ジェントルメン (映画)
『ジェントルメン』(The Gentlemen)は2019年のアメリカ合衆国・イギリスのアクション映画。監督はガイ・リッチー、出演はマシュー・マコノヒーとチャーリー・ハナムなど。ロンドンの暗黒街を舞台に、麻薬王の引退をきっかけに展開するバトルを描いている[5]。
ジェントルメン | |
---|---|
The Gentlemen | |
監督 | ガイ・リッチー |
脚本 | ガイ・リッチー |
原案 |
ガイ・リッチー アイヴァン・アトキンソン マーン・デイヴィーズ |
製作 |
ガイ・リッチー アイヴァン・アトキンソン ビル・ブロック |
製作総指揮 |
ロバート・シモンズ アンドリュー・ゴロヴ ボブ・オシャー アラン・J・ワンズ |
出演者 |
マシュー・マコノヒー チャーリー・ハナム ヘンリー・ゴールディング ミシェル・ドッカリー エディ・マーサン ジェレミー・ストロング コリン・ファレル ヒュー・グラント |
音楽 | クリストファー・ベンステッド |
撮影 | アラン・スチュワート |
編集 | ジェームズ・ハーバート |
製作会社 | ミラマックス |
配給 |
エンターテインメント・フィルム・ディストリビューターズ STXフィルムズ キノフィルムズ |
公開 |
2019年12月3日<(ロンドンCurzon Mayfairプレミア上映) 2020年1月1日 2020年1月24日 2021年5月7日[1] |
上映時間 | 113分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $22,000,000[2] |
興行収入 |
$111,783,931[3] 1億8000万円[4] |
2024年、同題のスピンオフドラマシリーズが制作され、Netflixで配信[6][7]。
ストーリー
編集ビッグ・デイヴはタブロイド紙の編集者だった。ある日パーティーに参加したデイヴは麻薬業界の大物、ミッキー・ピアソンに挨拶をしたが、ミッキーはデイヴを無視した。腹を立てたデイヴは探偵(フレッチャー)を雇い、ミッキーとプレスフィールド卿の関係を調査させることにする。彼の娘、ローラはヘロインに依存しており、ミッキーと何らかの繋がりがあるのではないかと疑ったのである。フレッチャーは調査結果をまとめ、それをミッキーの右腕として知られるレイモンドに突き付け、2000万ポンドの支払いを要求する。
ストーリーは過去に遡る。ミッキーはアメリカの貧困家庭で生まれ育ったが、勉学に秀でていたために、奨学金を得てオックスフォード大学に進学した。在学中、ミッキーは裕福な家に生まれ育った学生たちにマリファナを売るビジネスを始めた。ビジネスにのめり込んだミッキーは大学を退学し、そのまま裏社会でのし上がっていった。ミッキーは自分が一代で築き上げたビジネスをアメリカの富豪、マシュー・バーガーに4億ポンドで売却しようとしていた。ここ最近、ミッキーは殺伐とした裏社会に嫌気がさしてきており、引退して妻のロザリンドと一緒に平穏に暮らしたがっていたのである。ミッキーはバーガーを大麻栽培施設の一つに案内する。その施設は田舎の名士たちが所有する土地の地下にあった。名士たちは豪邸の維持費用を自力で工面できなくなり、やむなくミッキーに土地を貸していたのだった。ほどなくして、中国のギャング(ジョージ卿とその部下ドライ・アイ)から「事業を買収したい」というオファーを受けたが、ミッキーはそれを断る。その後、アマチュアの格闘技集団、トドラーズがミッキーの所有する大麻栽培施設を襲撃するという事件が発生する。トドラーズは施設の警備員を打ち負かし、施設からマリファナを強奪した。しかも、彼らはその様子を録画しており、その映像にラップを合わせてネット上にアップロードした。トドラーズのコーチはその一件を知るや否や、直ちにビデオを削除するよう命じる。コーチはミッキーからの報復を恐れたのである。
ミッキーが十分に育ったマリファナの搬出を始めた頃、プレスフィールド卿から「ヘロイン仲間とつるんでいる娘を連れ帰って欲しい」という依頼を受けた。ミッキーの命令で、レイモンドは部下を引き連れてローラの元に急行したが、その際、彼女のヘロイン仲間たちが掴みかかってきた。揉み合いの最中、ヘロイン仲間の一人(アスラン)が窓から転落死してしまった。ほどなくして、ローラもオーバードーズで亡くなった。しばらくして、コーチがレイモンドの元を訪れ、施設を襲撃したことを謝罪すると共に、お詫びとして組織の仕事を引き受けたいと申し出た。その後、コーチはトドラーズに施設の場所を教えたフック(ドライ・アイの部下)を捕まえて詳細を聞き出そうとしたが、フックは逃走を試み、その際に運悪く死んでしまった。その頃、ミッキーはジョージ卿を脅しつけていた。ジョージ卿はオファーを断られた腹いせに、ミッキーが保有するマリファナ工場を襲撃したのだった。ジョージ卿は任務に失敗したドライ・アイを始末しようとしたが、逆に殺されてしまった。そして、ギャングはドライ・アイの支配下に置かれることとなった。
こうして、ミッキーの麻薬ビジネスをめぐる闘争はますます混迷していくのだった。
キャスト
編集- ミッキー・ピアソン: マシュー・マコノヒー(子安武人)
- レイモンド・スミス: チャーリー・ハナム(佐藤拓也)
- ドライ・アイ: ヘンリー・ゴールディング(江頭宏哉)
- ロザリンド・ピアソン: ミシェル・ドッカリー(平田裕香)
- マシュー・バーガー: ジェレミー・ストロング(岡本幸輔)
- コーチ: コリン・ファレル(津田健次郎)
- フレッチャー: ヒュー・グラント(森田順平)
- ビッグ・デイヴ: エディ・マーサン(栗田圭)
- ジョージ卿: トム・ウー
- アーニー: バグジー・マローン(菊地達弘)
- バニー: チディ・アジュフォ
- ファック: ジェイソン・ウォン
