ジャンゴ・ベイツ
ジャンゴ・ベイツ(Django Bates、1960年10月2日 - )は、イギリスの作曲家、マルチ楽器奏者、バンドリーダー、教育者である。彼はピアノ、キーボード、テナーホルンを演奏し、委託を受けて大規模な作品を作曲している。「イギリスで最も才能のあるミュージシャンの一人であり、彼の作品は、初期のジャズからビバップやフリー・ジャズ、ジャズ・ロックやフュージョンまで、ジャズの全領域をカバーしている」と言われている[1]。
ジャンゴ・ベイツ Django Bates | |
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基本情報 | |
生誕 | 1960年10月2日(64歳) |
出身地 | イングランド ケント州ベックナム |
ジャンル | ジャズ、フュージョン |
職業 | ミュージシャン、作曲家、教育者 |
担当楽器 | ピアノ、キーボード、テナーホルン |
活動期間 | 1980年代 - |
レーベル | EGレコード、ECMレコード、Lost Marble、Screwgun、JMT |
公式サイト |
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略歴
編集初期の人生
編集ベイツはケント州ベックナムで生まれ、セッジヒル・スクールに通った。この学校に在籍しているうちに、ロンドンのセンター・フォー・ヤング・ミュージシャンズ(1971年–1977年)にも通い、そこでトランペット、ピアノ、ヴァイオリンを学んだ。1977年から1978年にかけては、モーリー・カレッジにて学ぶ。1978年、彼は作曲を学ぶため王立音楽大学に入学したが、2週間後に自主退学している[1]。
ジャズ・ミュージシャンとして
編集ベイツは1979年にHuman Chainというバンドを結成し、1980年代にはルース・チューブスと呼ばれるジャズ・オーケストラで有名になった。1991年になると、19人編成のジャズ・オーケストラ、Delightful Precipiceを始動[2]。また、Powder Room Collapse Orchestra(アルバム『Music for The Third Policeman』を録音)を組んだり[3]、音楽サーカスショーのCircus Umbilicusをつくっている[4]。ベイツは、ドゥドゥ・プクワナのジラ[5]、ティム・ホワイトヘッドのボーダーライン[6]、ケン・スタッブスのファースト・ハウス[7]、ビル・ブルーフォードのアースワークス[8]、シゼル・アンドレセン、およびジョージ・ラッセルやジョルジュ・グルンツのバンドのサイドマンまたはメンバーとして姿を現した。マイケル・ブレッカー、ティム・バーン、クリスチャン・ジャーヴィ、ヴィンス・メンドーザ、デイヴィッド・サンボーン、ケイト・ラズビー、ドン・アライアスとも共演した。
作曲家として
編集ベイツは、依頼に応じて大きな規模の作品を書くことに専念している。作品は以下の通り。
- 「Dream Kitchen」 : パーカッショニストのエヴェリン・グレニーのための作品[9]
- 「Fine Frenzy」 : Shobhana Jeyasingh Dance Companyのための作品[10]
- 「What It's Like to be Alive」 : ジョアンナ・マクレガーとロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団のためのピアノ協奏曲[11]
- 「2000 Years Beyond UNDO」 : ミレニアム・バービカン・フェスティバルで行われたエレクトリック・キーボードのための協奏曲
ベイツは、演出家のルーシー・ベイリーといくつかの演劇プロジェクトで緊密に協力を行った。それは、ゴグマゴグズのための『Gobbledegook』、『Baby Doll』(バーミンガム・レップ劇場、ロイヤル・ナショナル・シアター、アルベリー劇場)、『Stairs to the Roof』(チチェスター・フェスティバル劇場)、『The Postman Always Rings Twice』(ウェスト・ヨークシャー・プレイハウス、アルベリー劇場)、『タイタス・アンドロニカス』(グローブ座)といった作品である。彼らはまた『You Can Run』という短編映画にも取り組んだ。他の演劇作品には、グレゴリー・ドーランの『お気に召すまま』(RSC)のプロダクション、およびキャンベル・グラハムの『Out There!』がある。
2004年に音楽祭「FuseLeeds」の最初の芸術監督を務めた。レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによる最初のオーケストラ委嘱作品を始動するのに、彼はこの機会を利用した。ジャンゴはまた、ローリー・アンダーソン、ギャヴィン・ブライアーズ、パトリック・ムーア、ジョン・ゾーンを含む60人の作曲家にそれぞれ1小節ずつ作品を書くよう依頼した。その後、彼は集まった1小節ずつをつなぎ合わせて「Premature Celebration (早すぎるお祝い)」という作品を作った。この作品は、エヴァン・パーカーの60歳の誕生日を祝うためにエヴァン・パーカーとロンドン・シンフォニエッタによって演奏された。
