クロロジメチルシラン: Chlorodimethylsilane)は化学式(CH3)2SiHClで表されるシランの一種で、ジメチルクロロシランとも呼ばれる。また、DMCSの略称も使われる。ケイ素に二つのメチル基と、塩素原子・水素原子が一つずつ結合した構造を持つ。

クロロジメチルシラン[1]
識別情報
CAS登録番号 1066-35-9 チェック
PubChem 6327132
ChemSpider 59496 チェック
UNII XR7E4F5838 ×
EC番号 213-912-0
国連/北米番号 2924
特性
化学式 (CH3)2SiHCl
モル質量 94.62 g/mol
外観 無色ないしごく薄い黄色の液体[2]
密度 0.852 g/mL, 25 ℃
融点

-111 ℃

沸点

34.7 ℃

への溶解度 反応
危険性
GHSピクトグラム 可燃性腐食性物質急性毒性(高毒性)
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H224, H261, H314, H331
Pフレーズ P210, P231+232, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P261, P264, P271, P280, P301+330+331, P303+361+353
引火点 -20℃[2]
爆発限界 3-20%[2]
関連する物質
関連物質 ジクロロメチルシラン
ジクロロジメチルシラン
トリクロロシラン
トリメチルシラン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

結合角結合長を含む分子構造は、フーリエ変換マイクロ波分光法で決定された[3]

引火点は-20℃と低く、日本の消防法では危険物第4類特殊引火物に区分される。

反応

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本物質を還元剤インジウム化合物を触媒とすることにより、カルボニル化合物アルキル化剤とした芳香族化合物のモノアルキル化が選択的に進行することが発見されている[4]

水と旺盛に反応・分解し塩化水素を生じさせるため、使用・保管・消火などの際には水気を近づけないよう注意する必要がある。

脚注

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  1. ^ Sigma-Aldrich Handbook of Fine Chemicals 2007, page 654.
  2. ^ a b c クロロジメチルシラン”. 東京化成工業 (2018年7月10日). 2018年9月23日閲覧。
  3. ^ Kawashima, Y. (May 2001). “The rotational spectrum of chlorodimethylsilane using Fourier transform microwave spectroscopy”. Journal of Molecular Structure 563-564: 227–230. doi:10.1016/S0022-2860(00)00879-6. http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6TGS-435M5SD-13&_user=10&_rdoc=1&_fmt=&_orig=search&_sort=d&view=c&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=ee6bbf3a55e66bb4aa52f0925657b86c 2008年2月8日閲覧。. 
  4. ^ 宮井孝「Novel usage of indium catalyst for organic synthesis with organosilicon or organotin compounds" / インジウム触媒による有機ケイ素および有機スズ化合物を用いた合成反応の開発」博士論文14401甲第06856号、大阪大学、1999年、NAID 5000001762152021年4月20日閲覧