コールド・スプリング・ハーバー研究所
コールド・スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory:CSHL)はアメリカ合衆国ニューヨーク州ロングアイランドにある民間非営利財団による研究所で、生物学・医学の研究および教育を目的とする。最先端の研究で世界的に知られ、ノーベル賞受賞者も出している。有名な港町コールド・スプリング・ハーバー(サフォーク郡ハンティントン町)の名を冠しているが、所在地はその西隣のナッソー郡ローレル・ホロー村である。
コールド・スプリング・ハーバー研究所 | |
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コールド・スプリング・ハーバー研究所 | |
正式名称 | Cold Spring Harbor Laboratory |
日本語名称 | コールド・スプリング・ハーバー研究所 |
所在地 |
アメリカ合衆国 ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーバングタウン通り1 |
予算 |
1億5000万ドル(2012年)[1] |
人数 | 360名以上の科学者[1] |
活動領域 | 分子生物学、量的生物学、バイオインフォマティクス、遺伝学 |
設立年月日 | 1890年 |
ウェブサイト | http://www.cshl.edu/ |
歴史
編集1890年にブルックリン財団が生物学研究所を、また1904年にワシントン・カーネギー協会が実験進化研究所をこの地に設立したのに始まる。カーネギー協会の研究所は1921年にカーネギー研究所遺伝学部門となり、遺伝学の発展に大きく寄与した。1962年に両研究所が合併しコールド・スプリング・ハーバー研究所となった。
研究所は20世紀前半には優生学研究でも知られた。「優生記録所」が置かれ、優生学者チャールズ・ダベンポートとハリー・ラフリンがここで「劣悪人物の家系に関する研究」を行った。これはアメリカの移民排斥に理論的根拠を与え、ナチスの思想とも無関係でないといわれる。この研究・施設は1935年に科学的でないと問題にされ閉鎖に至った。
1940年代には分子生物学の源流となる研究が行われた。1944年にはバーバラ・マクリントックがトウモロコシのトランスポゾンを発見した(1983年ノーベル医学生理学賞受賞)。またマックス・デルブリュックとサルバドール・ルリア(彼らはファージ・グループと呼ばれる)がここをバクテリオファージ研究の中心とし、さらにDNAが遺伝物質であることを示す実験をアルフレッド・ハーシー(1969年ノーベル医学生理学賞受賞)とマーサ・チェイスが行った。その他のノーベル賞受賞者にはリチャード・ロバーツとフィリップ・シャープ(イントロン構造の発見: 1993年ノーベル医学生理学賞受賞)、また受賞後(1962年ノーベル医学生理学賞)に2007年まで所長・会長を務めたジェームズ・ワトソンがいる。
研究振興・教育
編集所内での研究と並んで研究振興・教育にも力を入れている。1933年には出版局としてCold Spring Harbor Laboratory Press(CSH Press)が設立され、以来多数の学術誌と学術書・実験書を出版し続けている。
2013年11月より生物学分野を対象とする無料のプレプリントサーバーであるbioRxivの運営を行っている[2]。
集中講義や研究会も多数開催している。ルリアとデルブリュックによるファージ・コース(1948年)は、分子生物学草創期の指導者たちを育てたことで知られる。シンポジウム"Cold Spring Harbor Laboratory Symposium on Quantitative Biology"は1934年以来毎年開かれ、最新の研究テーマを取り上げている。このほか高校生や大学生のための指導なども行っている。
アクセス
編集ニューヨーク市内から
編集アムトラック、ロングアイランド鉄道などが発着するペンシルバニア駅からロングアイランド鉄道ハンチントン、ポート・ジェファーソン方面行きに乗りサイオセット駅で下車する。約1時間かかる。サイオセット駅からは研究所運営のシャトルバスがいれば無料で乗れる。いなければ電話をすると来てくれる。コールドスプリング・ハーバー駅も存在するが、そちらにはシャトルバスは行かない。
ジョン・F・ケネディ国際空港
編集日本からの国際便は多くここに発着する。エアトレインJFKを用いてロングアイランド鉄道ジャマイカ駅に行く。乗る時は改札は無いが、降りる時に改札が有り、改札内の券売機で$5のMTAカードを購入し、そのまま改札機に通して改札口を出る。ジャマイカ駅ではハンチントン、ポート・ジェファーソン方面行きに乗りサイオセット駅で下車する。そこからは上記参照。
ラガーディア空港
編集主にアメリカ国内線が発着する。MTA路線バスQ70-SBSに乗り、終点のロングアイランド鉄道、ウッドサイド駅まで行く。ウッドサイド駅からはジョン・F・ケネディ国際空港からのルート参照。
ニューアーク・リバティー国際空港
編集マンハッタンを挟み反対側に位置するためこちらを利用する事は薦めない。万一こちらに到着した場合は、空港のターミナルからエアトレインで結ばれているニューアーク・リバティー国際空港駅からニューヨーク・ペンシルベニア駅へニュージャージー・トランジット、アムトラックの電車が走っている。これを利用すれば、直通列車ならペンシルバニア駅まで所要時間は30分以内、料金も15.00ドル程度である。ペンシルベニア駅からは上記参照。
脚註
編集- ^ a b Cold Spring Harbor Laboratory - Facts & Figures / CSHL web site 最終閲覧日 2012年6月2日
- ^ “bioRxiv: a progress report”. ASAPbio. 2017年5月18日閲覧。