シクロヘキシルアミン: Cyclohexylamine)は、脂肪族アミンに属する有機化合物の一種。強いアミン臭を持つ無色の液体で、水と混和する。他のアミン類と同様、水酸化ナトリウムなどと比べ塩基性は弱いが、芳香族のアナログであるアニリンに比べると塩基性は強い。

シクロヘキシルアミン
Cyclohexylamine[1]
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識別情報
CAS登録番号 108-91-8 チェック
PubChem 7965
ChemSpider 7677 チェック
UNII I6GH4W7AEG チェック
EC番号 203-629-0
KEGG C00571 チェック
ChEBI
RTECS番号 GX0700000
特性
化学式 C6H13N
モル質量 99.17 g mol−1
示性式 C6H11NH2
外観 無色ないし黄色の液体
匂い 魚臭、アミン臭
嗅覚閾値 2.6ppm[3]
密度 0.8647 g/cm3
融点

-17.7 °C, 255 K, 0 °F

沸点

134.5 °C, 408 K, 274 °F

への溶解度 混和
溶解度 エタノールに易溶
エーテルアセトンエステルアルコールケトンに混和
酸解離定数 pKa 10.64[2]
屈折率 (nD) 1.4565
危険性
NFPA 704
3
3
0
Sフレーズ S36 S37 S39
R/Sフレーズ R21 R23 R25 R36 R37 R38 R41
引火点 28.6℃
発火点 293℃
爆発限界 1.5vol%-9.41vol%
半数致死量 LD50 11 mg/kg (ラット、経口)[3]
関連する物質
関連物質 アニリン
ピペリジン
ニトロシクロヘキサン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製法

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二通りの製法がある。主なものはニッケルまたはコバルト触媒として、アニリンを水素化する方法[4]

 

アンモニアを用いて、シクロヘキサノールアルキル化 (amine alkylationする方法もある。

用途

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防錆剤清缶剤や染色助剤、印刷インキ工業のフラッシング助剤としても用いられる[5]

スルフェンアミド加硫促進剤、粘液溶解薬鎮痛剤気管支拡張薬などの医薬品、除草剤ヘキサジノン (Hexazinone[4]をはじめとする、各種有機合成化学の中間原料となる。シクロヘキシルアミンとスルファミン酸との混合物に水酸化ナトリウムを反応させると、人工甘味料チクロが得られる。

化学物質排出把握管理促進法の第一種指定化学物質であり、同法に基づく集計によると、大気へは61.9%、公共水域へは75.3%がパルプ・紙・紙加工品製造業からの排出である[6]

安全性

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日本の法令では、毒物及び劇物取締法により劇物、消防法により危険物第4類第2石油類(水溶性)に指定されている[7]。 可燃性であり、引火点は28.6℃。 経口摂取のみならず、吸入や皮膚への接触によっても有毒である。皮膚や眼に対しては腐蝕性がある[7]半数致死量(LD50)は、ラットへの経口投与で11mg/kgの実験結果がある[6]。ヒトの体内では投与量の1~2%が脱アミノ代謝され、シクロヘキサノールtrans-シクロヘキサン-1,2-ジオールが生じる。

脚注

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 2735.
  2. ^ H. K. Hall, J. Am. Chem. Soc. (1957) 79 5441.
  3. ^ a b 製品情報-Cyclohexylamine東京化成工業
  4. ^ a b Karsten Eller, Erhard Henkes, Roland Rossbacher, Hartmut Höke "Amines, Aliphatic" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Weinheim, 2005. doi:10.1002/14356007.a02_001
  5. ^ Apps, E. A. (1958). Printing Ink Technology. London: Leonard Hill [Books] Limited. pp. ix 
  6. ^ a b 物質に関する基本的事項 [11]シクロヘキシルアミン (PDF)環境省
  7. ^ a b 製品安全データシート(安全衛生情報センター)