キープ (通貨)
キープあるいはキップ (Kip) は、ラオスの通貨単位。ISOによる略称はLAK。2023年8月16日現在、1USドル=1万7,296キープ[1]。補助通貨単位はアット (Att) で、1キープ=100アット。
キープ | |
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ກີບ | |
ISO 4217 コード | LAK |
中央銀行 | ラオス銀行 |
ウェブサイト | www |
使用 国・地域 | ラオス |
インフレ率 | 31.23% |
情報源 | The World Factbook, 2023年 |
補助単位 | |
1/100 | アット |
通貨記号 | ₭ / ₭N |
硬貨 | |
流通は稀 | 10, 20, 50アット |
紙幣 | |
広く流通 | 1000, 2000, 5000, 10000, 20000, 50000, 100000キープ |
流通は稀 | 1, 5, 10, 20, 50, 100, 500キープ |
1979年に行われたデノミネーションによって100旧キープが1新キープとなった。
現在流通している貨幣単位は、100,000、50,000、20,000、10,000、5,000、2,000、1,000、500、100、50、20、10、5、1キープである。ただし100キープ以下は既に古銭扱いで、500キープも流通は稀である。そのため500キープの釣銭が発生した場合で500キープの現金がない場合は、1000キープ単位に切り上げ・切り捨てられるか、駄菓子類などの現物が釣銭代わりとなる。硬貨は以前は10・20・50アットが存在したが、現在発行・流通していない。
国内経済がタイとの交易に依存していることからタイ・バーツ、更に国境を接する中国の人民元やUSドルが国内で日常的に流通していたが、ラオス政府の自国通貨使用運動により、少なくとも価格表示はほぼキープ表記になっており、外貨は使えてもレート面で不利なことも多くなっている。
紙幣
編集紙幣は5 kip、10 kip、20 kip、50 kip、100 kip、500 kip、1000 kip、2000 kip、5000 kip、10000 kip、20000 kip、50000 kip、100000 kip。現在ではほぼ1000 kip紙幣以上だけが使用されているが、稀に500キープも見かける。
なお、1988年までに発行された500 kip紙幣までは表に旧国章が描かれ、2003年以降に発行された1000 kip紙幣以降は1991年に制定された現国章が描かれている。
図柄 | 額面 | 図柄説明 | 発行年 | ||
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表面 | 裏面 | 表面 | 裏面 | ||
₭ 1 | 国旗を先頭にした軍隊の行進。先頭は兵士・農民・工場労働者・技術者の代表 | 学校での授業 | 1979 | ||
₭ 5 | 商店での商品販売 | 象による木材運搬 | 1979 | ||
₭ 10 | 製材工場 | 左・病院医療、右・近代医学による手術 | 1979 | ||
₭ 20 | ラオス人民解放軍の戦車 (T-55) と兵士、メコン川の軍船 | 近代織機を備えた工場 | 1979 | ||
₭ 50 | 水牛を使った代掻きと田植え、後方にヴィエンチャンのタート・ルアン | ナムグムダム | 1979 | ||
₭ 100 | 稲刈り、後方にタート・ルアン | メコン川の友好橋と石油精製施設を守る兵士 | 1979 | ||
₭ 500 | 近代灌漑施設と高圧送電線 | 果実の収穫 | 1988 | ||
₭ 1,000 | ラオ民族衣装の低地ラーオ族(ラーオルム)・丘陵地ラーオ族(ラーオトゥン)高地ラーオ族(ラーオスーン)の女性たちとタート・ルアン | 牛と水牛の放牧、後方に高圧送電線 | 2003 | ||
₭ 2,000 | カイソーン・ポムウィハーン ラオス人民革命党初代書記長とルアンパバーンのワット・シエントーン | Xeset水力発電所 | 2011 | ||
₭ 5,000 | カイソーン・ポムウィハーンとタート・ルアン | ヴァンヴィエンのセメント工場 | 2003 | ||
₭ 10,000 | カイソーン・ポムウィハーンとタート・ルアン | パクセー付近のメコン川にかかるパクセー橋 | 2003 | ||
₭ 20,000 | カイソーン・ポムウィハーンとワット・シエントーン | トゥン・ヒンブン水力発電所 | 2003 | ||
₭ 50,000 | カイソーン・ポムウィハーンとタート・ルアン | ヴィエンチャンの国家主席府 | 2004 | ||
