デル・ピラール級哨戒艦

デル・ピラール級哨戒艦英語: Del Pilar-class offshore patrol vessel)は、フィリピン海軍哨戒艦の艦級。アメリカ沿岸警備隊を退役したハミルトン級カッターを再就役させたもので、再就役当初はフリゲートとして扱われていたが[1]、軽武装であることから、2019年に一括して哨戒艦に艦種変更された[2]

デル・ピラール級哨戒艦
「グレゴリオ・デル・ピラール」(PF-15時代)
「グレゴリオ・デル・ピラール」(PF-15時代)
基本情報
艦種 フリゲート (PF→FF)
哨戒艦 (PS)
就役期間 2011年 - 現在
前級 旧米キャノン級 (PF→PS)
次級 ホセ・リサール級 (FF)
要目
満載排水量 3,353トン[1]
全長 115.2 m[1]
最大幅 13.1 m[1]
吃水 6.1 m[1]
機関方式 CODOG方式
主機
推進器
  • スクリュープロペラ×2軸
  • 隠顕式アジマススラスター (350shp)
  • 出力
  • ディーゼル: 7,000 hp
  • ガスタービン: 36,000 hp
  • 速力 最大: 29ノット
    航続距離
    • ディーゼル:
      14,000海里 (12kt巡航時)
    • ガスタービン:
      9,600海里 (19kt巡航時)
    乗員 80名
    兵装
    搭載機 AW109Eパワーヘリコプター×1機
    レーダー
    電子戦
    対抗手段
    Mk.137 6連装デコイ発射機×2基
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    概要

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    長年フィリピン海軍の主力を務めてきたのは、キャノン級護衛駆逐艦などの旧式艦艇や、ジャシント級コルベットといった軽武装の艦艇であった。そのため海軍力を強化すべく、2011年より取得が始まったのが本級である。

    その前身は、アメリカ沿岸警備隊のハミルトン級長距離カッター(WHEC)であり、取得時点で既に艦齢が40年を超えるが、フィリピン海軍が現在装備する戦闘艦艇としては最大である。

    装備

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    アメリカ沿岸警備隊でハミルトン級として就役していた際には、対潜戦に備えてAN/SQS-38ソナーMk.32 3連装短魚雷発射管を搭載していたが、これらは冷戦終結後の1990年代中盤以降、コスト低減のため撤去されている。

    また防空用のAN/SPS-40対空捜索レーダーファランクス近接防空火器(CIWS)も、フィリピンへの売却に伴って撤去された[3]。ただしMk.75 76mm単装速射砲オート・メラーラ 76mmコンパット砲)およびMk.92 mod.1砲射撃指揮システム(GFCS)については維持された。

    Mk.92 mod.1 GFCSは、射撃指揮用の追尾用アンテナとともに捜索・捕捉用アンテナを有しており、低空警戒レーダーとしての機能も備えている。また、25mm機銃を安定化・遠隔操作式のMk.38 mod.2タイフーンRWS)に換装する計画が認可された[4]ほか、レーダー・システムの更新やハープーン艦対艦ミサイルの搭載などの装備強化も検討されている[5]

    同型艦

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    # 艦名 起工 就役 退役 備考
    PF-15→FF-15→PS-15 グレゴリオ・デル・ピラール
    BRP Gregorio del Pilar
    1965年
    11月23日
    2011年
    12月14日
    旧・ハミルトン (WHEC-715)
    PF-16→FF-16→PS-16 ラモン・アルカラス
    BRP Ramon Alcaraz
    1966年
    2月7日
    2013年
    8月6日[6]
    旧・ダラス (WHEC-716)
    PF-17→FF-17→PS-17 アンドレス・ボニファシオ
    BRP Andrés Bonifacio
    1968年
    6月14日
    2016年
    7月21日
    旧・バウトウェル (WHEC-719)

    脚注

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    出典

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    1. ^ a b c d e 井上 2021, p. 135.
    2. ^ “Del Pilar-class frigates redesignated as patrol ships”. Philippine News Agency. (2 April 2019). http://www.pna.gov.ph/articles/1066243 3 April 2019閲覧。 
    3. ^ 海人社 2013.
    4. ^ No. 721-12 Contracts”. U.S. Department of Defense Office of the Assistant Secretary of Defense (Public Affairs). 2012年9月9日閲覧。
    5. ^ New Equipment For Navy Ships”. Manila Bulletin. 2012年9月9日閲覧。
    6. ^ トムソン・ロイター (2013年8月6日). “フィリピンが元米巡視船を配備、領有権争う中国にらみ”. 2013年8月6日閲覧。

    参考文献

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    • 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、2021年4月。 NAID 40022516372 
    • 海人社 編「海外艦艇ニュース 米コースト・ガードのカッターをフィリピン海軍が購入」『世界の艦船』第787号、海人社、2013年11月。 

    関連項目

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