デイビー・ロープス
デイビー・アール・ロープス(David Earl Lopes, 1945年5月3日 - )は、アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンス郡イーストプロビデンス出身の元プロ野球選手(二塁手)、野球指導者。右投右打。
ドジャースでのコーチ時代(2013年) | |
基本情報 | |
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国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | ロードアイランド州プロビデンス郡イーストプロビデンス |
生年月日 | 1945年5月3日(79歳) |
身長 体重 |
5' 9" =約175.3 cm 170 lb =約77.1 kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 右投右打 |
ポジション | 二塁手 |
プロ入り | 1968年 MLBドラフト2巡目(全体26位)でロサンゼルス・ドジャースから指名 |
初出場 | 1972年9月22日 |
最終出場 | 1987年10月4日 |
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度) | |
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この表について
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経歴
編集1967年のMLBドラフト8巡目(全体157位)でサンフランシスコ・ジャイアンツから指名を受けるもこれを拒否、契約には至らず。翌1968年のMLBドラフト2巡目(全体26位)でロサンゼルス・ドジャースから指名を受け、プロ入り。
ロープスは比較的遅咲きの選手で[1]、メジャーデビューを果たしたのは5年目の1972年、27歳の時であった。マイナーリーグAAA級で104試合に出場の上、.317の高打率を残すとメジャーに昇格。9月22日の対ジャイアンツ戦において「1番・二塁手」で先発起用され、5打数無安打の結果でデビュー戦を終えた。しかし、翌23日は3個の四球を選び、キャリア初盗塁を決めている。更に、24日にはジム・バー投手から初安打となる右前安打を放ち、初得点も記録している[2]。ルーキー・イヤーは出場11試合、打率.214、4盗塁の成績でシーズンを終えた。
翌1973年は開幕戦からベンチ入りし、当初は代打・代走・守備固め等の途中出場が主な使われ方であったが、4月22日に「8番・二塁手」で先発出場すると、5月2日からは1番に抜擢[3]。以後「1番・二塁手」の座を堅守、142試合に出場して147安打を放ち、36個の盗塁を決めるなど、ルーキー・オブ・ザ・イヤー投票の6位にランクイン。レギュラー2年目の1974年には、8月20日のシカゴ・カブス戦で球団レコードの15塁打を記録し(内訳は3本塁打、1二塁打、1単打、チーム全体の48塁打も球団レコード)[4]、24日のセントルイス・カージナルス戦では5盗塁を決めるなど(ナショナルリーグ・タイ記録[5])、多面的な攻撃能力を実証している[1]。
メジャー4年目の1975年、30歳を迎えたロープスは自己最多の155試合に出場の上、キャリアハイの77盗塁を決めて盗塁王に輝いた。更に、8月9日には32個目の連続盗塁を成功させ、マックス・キャリーが1922年に打ち立てたMLB記録を53年ぶりに塗り替えた[4]。その後、24日にモントリオール・エクスポズの捕手・ゲイリー・カーターに刺されて記録は途絶えたものの、ロープスは38回まで数字を伸ばした[4]。加えて108得点(リーグ3位)、91四球(同5位)、255出塁(同7位)を記録するなど、走塁能力と出塁能力両面において才気を煥発した。更に、翌1976年も63盗塁で2年連続盗塁王に輝いている。
1978年は出場151試合、打率.278、17本塁打、58打点、出塁率.355、45盗塁(3位)、93得点(6位)の好成績を記録し、MVP投票の16位にランクされた他、ゴールドグラブ賞を受賞し、MLBオールスターゲームに初選出された。なお、ロープスはこの年から1981年まで4年連続でオールスター出場を果たしている。ニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズでは、6試合に出場して3本塁打、7打点を叩き出したがチームは敗退。34歳になる翌1979年も153試合に出場して打率.265、28本塁打(8位)、73打点、出塁率.372、OPS.836、44盗塁(3位)、97四球(3位)、255出塁(7位)、109得点(3位)、RC113(8位)の好成績を収めた。ナ・リーグの二塁手で28本塁打を放ったのはロープスとロジャース・ホーンスビー、デーブ・ジョンソン、ジェフ・ケント、ライン・サンドバーグ、フアン・サミュエル、チェイス・アトリー、ダン・アグラのみであり[6]、この1979年がロープスのキャリア・イヤー、ベスト・シーズンと考えられている[1][7]。更に、野球ライター兼野球史研究家・野球統計学専門家であるビル・ジェームズによれば、ゴールドグラブ賞受賞は前年ではなく本年の方がより相応しい、と述べている[7]。