₭ 100,000 | カイソーン・ポムウィハーンとタート・ルアン | ヴィエンチャンのカイソーン・ポムウィハーン博物館 | 2011 |
歴史
編集第二次大戦中から戦後
編集- 1945年、仏領インドシナ連邦下のラオスは3月、日本軍の仏印処理によりラオス王国として独立したが、日本が戦敗したことにより王国のラオス全土統一が機能せず、10月にはラーオ・イサラ(自由ラオス)勢力が新政権の樹立を宣言。この政権が10、20、50アット、1キープ紙幣を発行[2]。
- 1946年、フランス軍がラオスを再制圧、ラーオ・イサラ勢力がタイに亡命。ラオスはフランス連合下での独立国となる(正式には1949年より「ラオス王国」)。この時期、引き続きフランス領インドシナ・ピアストルが流通。発行はインドシナ銀行(Banque de L'Indochine)。1930年から1仏領インドシナ・ピアストル=10フランス・フランの固定レートだったが、1945年12月から1仏領インドシナ・ピアストル=17フランス・フランの為替レートに変更された。
- 1952年、「カンボジア・ラオス・ベトナム国立発券局(Institut d'Émission des États du Cambodge, du Laos et du Vietnam)」が仏領インドシナ・ピアストルとキープの両通貨(ピアストルとキープは等価)で紙幣を発行した。この時1、5、10、100ピアストル/キープ紙幣が発行された。また初めてキープ硬貨が発行され、すでに硬貨の表記はキープのみであった。1953年に1仏領インドシナ・ピアストル(=1キープ)=10フランス・フランの為替レートでのペッグに戻された。
- 1957年、仏領インドシナ・ピアストルとの両通貨併記の紙幣を廃止し、新キープ(通称「王国キープ」または「ヴィエンチャン・キープ (Kip Vientiane)」)が導入された。ラオス王国国立銀行 (Banque Nationale du Laos, Kingdom of Laos) 発行。シーサワーンウォン王の肖像画のある1、5、10、20、50、100キープ紙幣及び、仏暦2500年記念500キープ紙幣が発行された[2]。1962年に2代目国王のサワーンワッタナー王の肖像画の紙幣が発行された。200キープ、1,000キープも追加された。内戦等を経て、1974年の新シリーズでは500キープ、1,000キープ、5,000キープ紙幣も発行された。
社会主義革命後
編集- 1975年12月の社会主義革命後「ラオス人民民主共和国」が成立、1976年6月13日に新キープ(通称「パテート・ラオ (Phathet Lao)」キープ、または「解放キープ (liberation kip)」)が1パテートラオ・キープ=20王国キープの交換レートで導入された。
- 1979年12月16日にデノミ、通貨改革が実施され、新キープ(通称「ラオス人民民主主義共和国 (Lao PDR) キープ」または「国立銀行キープ (National Bank kip)」)が導入された。1新キープ=100旧(解放)キープとされた。
現在のLAKの為替レート | |
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Google Finance: | AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD THB CNY |
Yahoo! Finance: | AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD THB CNY |
Yahoo! ファイナンス: | AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD THB CNY |
XE: | AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD THB CNY |
OANDA: | AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY (/円) USD THB CNY |
記号の符号位置
編集記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
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₭ | U+20AD |
- |
₭ ₭ |
キープ記号 |
脚注
編集- ^ 独立行政法人日本貿易振興機構 (2023年8月22日). “最低賃金を160万キープへ再引き上げ(ラオス)”. 2023年8月24日閲覧。
- ^ a b http://www.atsnotes.com/catalog/banknotes/laos.html