ジャン・ユレ
ジャン・ユレ(Jean Huré, 1877年9月17日 ロワール県 ジアン – †1930年1月27日 パリ)はフランスの作曲家・ピアニスト・オルガニスト・音楽評論家・音楽理論家。
略歴
編集12歳から演奏家として活動し、17歳で処女作を手懸けた。ピアニストとしては有能なヴィルトゥオーゾであり、ヨーロッパ全土で演奏旅行に取り組んでかなりの成功を収めた。また、ノートルダム=デ=ブランク=マントー教会やサン=マルタン=デ=シャン教会、サン=セヴラン教会のオルガニストを歴任し、1926年にウジェーヌ・ジグーの後継としてサントギュスタン教会に就職した。作曲家としては、室内楽曲のほかに声楽曲や付随音楽、多数のオルガン曲を手懸けた。
1924年に雑誌『オルガンとオルガニスト(フランス語: L’Orgue et les organistes)』を創刊してその編集長となり、ピアノやオルガンの演奏技巧について数々の手引きを出版した。
作曲家としては1910年に悲劇《大聖堂》 を作曲し、その第三幕で12の音をすべて使う和音を用いたことによって知られている[1]。
主要作品
編集舞台音楽
編集- 悲劇《大聖堂》 (La cathédrale, élégie théâtrale) (1910年, 未出版の自筆譜)
- バレエ音楽《聖なる森》 (Au bois sacré, ballet) (1921年, 初演:オペラ=コミック座)
管弦楽曲
編集- ヴァイオリン(またはチェロ)と管弦楽のための《エール》 (Air pour violon ou violoncelle et orchestre) (1902年)
- ピアノと管弦楽のための《夜想曲》 (Nocturne pour piano et orchestre) (1903年)
- 交響的前奏曲 (Prélude symphonique)
- 交響曲第1番 (Symphonie no 1) (1896年, 未出版の自筆譜)
- 交響曲第2番 (Symphonie no 2) (1897年, 未出版の自筆譜)
- 交響曲第3番 (Symphonie no 3) (1903年, 未出版の自筆譜)
- ヴァイオリン協奏曲 (Concerto pour violon et orchestre, 未出版の自筆譜)
- サックスと管弦楽のための《協奏的小品》 (Concerstuck pour saxophone et orchestre)
宗教曲
編集- 2声とオルガンのための《テ・デウム》 (Te Deum pour soprano, 2 voix et orgue) (1907年)
- 女声二部合唱のための《アヴェ・マリア》 (Ave Maria pour 2 voix de femmes) (1924年)
声楽曲
編集- ブルターニュの7つの唄 (Sept chansons de Bretagne pour piano et chant) (1910年)
- 無伴奏四部合唱曲《地獄に落ちた心のごとく》 (L'âme en peine pour 4 voix seules) (1925年)
- 声楽とピアノのための《3つの歌曲》 (3 Mélodies pour chant et piano) (1925年)
- 声楽とピアノのための《4つの詩》 (4 Poèmes pour chant et piano) (1929年)
- 声楽とピアノのための《4通の女性の手紙》 (Quatre lettres de femmes pour chant et piano) (1929年)
- モノディ様式による3つのシャンソン (Trois chansons monodiques pour voix seule) (1930年)
室内楽曲
編集- ピアノ五重奏曲 (Quintette pour piano et quatuor à cordes) (1913年)
- 弦楽四重奏曲第1番 (Quatuor à cordes no 1) (1917年)
- 弦楽四重奏曲第2番 (Quatuor à cordes no 2) (1921年)
- ピアノ(またはハープ)三重奏のための《ブルターニュの唄による組曲》 (Suite sur des chants bretons pour violon, violoncelle, piano ou harpe) (1913年)
- ピアノ三重奏によるセレナード (Sérénade en trio pour piano, violon, violoncelle) (1920年)
- チェロとピアノ(またはオルガン)伴奏のための《エール》 (Air pour violoncelle et piano ou orgue) (1901年)
- チェロ(またはヴィオラ)とピアノのための《小唄》 (Petite chanson pour violoncelle ou alto et piano) (1901年)
- チェロ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 (Sonate pour violoncelle et piano no 1 en fa dièse mineur) (1907年)
- チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 (Sonate pour violoncelle et piano no 2 en fa majeur) (1913年)
- チェロ・ソナタ第3番 嬰ヘ長調 (Sonate pour violoncelle et piano no 3 en fa dièse majeur)(1920年)
- ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ (Sonatine pour violon et piano) (1909年)
- ヴァイオリン・ソナタ (Sonate pour violon et piano) (1920年)
ピアノ曲
編集- 子供の詩 (Poèmes enfantins pour piano) (1906年)
- ピアノ・ソナタ(またはクロマティック・ハープのためのソナタ)第1番 嬰ヘ短調 (1ère Sonate pour piano ou harpe chromatique en fa mineur) (1920年)
オルガン曲
編集- オルガン(またはハルモニウムのための)《奉挙の間奏曲》(『現代オルガン曲集 第1巻』)(Interlude-Élévation pour orgue ou harmonium (in J. Joubert, Les Maîtres Contemporains de l'Orgue, vol. 1)) (ジュベール社、1911年)
- 《クリスマスの夜中のミサの聖体拝領のために (Pour la Communion d'une Messe de minuit à Noël)》(『現代オルガン曲集 第8巻』) (in J. Joubert, Les Maîtres Contemporains de l'Orgue, vol. 8)) (ジュベール社、1914年)
- 教皇ミサのための前奏曲 (Prélude pour une messe pontificale) (1915年)
著作
編集- 『単旋律の民謡による習作とブルターニュの歌と踊り(Chansons et danses bretonnes précédées d'une étude sur la monodie populaire)』 (アンジェ、1902年)
- 『音楽の筋道(Dogmes musicaux)』 (「ル・モンド・ミュジカル」誌、パリ、1909年)
- 『ピアノの技巧 (Technique du piano)』 (パリ、1909年)
- 『ピアノの技巧・序論 (Introduction à la technique du piano)』 (パリ、1910年)
- 『フランス音楽の擁護と解説 (Défense et illustration de la musique française)』 (アンジェ、1915年)
- 『オルガンの技巧(La technique de l'orgue)』 (パリ、1918年)
- 『オルガンの美学 (L'Esthétique de l'orgue)』(セナール社、パリ、1923年)
- 『音楽家・聖アウグスティヌス (Saint Augustin musicien)』 (パリ、1924年)
脚注
編集- ^ Koechlin, Charles; Traité de l'harmonie Vol.2, p.244, Editions Max Eschig, M.E.1750