プロ14年目、メジャー10年目の1981年は58試合の出場に留まり、バッティングに関しても.206の低打率に終わった。ポストシーズンでは10盗塁を記録するも、当時21歳の新鋭スティーブ・サックスが順調に成長を続けていたことから、既に36歳になっていたロープスはオークランド・アスレチックスへと放出されることになった[1]。なお、ロープスの後継者[4]に指名されたサックスは、翌1982年に「1番・二塁手」のレギュラーに収まり、150試合に出場の上、打率.282、49盗塁の数字を残し、オールスター選出とルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞を遂げている。
ドジャース時代のロープスは1番打者であったが、アスレチックス移籍1年目の82年は、主に6・7番の下位打線を務めることが多くなった[8]。この年、メジャー4年目で当時23歳のリッキー・ヘンダーソンがシーズン130盗塁のMLB記録を樹立、ロープスも28盗塁を記録して、二人だけで158個の塁を盗んだ[1]。ヘンダーソンは以後も盗塁数を積み上げ、通算1406盗塁の金字塔を打ち建てたが、「バッテリーの配球と球種を先読みして走るスキルはデービーに習ったんだ」と後に回顧している[9]。以後、ロープスはシカゴ・カブス、ヒューストン・アストロズを渡り歩き、1987年オフに戦力外通告を受け引退。なお、40歳になる1985年は47盗塁、翌1986年には25盗塁と、晩年まで出群のスピードとクイックネスを維持していた[10]。
1988年以降はテキサス・レンジャーズ、ボルチモア・オリオールズ、サンディエゴ・パドレスの一塁コーチ、ベンチコーチを歴任。1999年11月4日にミルウォーキー・ブルワーズの監督に就任、翌2000年から2002年までの成績は144勝195敗(勝率.425)。同年4月18日、15ゲームを消化した時点で解雇され、ジェリー・ロイスター・コーチが監督代行になった[4]。2003年から2005年まではパドレス、2006年はワシントン・ナショナルズの一塁コーチを勤め上げ、同年10月16日にフィラデルフィア・フィリーズの一塁コーチ兼外野守備/走塁インストラクターに着任し、2010年まで在籍。2011年より5年間ドジャースの一塁コーチを務め、2016年より2年間ナショナルズの一塁コーチを務めた。
選手としての特徴
編集スピードとパワーを兼備する多面的攻撃型プレーヤーであり、主に一番打者として活躍した[11][1]。そして、16シーズンに及ぶ現役生活において通算557盗塁、成功率83%の数字を刻み、「MLB史上有数のベスト・ベース・スティーラー」と評される[1]。なお、ロープスはバッティング・グローブをほとんど着用せず、もっぱら出塁した時に限り手袋をはめていた[1]。
詳細情報
編集年度別打撃成績
編集年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
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1972 | LAD | 11 | 49 | 42 | 6 | 9 | 4 | 0 | 0 | 13 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | 0 | 6 | 1 | .214 | .327 | .310 | .636 |
1973 | 142 | 615 | 535 | 77 | 147 | 13 | 5 | 6 | 188 | 37 | 36 | 16 | 7 | 6 | 62 | 6 | 5 | 77 | 14 | .275 | .352 | .351 | .703 | |
1974 | 145 | 613 | 530 | 95 | 141 | 26 | 3 | 10 | 203 | 35 | 59 | 18 | 10 | 3 | 66 | 3 | 4 | 71 | 10 | .266 | .350 | .383 | .733 | |
1975 | 155 | 726 | 618 | 108 | 162 | 24 | 6 | 8 | 222 | 41 | 77 | 12 | 13 | 2 | 91 | 3 | 2 | 93 | 4 | .262 | .358 | .359 | .717 | |
1976 | 117 | 491 | 427 | 72 | 103 | 17 | 7 | 4 | 146 | 20 | 63 | 10 | 2 | 2 | 56 | 1 | 4 | 49 | 8 | .241 | .333 | .342 | .675 | |
