リング(学名: Genypterus blacodes英語: ling)は、アシロ目アシロ科に属する[1]。体長2 m。南アフリカなど南半球の国々では重要な食用魚で日本にも輸入されている。肉は白身で、癖のない淡白な味わいである。

リング
リング Genypterus blacodes
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アシロ目 Ophidiformes
亜目 : アシロ亜目 Ophidioidei
: アシロ科 Ophidiidae
: Genypterus
: リング G. blacodes
学名
Genypterus blacodes
Forster, 1801
和名
リング
英名
Pink cusk-eel
Ling

分布

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南アフリカチリブラジルオーストラリアニュージーランドなどの近海の南半球の海に生息する[1]。表層から水深1,000 m までの深海で見られる。

形態・生態

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体長は最大で2 m に達するが[1]、普通は1 m 前後である。ただ、アシロの仲間の中では非常に大きくなる種であることは間違いない。体型はウナギのような円筒形に近いが、胴体は大きく太っており、尾部に向かうにつれて細くなっていく。背鰭(せびれ)・尾鰭(おびれ)・臀鰭(しりびれ)はつながって、横から見ると体の後半部を縁取るような形になっている。体色は全体的に薄いピンク色で、背側は褐色、腹側は白色に近い。また背側にはいくつかの濃褐色の斑紋や帯状模様が見られる。目は比較的小さく、口にはヒゲがある。

深海の海底付近を泳ぎ、甲殻類や他のを捕食する。動きは遅く、体を左右にくねらせて泳ぐ。

 
海綿動物の下に隠れるリング

食用

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南半球の生息海域周辺の地域では主に底引き網で漁獲され、食用魚として重要な役割を担っている。肉はあっさりとした白身で、癖がなく、現地ではフライなどにして好んで食べられる。高級魚として扱われている地域もある[1]。味は良いものの、日本ではまだまだ認知度の低い魚であるためか、「白身魚の〜」などと称して売られていることが多い。

1970年代始めから日本にも輸入されるようになった[1]。一般にはなじみのない魚であったため以前は「アマダイ」という名称で売られていたが[1]、分類学上無関係であるにもかかわらず高級魚類の類縁種であるような誤認(いわゆる優良誤認)を消費者にさせないよう[2]、「魚介類の名称のガイドライン」では本種に対して「アマダイ」の名称を使用しないことと定められた[3]。標準和名の「リング」に代わる一般的名称例として、「キングクリップ」が挙げられている[注釈 1][3]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「キングクリップ」はGenypterus capensisの標準和名でもある[4]

出典

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  1. ^ a b c d e f 水産総合研究センター広報課 編「おさかな一口メモ」『おさかな瓦版』(PDF)(レポート) No.3、水産研究・教育機構、2005年2月、3頁https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/book/kawaraban/files/no3.pdf#page=32024年12月26日閲覧 
  2. ^ 魚介類の名称のガイドライン』(PDF)(レポート)消費者庁、2015年3月30日、3頁https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220615_11.pdf#page=32024年12月26日閲覧 
  3. ^ a b 魚介類の名称のガイドライン』(PDF)(レポート)消費者庁、2015年3月30日、12頁https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220615_11.pdf#page=122024年12月26日閲覧 
  4. ^ おさかな普及センター資料館『輸入される外国産魚類の標準和名について(第20版)』(PDF)(レポート)豊洲市場協会、2024年2月15日、4頁https://www.toyosu-market.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2023/12/c094fcbb6753cc017c0a6b4bbeb9ffc5.pdf#page=42024年12月26日閲覧 

関連項目

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