キタリス(北栗鼠、Sciurus vulgaris)は、ネズミ目(齧歯目)リス科リス属に分類されるリスの一種。

キタリス
キタリス
キタリス Sciurus vulgaris
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: ネズミ目 Rodentia
亜目 : リス亜目 Sciuromorpha
: リス科 Sciuridae
: リス属 Sciurus
: キタリス S. vulgaris
学名
Sciurus vulgaris
Linnaeus, 1758
和名
キタリス
英名
Eurasian squirrel
Red squirrel

Sciurus vulgaris habitat.png

分布

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分布図

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形態

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冬毛のキタリス(デュッセルドルフのHofgartenにて)

体長22-27cm。尾長16-20cm。体重0.3-0.41kg。体毛には季節や亜種(地域)により変異がある。冬毛には外耳の先端には房状に体毛が伸長する[1]

新生児の体重は8-12g。生後10-13日で体毛が生え始め、生後3週間程で全身が完全に体毛で覆われる。生後1ヶ月程で眼が開く。門歯は下が生後22日程、上が生後35日程で生える。

亜種

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  • S. v. alpinus Desmarest, 1822
  • S. v. altaicus Serebrennikov, 1928
  • S. v. anadyrensis Ognev, 1929
  • S. v. arcticus Trouessart, 1906
  • S. v. balcanicus Heinrich, 1936
  • S. v. chiliensis Sowerby, 1921
  • S. v. cinerea Hermann, 1804
  • S. v. dulkeiti Ognev, 1929
  • S. v. exalbidus Pallas, 1778
  • S. v. fedjushini Ognev, 1935
  • S. v. formosovi Ognev, 1935
  • S. v. fuscoater Altum, 1876
  • S. v. fusconigricans Dvigubsky, 1804
  • S. v. leucourus Kerr, 1792
  • S. v. lilaeus Miller, 1907
  • S. v. mantchuricus Thomas, 1909
  • S. v. martensi Matschie, 1901
  • S. v. ognevi Migulin, 1928
  • S. v. orientis Thomas, 1906 エゾリス
  • S. v. rupestris Thomas, 1907
  • S. v. ukrainicus. Migulin, 1928
  • S. v. varius Gmelin, 1789
  • S. v. vulgaris Linnaeus, 1758

生態

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原産地では、平野から亜高山帯までの森林に生息する。昼行性で、樹上に枯れ木を組み合わせたり樹洞に苔や枯葉、毛等を敷いた巣を作る[1]冬眠は行わないが、冬季に巣に数日間篭ることはある。天敵としてはタカ類フクロウ類テン類等が挙げられる。

食性は植物食傾向の強い雑食で、果実種子、木の、若芽、樹皮樹液鳥類昆虫類等を食べる[1]。食物を貯めたり、地面に埋める事もある。

繁殖形態は胎生で、年に1回春季(環境が良い場合は春季と夏季の2回)に幼獣を産む。冬季に食物が少なかった場合は、夏季に幼獣を産む。メスのみが巣で幼獣を育てる。危険を感じると母親は幼獣を咥えて巣を移動する。幼獣は生後45日程で巣から離れ、生後8週間程で乳離れし独立する。生後1年程で性成熟するが、天敵に捕食される等の理由で生後1年を迎える個体は4分の1程しかいない。

人間との関係

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毛皮は革製品に利用され、特にロシアでは盛んに狩猟、取引される。

樹木の樹皮や若芽を食害する害獣。開発による生息地の破壊、毛皮目的やスポーツとしての狩猟等により生息数は減少している。

ペットとして飼育されることもあり、その歴史は古い。日本にも輸入されていた。しかしニホンリスとの競合、樹木の食害等の懸念から2006年外来生物法により亜種エゾリスを除いて特定外来生物に指定された[2]。そのため2008年現在は輸入、販売、譲渡、飼育等は禁止されている。

2013年の日本哺乳類学会の調査では狭山丘陵全域に生息し野生化していることが確認された[3][1]

出典

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参考文献

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  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、46頁。
  • 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科5 小型草食獣』、平凡社1986年、24-35、156頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館2002年、160頁。

脚注

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  1. ^ a b c d 財団法人自然環境研究センター編著 『最新 日本の外来生物』、平凡社2019年、41頁。ISBN 978-4-582-54260-8
  2. ^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 
  3. ^ “狭山丘陵 キタリス繁殖 野生化、国内初確認”. 東京新聞. (2013年12月9日). http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120990140541.html 2013年12月10日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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