1977 | 134 | 589 | 502 | 85 | 142 | 19 | 5 | 11 | 204 | 53 | 47 | 12 | 6 | 6 | 73 | 3 | 2 | 69 | 3 | .283 | .372 | .406 | .779 | |
1978 | 151 | 665 | 587 | 93 | 163 | 25 | 4 | 17 | 247 | 58 | 45 | 4 | 6 | 1 | 71 | 3 | 0 | 70 | 9 | .278 | .355 | .421 | .776 | |
1979 | 153 | 692 | 582 | 109 | 154 | 20 | 6 | 28 | 270 | 73 | 44 | 4 | 6 | 3 | 97 | 4 | 4 | 88 | 8 | .265 | .372 | .464 | .836 | |
1980 | 141 | 625 | 553 | 79 | 139 | 15 | 3 | 10 | 190 | 49 | 23 | 7 | 9 | 4 | 58 | 2 | 1 | 71 | 8 | .251 | .321 | .344 | .665 | |
1981 | 58 | 243 | 214 | 35 | 44 | 2 | 0 | 5 | 61 | 17 | 20 | 2 | 4 | 0 | 22 | 1 | 3 | 35 | 7 | .206 | .289 | .285 | .574 | |
1982 | OAK | 128 | 496 | 450 | 58 | 109 | 19 | 3 | 11 | 167 | 42 | 28 | 12 | 2 | 3 | 40 | 1 | 1 | 51 | 14 | .242 | .304 | .371 | .675 |
1983 | 147 | 561 | 494 | 64 | 137 | 13 | 4 | 17 | 209 | 67 | 22 | 4 | 4 | 10 | 51 | 7 | 2 | 61 | 9 | .277 | .341 | .423 | .764 | |
1984 | 72 | 267 | 230 | 32 | 59 | 11 | 1 | 9 | 99 | 36 | 12 | 0 | 2 | 3 | 31 | 1 | 1 | 36 | 8 | .257 | .343 | .430 | .774 | |
CHC | 16 | 23 | 17 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 5 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 5 | 0 | .235 | .435 | .294 | .729 | |
'84計 | 88 | 290 | 247 | 37 | 63 | 12 | 1 | 9 | 104 | 36 | 15 | 0 | 2 | 3 | 37 | 1 | 1 | 41 | 8 | .255 | .351 | .421 | .772 | |
1985 | 99 | 325 | 275 | 52 | 78 | 11 | 0 | 11 | 122 | 44 | 47 | 4 | 1 | 3 | 46 | 1 | 0 | 37 | 14 | .284 | .383 | .444 | .826 | |
1986 | 59 | 191 | 157 | 38 | 47 | 8 | 2 | 6 | 77 | 22 | 17 | 6 | 0 | 1 | 31 | 0 | 2 | 16 | 6 | .299 | .419 | .490 | .909 | |
HOU | 37 | 113 | 98 | 11 | 23 | 2 | 1 | 1 | 30 | 13 | 8 | 2 | 2 | 1 | 12 | 0 | 0 | 9 | 3 | .235 | .315 | .306 | .621 | |
'86計 | 96 | 304 | 255 | 49 | 70 | 10 | 3 | 7 | 107 | 35 | 25 | 8 | 2 | 2 | 43 | 0 | 2 | 25 | 9 | .275 | .381 | .420 | .800 | |
1987 | 47 | 56 | 43 | 4 | 10 | 2 | 0 | 1 | 15 | 6 | 2 | 1 | 0 | 0 | 13 | 2 | 0 | 8 | 0 | .233 | .411 | .349 | .760 | |
MLB:16年 | 1812 | 7340 | 6354 | 1023 | 1671 | 232 | 50 | 155 | 2468 | 614 | 557 | 114 | 74 | 48 | 833 | 38 | 31 | 852 | 126 | .263 | .349 | .388 | .737 |