- ルビー: ブリタニー・アシュワース
- プレスフィールド卿: サミュエル・ウェスト(田所陽向)
- ローラ・プレスフィールド: エリオット・サムナー(朝井彩加)
- ジャッキー: リン・レネー(新井笙子)
- プライムタイム: クリス・エヴァンゲロー(宮崎遊)
- ベニー: フランツ・ドラメー
- ハミー: ジョン・ダグリーシュ
- アスラン: ダニー・グリフィス
- モーリーン: アシュリー・マグワイア
- ミーシャ: ユージニア・カズミナ
- ワン・ヨン: 伊川東吾
製作
編集2018年5月、ガイ・リッチー監督が自身の原点に回帰した映画『Toff Guys』の製作に着手したとの報道があった[10]。10月、マシュー・マコノヒー、ケイト・ベッキンセイル、ヘンリー・ゴールディング、ヒュー・グラントの起用が発表された(後にベッキンセイルは降板することになり、ミシェル・ドッカリーが代役として起用された)[11][12]。11月、ジェレミー・ストロング、コリン・ファレル、ジェイソン・ウォンの出演が決定した[13][14][15]。同月13日、本作の主要撮影がロンドンで始まった[16]。12月、リン・レネーがキャスト入りした[17]。
2019年12月19日、クリストファー・ベンステッドが本作で使用される楽曲を手掛けていると報じられた[18]。20日、本作のサウンドトラックが発売された[19]。
公開・マーケティング
編集2018年5月、ミラマックスが本作の全世界配給権を3000万ドル強で購入した[20]。2019年2月21日、STXエンターテインメントがミラマックスから本作の全米配給権を700万ドルで購入したとの報道があった。その際、本作のタイトルが『Toff Guys』から『Bush』に変更されたとも報じられた[21]。4月2日、本作のタイトルが『Bush』から『The Gentlemen』に変更されるとの発表があった[22]。10月2日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[23]。12月3日、本作はロンドンでプレミア上映された[24]。
興行収入
編集本作は『ザ・ターニング』と同じ週に封切られ、公開初週末に1000万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが[25]、その予想は的中した。2020年1月24日、本作は全米2165館で公開され、公開初週末に1065万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場4位となった[26]。
評価
編集本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには230件のレビューがあり、批評家支持率は73%、平均点は10点満点で6.41点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ザ・ジェントルマン』はガイ・リッチー監督の新しいファンを増やすことはできないかも知れないが、同監督の作品のファンなら十分に楽しめるものである。」となっている[27]。また、Metacriticには44件のレビューがあり、加重平均値は51/100と平凡なものに留まっている[28]。なお、本作のCinemaScoreはB+となっている[29]。
出典
編集- ^ “ジェントルメン”. 映画.com. 2020年8月16日閲覧。
- ^ Brueggemann, Tom (2020年1月26日). “Weekend Box Office: Guy Ritchie’s ‘The Gentlemen’ Beats Latest Horror Dud” (英語). Indiewire 2020年2月25日閲覧。
- ^ “The Gentlemen (2019)” (英語). The Numbers. 2020年8月16日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.43
- ^ “ジェントルメン”. WOWOW. 2022年4月22日閲覧。
- ^ “ガイ・リッチー、自身の監督作「ジェントルメン」をNetflixでドラマ化”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2022年3月17日) 2024年3月12日閲覧。
- ^ “ガイ・リッチーが贈るNetflixドラマ『ジェントルメン』、映画版との関係は?”. 海外ドラマNAVI (株式会社ナノ・アソシエーション). (2024年2月15日) 2024年3月12日閲覧。
- ^ “ガイ・リッチー監督作『ジェントルメン』10月にBlu-ray&DVD発売決定!子安武人、津田健次郎らの吹替も収録”. SCREEN ONLINE (2021年8月23日). 2021年8月24日閲覧。
- ^ “ジェントルメン -日本語吹き替え版”. ふきカエル大作戦 (2021年10月20日). 2021年10月21日閲覧。
