シンセポップ
シンセポップ (synthpop) は、1970年代末から1980年代にかけて世界的に流行したポピュラー音楽のスタイルである。
シンセポップ Synthpop | |
---|---|
様式的起源 |
ディスコ ニュー・ウェイヴ 電子音楽 ポップ・ミュージック ポストパンク グラム・ロック クラウトロック |
文化的起源 |
1977年 - 1980年 西ドイツ 日本 イギリス アメリカ合衆国 |
使用楽器 |
シンセサイザー ドラムマシン ベース ドラム シーケンサー キーボード ヴォコーダー サンプラー ボーカル |
派生ジャンル |
ハウス トランス エレクトロクラッシュ エレクトロニカ チップチューン |
融合ジャンル | |
テクノ | |
関連項目 | |
エレクトロ・ポップ |
概要
編集ロックに電子音楽を持ち込んだクラフトワークを中心とするクラウトロック[1]の影響を強く受けながらも、より流麗で親しみやすいメロディを押し出すのが特徴で、ニュー・ウェイヴ・ジャンルの一翼を担った。音楽的には、シンセサイザーやシーケンサーなどの電子楽器を中心に据えた、ロックと電子音楽の中庸とも言える。
ホットバター、ポップコーン・メイカーズやジョルジオ・モロダーらは初期のシンセサイザー音楽の代表格だったが、当時はまだシンセ・ポップという呼び方は存在していなかった。 ウルトラヴォックスのメンバーは1977年には早くもローランド・T-77を購入し、シンセポップ・サウンドに取り組んでいた[2]。他にヒューマン・リーグ、ソフトセル、OMD、トーマス・ドルビー、アフター・ザ・ファイヤー、ハワード・ジョーンズ、M、リップス、タコ、ファルコらもシンセ・ポップの楽曲を発売した。シンセ・ポップの楽曲の中にはプログレッシブ・ロックの影響を受けた物もある。したがってシンセ・ポップに括られるアーティストの中には、ギターをフィーチャーしたロック色の強いバンドもいれば、完全に電子音のみで楽曲を構成するアーティストも存在する。その後に出現したハウスやテクノなどのダンス・ミュージックにも少なからず影響を与えた。
シンセポップの一部はパンクから生まれ、その流れを汲んでいたが、一方でグラムロックやディスコなど、軽視されたことのあるジャンルも内部にかかえていた[3]。
日本では類似の概念としてテクノポップという言葉が使用され一部のシンセポップを包括する場合があるものの、これは和製英語である。 またテクノポップは日本音楽シーンの流行に連動して用いられる傾向があり、電子楽器による音楽でもテクノポップと呼ばれない場合がある[+ 1]。
主なアーティスト
編集欧米
編集- ホットバター(英語)[+ 2]
- エマーソン・レイク・アンド・パーマー
- アフター・ザ・ファイヤー
- アート・オブ・ノイズ
- イレイジャー
- M
- ABC
- オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク
- クラフトワーク
- ゲイリー・ニューマン
- テレックス
- スクリッティ・ポリッティ
- ソフト・セル
- 808ステイト
- ディーヴォ
- ウルトラヴォックス
- ヴィサージ
- トーマス・ドルビー
- ニュー・オーダー
- モダン・トーキング
- バグルス
- ジョルジオ・モロダー
- ヒューマン・リーグ
- スパンダー・バレエ
- デペッシュ・モード
- ユーリズミックス
- ヘヴン17
- カジャグーグー
- ハワード・ジョーンズ
- トンプソン・ツインズ
- ニック・カーショウ
- デッド・オア・アライヴ
- アーケイディア
- a-ha
- ファルコ
- ペット・ショップ・ボーイズ
- Radix[+ 3]
- ミニストリー[+ 4]
- Bastian(オランダ)[+ 5]
日本
編集シンセポップ専門家と、シンセポップを制作したことのある者の双方を掲載。
洋書
編集- P. Bussy (2004), Kraftwerk: Man, Machine and Music (3rd ed.), London: SAF
- T. Cateforis (2011), Are We Not New Wave?: Modern Pop at the Turn of the 1980s, Ann Arbor MI: University of Michigan Press
- Collins, Nick; Schedel, Margaret; Wilson, Scott (2013). Electronic Music. Cambridge University Press. ISBN 978-1-107-24454-2
- Hoffmann, Frank (2004). Encyclopedia of Recorded Sound. Routledge. ISBN 978-1-135-94950-1*
- Simon Reynolds (2005), Rip It Up and Start Again Postpunk 1978–1984, London: Faber and Faber
- Trynka, Paul; Bacon, Tony, eds (1996). Rock Hardware. Balafon Books. ISBN 978-0-87930-428-7
脚注
編集注釈
編集- ^ 特に1980年代後半~1990年代に作られた音楽で、既存のアナログシンセやFM音源、E-MU VintageKeys、NordLead などが使われている物をいう。
- ^ ガーション・キングスレイのグループ
- ^ Mosaikとして有名な、Jakob Svanholmのシンセポップ活動名義
- ^ 主に初期の作品
- ^ 『Flight Of The Starglider』が該当
- ^ MS2000B(KORG製シンセサイザー)のデモ曲『Futurism primitive man』『Sea Bream』などを作曲。
- ^ NAKATEK、319名義で主にpop'n musicの一部楽曲を担当。
- ^ P-MODELの実質な解散後、ソロ活動で発表した『世界タービン』『賢者のプロペラ 3』など。
- ^ 『Different Nu Nu』が該当
- ^ アルバム『Logic system』
- ^ 主に初期。
- ^ 『Mondroid』や『Atmosphere』などが該当
- ^ 小室哲哉がプロデュースしたアーティスト。アルバム『Nuage』など。
- ^ ビデオゲーム『イースIII(PCエンジン版)』『サンダーセプター』『ドラゴンセイバー』等の楽曲をシンセポップアレンジしている。
- ^ 『Sailway』が該当
- ^ VintageKeys デモ楽曲(作者不詳)
出典
編集- ^ http://www.allmusic.com/subgenre/kraut-rock-ma0000002687
- ^ “Seona Dancing Biography, Albums, Streaming Links”. AllMusic. 14 February 2020閲覧。
- ^ S. Borthwick & R. Moy (2004), Popular Music Genres: an Introduction, pp. 121–3, ISBN 978-0-7486-1745-6