ガーシュウィン・ワールド
『ガーシュウィン・ワールド』(原題:Gershwin's World)は、アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン、ハービー・ハンコックが1998年にヴァーヴ・レコードから発表したスタジオ・アルバム。日本で先行発売された[5]。
『ガーシュウィン・ワールド』 | ||||
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ハービー・ハンコック の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1998年3月 - 4月 ニューヨーク ライト・トラック・レコーディング、ソニー・ミュージック・スタジオ、ザ・ヒット・ファクトリー、マスターズ・アット・ワーク・スタジオ、RPMサウンド・スタジオ[3] 1998年6月 ロサンゼルス オーシャン・ウェイ・レコーディング、オー・ヘンリー・サウンド・スタジオ[3] | |||
ジャンル | ジャズ | |||
時間 | ||||
レーベル | ヴァーヴ・レコード | |||
プロデュース | ロバート・セイディン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ハービー・ハンコック アルバム 年表 | ||||
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背景
編集ジョージ・ガーシュウィン生誕100周年を記念したアルバムで[1][2][6]、収録曲の大部分はガーシュウィンの曲である。「ブルーベリー・ライム」は、ガーシュウィンのピアノ演奏や作曲のスタイルに大きな影響を与えたジェームス・P・ジョンソンの曲で[6]、本作ではハンコックとチック・コリアのピアノ・デュオという形で録音された[2]。「コットン・テイル」はデューク・エリントンの曲だが、ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム」のコード進行を参考に作られた[6]。また、「ピアノ協奏曲ト長調 第2楽章」は、モーリス・ラヴェルがアメリカでガーシュウィンと意気投合した後に、ジャズからの影響を取り入れて作った曲である[7]。
反響
編集母国アメリカでは、総合アルバム・チャートのBillboard 200入りは果たせなかったが、『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートでは1位を獲得した[8]。フランスのアルバム・チャートでは2週トップ100入りし、最高47位を記録した[4]。
評価
編集第41回グラミー賞では、本作が最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞し、収録曲「セント・ルイス・ブルース」は最優秀ボーカル入りインストゥルメンタル編曲賞の受賞[9]に加えて、同曲にゲスト参加したスティーヴィー・ワンダーが最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞を受賞した[10]。ジム・ニューサムはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「長いキャリアの中でも、特に優れた録音の一つ」「ハンコックと仲間達は、美からファンキーまで、パーカッシヴからメロディックまで、即興から堅実な編曲まで、ガーシュウィンの音楽および世界観を見事に周遊している」と評している[2]。また、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「他ジャンルからも多彩なゲストを多数迎えるなど、コンセプト・アルバムにふさわしいスリリングな展開が聴きもの」と評されている[1]。
収録曲
編集特記なき楽曲はジョージ・ガーシュウィン作曲。
- オーヴァーチュア(ファシネイティング・リズム) - "Overture (Fascinating Rhythm)" - 0:54
- イット・エイント・ネセサリリー・ソー - "It Ain't Necessarily So" - 4:46
- ザ・マン・アイ・ラヴ - "The Man I Love" - 5:57
- ハニー・マン - "Here Come De Honey Man" - 3:59
- セント・ルイス・ブルース - "St. Louis Blues" (W. C. Handy) - 5:50
- ララバイ - "Lullaby" - 11:03
- ブルーベリー・ライム - "Blueberry Rhyme" (James P. Johnson) - 3:31
- イット・エイント・ネセサリリー・ソー(インタールード) - "It Ain't Necessarily So (Interlude)" - 1:24
- コットン・テイル - "Cotton Tail" (Duke Ellington) - 4:44
- サマータイム - "Summertime" - 4:38
- マイ・マンズ・ゴーン・ナウ - "My Man's Gone Now" - 1:55
- プレリュード・インC#マイナー - "Prelude in C# Minor" - 4:45
- ピアノ協奏曲ト長調 第2楽章 - "Concerto for Piano and Orchestra In G, 2nd Movement" (Maurice Ravel) - 9:12
- エンブレイサブル・ユー - "Embraceable You" - 4:38
日本盤ボーナス・トラック
編集- サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー - "Someone to Watch Over Me" - 4:38
参加ミュージシャン
編集- ハービー・ハンコック - ピアノ(all songs)、オルガン(on #5)
- ジョニ・ミッチェル - ボーカル(on #3, #10)
- スティーヴィー・ワンダー - ボーカル(on #5)、ハーモニカ(on #5, #10)
- キャスリーン・バトル - ボーカル(on #12)
- ケニー・ギャレット - アルト・サクソフォーン(on #2, #4, #8)
- ジェームス・カーター - テナー・サクソフォーン(on #2)、ソプラノ・サクソフォーン(on #4)
- ウェイン・ショーター - テナー・サクソフォーン(on #3, #9)、ソプラノ・サクソフォーン(on #10)
- エディ・ヘンダーソン - トランペット(on #2)
- チャールズ・カーティス - チェロ(on #12)
- チック・コリア - ピアノ(on #7)
- マーロン・グレイヴス - ギター(on #4)、パーカッション(on #11)
- アイラ・コールマン - ベース(on #2, #3, #8, #9, #10, #12)
- アレックス・アル - ベース(on #5)
- バキティ・クマロ - ベース(on #11)、ギター(on #12)
- ロン・カーター - ベース(on #15)
- テリ・リン・キャリントン - ドラムス(on #2, #3, #5, #9)
- シロ・バプティスタ - パーカッション(on #1, #4, #8, #11, #12)
- Bireyma Guiye, Cheik Mbaye - パーカッション(on #1)
- Madou Dembele - ジャンベ(on #1, #2)
- Massamba Diop - トーキングドラム(on #1, #2)
- ロバート・セイディン - パーカッション・プログラミング(on #4, #11)
- オルフェウス室内管弦楽団(on #6, #13)
脚注
編集- ^ a b c “ハービー・ハンコック/ガーシュウィン・ワールド (廃盤)”. CDJournal. 音楽出版社. 2023年4月23日閲覧。
- ^ a b c d Newsom, Jim. “Herbie Hancock - Gershwin's World Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2023年4月23日閲覧。
- ^ a b CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b lescharts.com - Herbie Hancock - Gershwin's World
- ^ 日本初回盤CD (POCJ-1421)帯
- ^ a b c CD英文ライナーノーツ(ロバート・セイディン)
- ^ 谷口昭弘 (2021年8月22日). “ラヴェルとガーシュウィン—「ジャズ」が引き合わせた世界的作曲家”. 音楽之友社. 2023年4月23日閲覧。
- ^ “Herbie Hancock - Awards”. AllMusic. 2016年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月23日閲覧。
- ^ “Herbie Hancock - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2023年4月23日閲覧。
- ^ “Stevie Wonder - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2023年4月23日閲覧。
外部リンク
編集- ガーシュウィン・ワールド - Discogs (発売一覧)