コレヒドール(Corregidor 複: ―es)は、中世19世紀初頭にかけて、スペインおよびその植民地に存在した地方行政官職の名称。

概要

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もとは中世後期のカスティーリャ王国において、王領地の自治都市に派遣され、市会を主宰、裁判権を掌握した臨時の直任官吏であったが、15世紀末には地方行政官として恒常化した。16世紀にはいると、スペイン領植民地の地方行政制度にも導入された。一方、本国(イベリア半島)では長らくカスティーリャ王国域のみの制度であったが、18世紀ブルボン朝の下でアラゴン王国域にも導入された。植民地では18世紀半ばの植民地行政改革によって廃止、本国でも1835年に廃止された。

コレヒドール職およびコレヒドールの管区をコレヒミエント(Corregimiento)という。またポルトガルに存在した類似の官職(同語源)をコレジェドール(Corregedor)という。

スペイン

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植民地

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アメリカ大陸

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1530年の勅令により、先住民の保護とエンコメンデロの抑制を目的として、ヌエバ・エスパーニャにコレヒミエントを新設、のちに植民地全体に設置された。コレヒドールはアウディエンシアに属した。管轄区とエンコミエンダの監視、民事及び刑事訴訟の管理、租税徴収や改宗の促進、交通の維持など任務は多岐にわたった。任期は原則として3年で、エンコメンデロ、土地や鉱山の所有者、官吏の親族はコレヒドールにはなれず、商業活動やインディオの使役を禁じられた。18世紀後半、ブルボン改革によりインテンデンシア制が導入されると、この官職は廃止された[1]

フィリピン

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脚注

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  1. ^ 大貫1987、p.174 :「コレヒドール」の項(染田秀藤 執筆)

参考文献

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  • 池上岑夫他監修『スペイン・ポルトガルを知る事典』(平凡社、1992/2001年)の該当項目(スペインについて立石博高、植民地について染田秀藤執筆)
    • 立石執筆分は同氏ホームページに再録。[1]
  • J.H.エリオット、藤田一成訳『スペイン帝国の興亡 1469-1716』岩波書店、1982年
  • 染田・篠原監修、大阪外国語大学ラテンアメリカ史研究会訳『ラテンアメリカの歴史 史料から読み解く植民地時代』世界思想社、2005年
  • 大貫良夫落合一泰、国本伊代、恒川恵市、福嶋正徳、松下洋『ラテン・アメリカを知る事典』平凡社、1987年。ISBN 4582126251 

関連項目

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