ザウエル&ゾーン 38H
ザウエル&ゾーン 38H(Sauer&Sohn 38H)は、ドイツのズールに拠点を置くザウエル&ゾーン社が開発した自動式拳銃である。第二次世界大戦中には、ドイツ国防軍の陸軍、空軍及びドイツ警察に制式採用された。
概要 | |
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種類 | 自動拳銃 |
製造国 | ドイツ国 |
設計・製造 | ザウエル&ゾーン社 |
性能 | |
口径 | 7.65mm |
銃身長 | 83mm |
ライフリング | 4条右回り |
使用弾薬 | .32ACP弾 |
装弾数 | 8発 |
作動方式 |
シンプルブローバック方式 シングルアクション ダブルアクション |
全長 | 171mm |
重量 | 705g |
銃口初速 | 275m/s |
概要
編集38HのHはHahnの頭文字で、ハンマー(撃鉄)装備を意味する。外面からはハンマーが見えないが、撃発機構に内蔵式ハンマーを使用する。
フレームの左側面にデコッキングレバーとマガジンリリースボタンがある。二番目の生産型を除き、マニュアルセーフティは無い。ハンマーが起きた状態でデコッキングレバーを押し下げるとハンマーが戻され、薬室に弾薬があっても安全に携帯できた。デコッキングレバーを押し上げるとハンマーを起こして、再び射撃準備が整う。引き金の根元には貫通孔があり、この孔が見えていると安全位置、引き金が下がって孔が隠れていると撃発位置であることを示した。薬室に弾薬があると、スライドの後端にインジケータピンがせり出した。また、マガジンを挿入しないと発砲できないマガジンセーフティを装備していた。
38Hの固定銃身、シンプルブローバック方式、内部構造はSIG SAUER P230、マニュアルセーフティを無くしてデコッキングレバーが安全装置の役割をする特徴はSIG SAUER P220へ、スイスのSIG社と共同開発した拳銃にそれぞれ引き継がれた。レバー操作でハンマーを引き起こす機能は、H&K P9Sでも採用された。
1938年から1945年までに大きく分けて三つの型が製造された。最初の生産型はスライド左側に「JP Sauer und Sohn」と「CAL 7.65」が刻印された。二番目の生産型では、スライドの左側面にマニュアルセーフティが追加された。三番目の生産型ではスライドの刻印が「CAL 7.65」のみとなり、マニュアルセーフティも廃止された。
参考資料
編集「ドイツ軍用ピストル図鑑1901-1945」(ホビージャパンMOOK 625)、ホビージャパン