombing of Iraq to America”. CounterPunch .
- ^ “MacArthur, John R.”. Harper's Magazine. 2011年3月16日閲覧。
- ^ Bennett, p. 131
- ^ a b Gilboa, p. 9
- ^ a b c d “P.R. Firm Had No Reason to Question Kuwaiti's Testimony”. The New York Times. (1992年1月17日)
- ^ Roschwalb, p. 273
- ^ Lee, Gary (1992年8月28日). “Troubled Public Relations Firm Names New Washington Manager; Paster Replaces Gray, Who Retains Title as Chairman of the Board”. The Washington Post: p. A24
- ^ Trento, p. 381
- ^ Grunig, pp. 137-138
- ^ Roschbwalb, p. 267
- ^ a b c d e “Kuwaiti Gave Consistent Account of Atrocities”. The New York Times: p. A20. (1992年1月27日)
- ^ MacArthur, John (1992年1月27日). “Kuwaiti Gave Consistent Account of Atrocities; Retracted Testimony”. The New York Times
- ^ Stauber, p. 143
- ^ Leonard Doyle, "Iraqi Baby Atrocity is Revealed as Myth," The Independent (12 January 1992) p. 11.
- ^ “INCUBATOR STORY NEEDED VERIFICATION ( 要購読契約)”. Sun Sentinel. (1992年1月21日)
- ^ Koenig, Robert L. (1992年1月9日). “Testimony Of Kuwaiti Envoy's Child Assailed”. St. Louis Post-Dispatch: p. 1C
- ^ Priest, Dana (1992年1月7日). “Legislator to Probe Allegations of Iraqi Atrocities; Accuser Identified as Daughter of Kuwait Ambassador to U.S. ( 要購読契約)”. The Washington Post
- ^ Ted Rowse, "Kuwaitgate - killing of Kuwaiti babies by Iraqi soldiers exaggerated," Washington Monthly (September 1992).
- ^ a b c Weiss, Tara (2001年3月15日). “NPR insists funding doesn't influence news”. The Hartford Courant (Chicago Tribune)
- ^ Hebert, James (2003年7月14日). “Always consider the source … if you can identify it”. Copley News Service. ""It was a corrupt, unethical thing to be doing," Broom says of the incident and Hill and Knowlton's role in it."
- ^ Sepahpour-Ulrich, Soraya (2009年12月18日). “Deadly Intentions: The Truth Behind The Iran Rumors”
- ^ Dwyer, Jim (1992年7月3日). “Desert Mirage Of Dead Babies ( 要購読契約)”. Long Island, New York
- ^ a b Brough, David (1992年9月6日). “IRAQ RETURNS STOLEN INCUBATORS TO KUWAIT.”. Reuters
- ^ Richissin, Todd (2001年10月17日). “Media finds war access denied ; Coverage: Journalists are bristling at the Pentagon's tightening control on what they're allowed to see ( 要購読契約)”
- ^ Qtd. in Trento, p. 389
- ^ Eemeren pp. 70-71
- ^ Roschwalb, p. 272
- ^ Live From Baghdad アーカイブ 2009年6月30日 - ウェイバックマシン HBO: Related articles.
報道
- Bishop, Ed (April 2003). “Not so ancient history”. St. Louis Journalism Review .
- Cull, Nicholas J. (Fall 2006). “'The Perfect War': US Public Diplomacy and International Broadcasting During Desert Shield and Desert Storm, 1990/1991”. Transnational Broadcasting Studies. オリジナルの2011年4月5日時点におけるアーカイブ。 2012年3月29日閲覧。.
- Fowler, Giles; Fedler, Fred (1991). “A Farewell to Truth: Lies, Rumors and Propaganda as the Press Goes to War”. Florida Communication Journal 22 (1): 22-34. ISSN 1050-3366.
- Gilboa, Eytan (2001). “Diplomacy in the media age: Three models of uses and effects”. Diplomacy & Statecraft 12 (2): 1-28. doi:10.1080/09592290108406201. ISSN 0959-2296.
- Grunig, James E. (Summer 1993). “Public relations and international affairs: effects, ethics and responsibility” (( 要購読契約)). Journal of International Affairs 47 (1): 137-162. ISSN 0022197X. オリジナルの2012年11月5日時点におけるアーカイブ。 2012年3月29日閲覧。.