- ^ Fleming Jr, Mike (2018年5月3日). “Guy Ritchie Returns To ‘Lock, Stock’ & ‘Snatch’ Turf With ‘Toff Guys’ – Cannes” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ Kroll, Justin (2018年10月10日). “Matthew McConaughey to Star in Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ With Kate Beckinsale, Henry Golding (EXCLUSIVE)” (英語). Variety 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2018年10月31日). “Hugh Grant Joins Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ Gang” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2018年11月7日). “Jeremy Strong To Play Pot Kingpin In Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ Gangster Pic” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2018年11月16日). “Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ Adds Jason Wong” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2018年11月30日). “Colin Farrell Joins Matthew McConaughey in Guy Ritchie's 'Toff Guys' (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter 2020年2月25日閲覧。
- ^ Daniels, Nia (2018年11月13日). “Guy Ritchie movie starts London filming” (英語). The Knowledge Online 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2018年12月13日). “Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ Taps Lyne Renee” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ “Christopher Benstead Scoring Guy Ritchie’s ‘The Gentlemen’” (英語). Film Music Reporter. (2019年12月19日) 2020年2月25日閲覧。
- ^ “‘The Gentlemen’ Soundtrack Details” (英語). Film Music Reporter. (2019年12月20日) 2020年2月25日閲覧。
- ^ Fleming Jr, Mike (2018年5月9日). “Freshly Recapitalized Miramax Lands $30M+ World Rights Deal For Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ Wiseman, Andreas (2019年2月21日). “STX Punches For Guy Ritchie Crime-Comedy ‘Bush’ In Splashy $7M EFM Deal” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony; Tartaglione, Nancy (2019年4月2日). “Guy Ritchie’s ‘Toff Guys’ Gets New Title, Chadwick Boseman In ’21 Bridges’, ‘Bad Moms’ Moms’ & More: STX At CinemaCon” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ Ramos, Dino-Ray (2019年10月2日). “‘The Gentlemen’ Trailer: Guy Ritchie’s New Action-Comedy Has Bribery, Blackmail And Matthew McConaughey As A Marijuana Kingpin”. Deadline.com 2020年2月25日閲覧。
- ^ “Film Premieres 2019” (英語). MarkMeets. 2020年2月25日閲覧。
- ^ Brevet, Brad (2020年1月23日). “'The Gentlemen' Heading Toward for $10-11+ Million Debut” (英語). Box Office News 2020年2月25日閲覧。
- ^ “Domestic 2020 Weekend 4 / January 24-26, 2020” (英語). Box Office Mojo. 2020年2月25日閲覧。
- ^ “The Gentlemen (2020)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年2月25日閲覧。
- ^ “The Gentlemen Reviews” (英語). Metacritic. 2020年2月25日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2020年1月26日). “January B.O. +13% Over 2019 Thanks To ‘Bad Boys For Life’ & ‘1917’; ‘The Turning’ Slammed With Second ‘F’ Of 2020” (英語). Deadline.com 2020年2月25日閲覧。