『The Wire』誌は、1987年と1990年に「ベスト・UK・ジャズ作曲家」にベイツを選んだ。1997年にはジャズパー賞を受賞。2008年、「PRS・ニュー・ミュージック・アワード」にノミネートされた。1995年に、リーズ音楽大学からフェローシップを授与された。
教育
編集2002年、彼はジム・ブラックとデイヴ・ダグラスと一緒にバンフ・センターのジャズ・プログラムで講師を担当した[12]。2005年7月、コペンハーゲンのリズミック・ミュージック・コンサバトリー(RMC)から、リズミック・ミュージックの教授に任命された[13]。2010年9月に、ロンドンの王立音楽アカデミーから、ジャズの客員教授に任命された[14]。2011年9月、ジャンゴ・ベイツはスイスのベルンにあるHKBで、ジャズ教授に任命された[15]。
受賞歴
編集ディスコグラフィ
編集リーダー・アルバム
編集- Human Chain (1986年) ※Human Chain名義
- Cashin' In (1987年、EG) ※Human Chain名義
- Music for The Third Policeman (1990年、Ah Um)
- Summer Fruits (and Unrest) (1993年、JMT)
- 『ジャイアント・ステップス』 - Autumn Fires (and Green Shoots) (1994年、JMT) ※ソロ・ピアノ
- 『ウィンター・トゥルース』 - Winter Truce (and Homes Blaze) (1995年、JMT)
- Good Evening...Here Is the News (1995年、Decca/Argo)
- Like Life (1997年、Storyville)
- 『クワイエット・ナイツ』 - Quiet Nights (1998年、Screwgun)
- You Live and Learn...(Apparently) (2003年、Lost Marble)
- Spring Is Here (Shall We Dance?) (2008年、Lost Marble)
- Beloved Bird (2008年、Lost Marble) ※Django Bates' Beloved名義
- Confirmation (2011年、Lost Marble) ※Django Bates' Beloved名義
- The Study of Touch (2016年、ECM) ※Django Bates' Beloved名義
- Saluting Sgt Pepper (2017年、Edition) ※Django Bates & Frankfurt Radio Big Band名義
参加アルバム
編集ルース・チューブス
- Loose Tubes (1985年)
- Delightful Precipice (1986年)
- 『オープン・レター』 - Open Letter (1988年)
- Dancing on Frith Street (2010年) ※1990年のライブ音源
- Säd Afrika (2012年) ※1990年のライブ音源
ビリー・ジェンキンス
- Greenwich (1985年)
- Uncommerciality Vol 1 (1986年)
- Scratches of Spain (1987年)
ファースト・ハウス
- Eréndira (1985年)
- 『カンティレーナ』 - Cantilena (1989年)
- 『アースワークス』 - Earthworks (1987年)
- 『DIG?』 - Dig? (1989年)
- 『オール・ヘブン・ブローク・ルース』 - All Heaven Broke Loose (1991年)
- Stamping Ground: Bill Bruford's Earthworks Live (1994年) ※ライブ・アルバム
- Heavenly Bodies (1997年) ※ベスト・アルバム
イエイン・バラミー
- 『バルーン・マン』 - Balloon Man (1989年)
- All Men Amen (1995年)
- 『ナイス・ビュー』 - Nice View (1994年、JMT)
- Blue Maqams (2017年、ECM)
- So I Write (1990年)
- Exile (1993年)
- Skull View (1997年)
- Escapade (1999年)
その他
- ドゥドゥ・プクワナ : Life in Bracknell and Willisau (1983年)
- ティム・ホワイトヘッズ・ボーダーライン : English People (1983年)
- ドゥドゥ・プクワナ : Zila '86 (1986年)
- Social Systems : Research (1987年)
- デディケーション・オーケストラ : Spirits Rejoice (1992年)
- ハンク・ロバーツ : 『リトル・モーター・ピープル』 - Little Motor People (1993年、JMT)
- クリスティ・ドーラン : Play the music of Jimi Hendrix (1994年)
- ハリー・ベケット : Les Jardins du Casino (1995年) ※「Les Jardins du Casino」でピアノを演奏
- マイケル・ギブス : 『ビッグ・ミュージック』 - Big Music (1996年、ACT)
- Bendik Hofseth : Colours (1997年)