- Mundy, Alicia (September/October 1992). “Is the press any match for powerhouse P.R.?”. Columbia Journalism Review. オリジナルの2007年10月31日時点におけるアーカイブ。 .
- Pratt, C (1994). “Hill & Knowlton's two ethical dilemmas”. Public Relations Review 20 (3): 277-294. doi:10.1016/0363-8111(94)90041-8. ISSN 03638111.
- Rendall, Steve; Hart, Peter; Hollar, Julie (January/February 2006). “20 Stories That Made a Difference”. Extra! 19 (1): 23-28. ISSN 0895-2310 .
- Roschwalb, S (1994). “The Hill & Knowlton cases: A brief on the controversy”. Public Relations Review 20 (3): 267-276. doi:10.1016/0363-8111(94)90040-X. ISSN 03638111.
- Rowse, Ted (September 1992). “Kuwaitgate - killing of Kuwaiti babies by Iraqi soldiers exaggerated”. The Washington Monthly. オリジナルの2012年5月29日時点におけるアーカイブ。 .
- Rowse, Arthur E. (September/October 1992). “How to build support for war”. Columbia Journalism Review. オリジナルの2008年4月20日時点におけるアーカイブ。 .
- Walton, Douglas (1995). “Appeal to pity: A case study of theargumentum ad misericordiam”. Argumentation 9 (5): 769-784. doi:10.1007/BF00744757. ISSN 0920-427X .
文献
- Andersen, Robin (2006). A century of media, a century of war. Peter Lang. pp. 170-172. ISBN 9780820478937
- Baillargeon, Normand (2008-01-04). A short course in intellectual self-defense. Seven Stories Press. ISBN 9781583227657 2011年3月10日閲覧。
- Barra, Ximena de la; Buono, Richard Alan Dello (2009). Latin America after the neoliberal debacle: another region is possible. Rowman & Littlefield Publishers. ISBN 9780742566057
- Bennett, W. Lance; Paletz, David L. (1994). Taken by storm: the media, public opinion, and U.S. foreign policy in the Gulf War. University of Chicago Press. ISBN 9780226042596
- Bivens, Rena Kim (October 2008). The Road to War: Manufacturing Public Opinion in Support of U.S. Foreign Policy Goals. GRIN Verlag. ISBN 9783640179312
- Carpenter, Ted Galen (1995). The captive press: foreign policy crises and the First Amendment. Cato Institute. ISBN 9781882577224
- Doorley, John; Garcia, Helio Fred (2006-10-20). Reputation management: the key to successful public relations and corporate communication. Taylor & Francis. ISBN 9780415974707
- Eemeren, Frans H. van (2009). Examining Argumentation in Context: Fifteen Studies on Strategic Maneuvering. John Benjamins Publishing Company. pp. 70-71. ISBN 9789027211187
- Effarah, Jamil E. (September 2007). Think Palestine to Unlock Us-Israelis and Arabs Conflicts. AuthorHouse. p. 240. ISBN 9781434332523
- Ewen, Stuart (1998-10-22). PR!: a social history of spin. Basic Books. ISBN 9780465061792
- Foerstel, Herbert N. (June 2001). From Watergate to Monicagate: ten controversies in modern journalism and media. Greenwood Publishing Group. pp. 51-52. ISBN 9780313311635
- Frenay, Robert (2006-03-30). Pulse: the coming age of systems and machines inspired by living things. Macmillan. pp. 412-413. ISBN 9780374113278
- Gardner, Lloyd C. (2010-03-02). The Long Road to Baghdad: A History of U.S. Foreign Policy from the 1970s to the Present. The New Press. ISBN 9781595584762
- Grandin, Greg (2007). Empire's Workshop: Latin America, the United States, and the Rise of the New Imperialism. Macmillan. ISBN 9780805083231
- Hatonn, Gyeorgos Ceres. From The Frying Pan Into The Pit Of Fire. Phoenix Source Distributors, Inc.. ISBN 9780922356904
- Jaco, Charles (2002-01-01). The complete idiot's guide to the Gulf War. Penguin. ISBN 9780028643243
- Jamieson, Kathleen Hall; Waldman, Paul (2004-06-21). The press effect: politicians, journalists, and the stories that shape the political world. Oxford University Press US. ISBN 9780195173291
- Knightley, Phillip (2004). The first casualty: the war correspondent as hero and myth-maker from the Crimea to Iraq. JHU Press. ISBN 9780801880308