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
編集- 内野守備
年 度 |
球 団 |
二塁(2B) | 三塁(3B) | 遊撃(SS) | |||||||||||||||
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試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
- 外野守備
年 度 |
球 団 |
左翼(LF) | 中堅(CF) | 右翼(RF) | |||||||||||||||
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試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
- 各年度の太字はリーグ最高
- 各年度の太字年はゴールドグラブ賞受賞
タイトル
編集- 盗塁王:2回(1975年、1976年)
表彰
編集記録
編集- MLBオールスターゲーム選出:4回(1978年 - 1981年)
- 通算557盗塁(2020年終了時点でMLB歴代26位)、成功率83.0%
- 38連続盗塁成功 - 1975年当時のMLB記録。1989年にビンス・コールマンが50まで数字を伸ばし、塗り替えた[12]。
- ドジャース在籍時の413盗塁は、モーリー・ウィルスの490個に次いで球団歴代2位[6]。
背番号
編集- 15(1972年 - 1984年途中、1985年 - 1986年途中、1986年途中 - 1987年、1989年 - 1994年、2007年 - 2010年、2011年途中 - 2017年)
- 12(1984年途中 - 同年終了、2011年 - 同年途中)
- 11(1986年途中 - 同年終了)
- 14(1988年、1995年)
- 42(1996年 - 1997年)
- 24(1998年、2003年 - 同年途中)
- 30(1999年 - 2002年)
- 27(2003年途中 - 2004年途中)
- 25(2004年途中 - 2005年)
- 5(2006年)
脚注
編集- ^ a b c d e f g h “Davey Lopes” (英語). The Baseball Page.com. 2009年7月13日閲覧。
- ^ “Davey Lopes 1972 Batting Gamelogs” (英語). Baseball-Reference.com. Sports Reference LLC.. 2009年7月14日閲覧。
- ^ “Davey Lopes 1973 Batting Gamelogs” (英語). Baseball-Reference.com. Sports Reference LLC.. 2009年7月14日閲覧。
- ^ a b c d e “Davey Lopes from the Chronology” (英語). BaseballLibrary.com. 2009年7月14日閲覧。
- ^ “"Davey Lopes Autograph” (英語). historyforsale.com. 2009年7月16日閲覧。
- ^ a b “Manager and Coaches” (英語). padres.com. 2009年7月14日閲覧。
- ^ a b “Davey Lopes” (英語). geocities.com. 2009年7月15日閲覧。
- ^ “1982 Oakland Athletics Batting Orders” (英語). Baseball-Reference.com. Sports Reference LLC.. 2009年7月15日閲覧。
- ^ モーリー・ウィルス、吉藤宗弘翻訳「Steal This Base - 歴代盗塁王が語る盗塁の極意」『月刊スラッガー No.42 , 2001年10月号』、日本スポーツ企画出版社、6-15頁。
- ^ Sandy Keenan (1985年9月9日). “The Ballad Of Davey Rocket” (英語). SI Vault. 2009年7月15日閲覧。
- ^ Nashville G-man. “MLB Stolen Base Leaders By Year—1970s” (英語). hubpages.com. 2009年7月15日閲覧。
- ^ “The Ballplayers - Vince Coleman” (英語). BaseballLibrary.com. 2009年7月14日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
- 監督の通算成績と情報 Baseball-reference.com