- Søren Nørbo Trio : Debates (2005年)
- ハリー・ベケット : Maxine (2010年) ※「Les Jardins du Casino」でピアノを演奏
- マリウス・ネセット : Golden XPlosion (2011年)
脚注
編集- ^ a b c Vande Kappelle, Robert P. (7 April 2011). Blue Notes: Profiles of Jazz Personalities. Wipf and Stock Publishers. pp. 319–. ISBN 978-1-61097-283-3
- ^ “Delightful Precipice”. The Guardian (1 April 2001). 5 November 2017閲覧。
- ^ Carr, Ian; Fairweather, Digby; Priestley, Brian (2004). The Rough Guide to Jazz. Rough Guides. pp. 79–. ISBN 978-1-84353-256-9
- ^ “Django Bates celebrates Bird's birthday”. Jazzwise (16 January 2008). 5 November 2017閲覧。
- ^ Chilton, John (21 June 2004). Who's Who of British Jazz: 2nd Edition. Bloomsbury Academic. pp. 7–. ISBN 978-0-8264-7234-2
- ^ “TIM WHITEHEAD”. Timwhitehead.co.uk. 23 November 2017閲覧。
- ^ “First House”. ECM Records. 5 November 2017閲覧。
- ^ “Bill Bruford's Earthworks: Earthworks & Dig?”. All About Jazz (23 April 2005). 5 November 2017閲覧。
- ^ “Home on the Range”. The Independent (29 April 1996). 5 November 2017閲覧。
- ^ Craine, Debra; Mackrell, Judith (19 August 2010). The Oxford Dictionary of Dance. OUP Oxford. pp. 240–. ISBN 0-19-956344-6
- ^ “The Return of Django”. The Independent (28 October 1996). 5 November 2017閲覧。
- ^ “History of Jazz at Banff Centre”. Banffcentre.ca. 5 November 2017閲覧。
- ^ “Django Bates: Spring Is Here (A Long Time Coming But Worth The Wait)”. All About Jazz (14 July 2008). 5 November 2017閲覧。
- ^ “New Appointments”. Royal Academy of Music. 2 October 2010閲覧。
- ^ “British Composer Awards biography”. Britishcomposerawards.com. 16 September 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。23 November 2017閲覧。
参考文献
編集- "The Shape of Jazz Just Come", Review of You Live and Learn (Apparently), The Economist, 16 December 2004.
- "In Praise of Django Bates" Review of You Live and Learn (Apparently), Downbeat
- Django Bates, You Live and Learn (Apparently) The Guardian, 25 June 2004
- Review of Winter Truce (And Homes Blaze) All About Jazz
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- Django Bates and David Okumu interviewed by John Fordham, The Guardian, 4 February 2005
- Django Bates interviewed by Pascal Wyse , The Guardian, 2 December 2005
- "Preview: Django Bates on Tour with Soren Norbo Trio"
- JazzPar Prize 1997
- Django Bates's nomination for the PRS New Music Award
- ジャンゴ・ベイツ - Discogs