- Loehr, Davidson (2005-10-11). America, fascism, and God: sermons from a heretical preacher. Chelsea Green Publishing. ISBN 9781931498937
- Maass, Peter (2010-08-10). Crude World: The Violent Twilight of Oil. Random House Digital, Inc.. ISBN 9781400075454
- MacArthur, John R. (2004). Second front: censorship and propaganda in the 1991 Gulf War. University of California Press. ISBN 9780520242319
- Manheim, Jarol B. (1994-01-02). Strategic public diplomacy and American foreign policy: the evolution of influence. Oxford University Press. ISBN 9780195087383
- Marlin, Randal (2002). Propaganda and the ethics of persuasion. Broadview Press. ISBN 9781551113760
- McCusker, Gerry (March 2006). “Propaganda-Truth is the first casualty of PR War”. Public Relations Disasters: Talespin--Inside Stories and Lessons Learnt. Kogan Page Publishers. pp. 196-198. ISBN 9780749445720
- McPherson, James Brian (2006). Journalism at the end of the American century, 1965-present. Greenwood Publishing Group. ISBN 9780313317804
- Miller, Karen S. (1999). The voice of business: Hill & Knowlton and postwar public relations. UNC Press Books. pp. 182-183. ISBN 9780807824399 2011年3月10日閲覧。
- Müller-Kulmann, Thomas (November 2007). Propaganda and Censorship in Gulf War I. GRIN Verlag. pp. 6-7. ISBN 9783638781459
- Phillips, Kevin P. (2004-09-06). American dynasty: aristocracy, fortune, and the politics of deceit in the house of Bush. Penguin. ISBN 9780143034315
- Rossi, Melissa L. (2005-11-29). What every American should know about who's really running the world: the people, corporations, and organizations that control our future. Penguin. ISBN 9780452286153
- Spragens, William C. (1995). Electronic magazines: soft news programs on network television. Greenwood Publishing Group. p. 51. ISBN 9780275941550
- Sriramesh, Krishnamurthy (2009-01-10). The global public relations handbook: theory, research, and practice. Taylor & Francis. pp. 864-865. ISBN 9780415995139
- Stauber, John Clyde; Rampton, Sheldon (1995). Toxic sludge is good for you: lies, damn lies, and the public relations industry. Common Courage Press. ISBN 9781567510607
- Trento, Susan B. (October 1992). The power house: Robert Keith Gray and the selling of access and influence in Washington. St. Martin's Press. ISBN 9780312083199
- Unger, Craig (2004-03-16). House of Bush, house of Saud: the secret relationship between the world's two most powerful dynasties. Simon and Schuster. ISBN 9780743253376
- Walton, Douglas N. (June 1997). “The Nayirah Case”. Appeal to pity: Argumentum ad misericordiam. SUNY Press. ISBN 9780791434611
- Winkler, Carol (2006). In the name of terrorism: presidents on political violence in the post-World War II era. SUNY Press. ISBN 9780791466179
- Willis, Jim; Willis, William James (2007). The media effect: how the news influences politics and government. Greenwood Publishing Group. p. 3. ISBN 9780275994969
- Winter, James P. (1992). Common cents: media portrayal of the Gulf War and other events. Black Rose Books Ltd.. ISBN 9781895431247
- Foundation for Public Relations Research and Education (U.S.) (1997). Public relations review. JAI Press
関連項目
編集外部リンク
編集- Brian Eno, Lessons in how to lie about Iraq, The Observer, August 17, 2003.
- Ameen Izzadeen, Lies, damn lies and war, Daily Mirror of Sri Lanka, 2001 (no more precise date provided), archive.org mirror accessed 18 December 2006.
- Phillip Knightley, The disinformation campaign, The Guardian, October 4, 2001.
- Maggie O'Kane, This time I'm scared, The Guardian, December 5, 2002.
- Alexander Cockburn, Truth or Propaganda? Radio Interview with Geoff Pevere on Canadian Broadcasting Corporation Prime Time, originally broadcast December 14, 1992.