カービー・ポール・スマート[2]1975年12月23日 - )は、アメリカンフットボールの元選手であり、コーチである。現在は母校であるジョージア大学英語版HCを務めており、2021年と2022年にチームを全米王者に導いた。

カービー・スマート
2023年のスマートコーチ
基本情報
役職 HC
チーム ジョージア大英語版
カンファレンス SEC
記録 94–16
年俸 $13 million [1]
人物
生誕 (1975-12-23) 1975年12月23日(48歳)
アラバマ州モンゴメリー, アメリカ合衆国
選手経歴
1995–1998 ジョージア大
ポジション DB
コーチ経歴 (特記無き場合HC)
1999 Georgia (admin. asst.)
ヘッドコーチ記録
勝敗 94–16
ボウル 9–2
トーナメント 5–1 (CFP)
受賞歴・記録
選手権
2 national (2021, 2022)
2 SEC (2017, 2022)
6 SEC East Division (2017–2019, 2021–2023)
受賞
George Munger Award (2017)
SEC Coach of the Year (2017, 2021, 2022)
Broyles Award (2009)
AFCA Assistant Coach of the Year (2012)
First-team All-SEC (1998)
Second-team All-SEC (1997)

幼少時/選手時代

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アラバマ州モンゴメリーで生まれ、ジョージア州ベインブリッジ英語版で高校のアメフトのコーチをしていた父の下育った[3][4]。 ベインブリッジ高校卒業後、ジョージア大学に進学。当時、DEアントニオ・コクラン英語版、エマーロス・レロイ、LBのブランドン・トルバートや後にプロフットボール殿堂入りたチャンプ・ベイリースーパーボウルMVPを受賞するCBハインズ・ウォードとチームメートで、スマートはDBとして4年間プレイ。4年生時にはAll-SECの1stチームに選出された優秀な選手であった。1997年に6度、1998年に5度を含むキャリア13度のインターセプトを決め、現在大学4位の記録も持っている 。学業も秀でていて4度のSECアカデミック・オナーに選出、1998年に財政学の学士号を取得し大学のテリー・カレッジオブビジネス英語版を卒業。1999年のNFLドラフトでドラフト外となるもインディアナポリス・コルツとFA契約し、プレシーズンゲームには参加するも結果を残せずレギュラーシーズン開始前に解雇される[5][6]。2003年にカレッジフットボールでも有数の実力校であるフロリダ州立大学の卒業式に参加した。

コーチキャリア

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初期

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スマートは1999年に運営アシスタントとしてジョージア大学でコーチキャリアをスタート。バルドスタステート大学英語版に移りDBコーチから2001年にディフェンシブコーディネーター(DC)に昇格。 2002,03年は修士号取得の間にボビー・ボウデン英語版率いるフロリダ州立大学にて学士アシスタントとして経験を積む。2003年にフロリダ州立大の学士号を取得。2004年にニック・セイバンが率いていたLSUにディフェンシブバック(DB)のコーチとして過ごし、2005年シーズンはジョージア大学のRBコーチとして戻ってくる。NFLコーチも経験しており、2006年にこちらもニック・セイバンが当時率いていたマイアミ・ドルフィンズセイフティ コーチとして1シーズン在籍していた。

アラバマ大時代

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2007年にニック・セイバンとともにアラバマ大学のコーチとなる。1月9日当初はアシスタントコーチとしての就任だったが翌年2月にDCに昇格。アラバマ大がテキサス大相手にBCSナショナルチャンピオンシップで勝利し全米王者となる2009年シーズンでは、12月8日に最優秀アシスタントコーチに贈られるブロイルズ・アワード英語版をアラバマ大のコーチとして初受賞。2010年1月には母校であるジョージア大のDC就任オファーもあったものの、スマートは固辞し残留。2011年シーズンに彼が率いたディフェンスチームの活躍もあり、BCSチャンピオンシップでLSUを破り2度目の優勝。2012年3月27日に給与増加と契約延長がアラバマ大の理事会にて決定。2012年シーズンにはコーチ理事会選出のアシスタントコーチオブザイヤー賞英語版を受賞。強力なディフェンス力の働きもあり、ノートルダム大相手に勝利し全米連覇を果たす。2013年4月16日にカレッジフットボールのDCとしては最高額の20万ドルの契約を獲得。2015年シーズンにはCFPナショナルチャンピオンシップでクレムソン大に勝利しまたも全米優勝を果たした。

HCとしてジョージア大学へ

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2015年12月6日、ジョージア大学はスマートを第26代HCとして就任させることを決定。

 
2013年当時アラバマ大のDC時代のスマート

2016年シーズン

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ジョージア大HCとして迎えた初試合は全米22位のノースカロライナ大学戦。33-24で初勝利となった。11月12日、当時全米8位のオーバーン大学に13-7でアップセットを果たす。初年度の最終成績は8勝5敗で、SEC東地区2位タイでフィニッシュ。リバティボウルにてテキサスクリスチャン大相手に31-23で勝利をし、シーズンを終了する。

2017年シーズン

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このシーズンはサウスカロライナ大相手に勝利したことで大学にとって1982年シーズン以来となる開幕9連勝・SEC東地区優勝を果たした。12月2日にチャンピオンシップゲームに勝利し2005年以来となるSEC優勝、大学としては4度目となるシーズン12勝を記録(1980年/2002年/2012年以来となる大学4度目の快挙であった)[7][8][9]。評議の結果ジョージア大は全米3位でCFPに進出、ローズボウル(準決勝)でオクラホマ大と対戦。前半14-31のビハインドを背負うも意地を見せ、ローズボウル史上初となる2OTの接戦で54-48の逆転勝利を飾る[10]。ナショナルチャンピオンシップは古巣のアラバマ大戦。先発QBのジェイレン・ハーツに仕事をさせず前半をリードしたものの控えQBで1年生のトゥア・タゴヴァイロアの活躍で最後はOTにデボンタ・スミスへの41ヤードタッチダウンが決まり優勝を逃す[11]。スマート地震はSECコーチオブザイヤーを受賞した[12]

2018年シーズン

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レギュラーシーズンは11勝1敗でフィニッシュ。唯一の敗戦は16-36での敗戦となった当時の全米13位LSU戦[13]。東地区王者となりチャンピオンシップゲームに臨むもアラバマ大相手に28-35で敗れた[14][15][16]。CFP出場を逃し全米5位となったジョージア大はシュガーボウルに出場。当時全米15位だったテキサス大相手に21-28で敗れた[17]

2019年シーズン

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このシーズンも昨季同様レギュラーシーズンは11勝1敗。全米7位のノートルダム大・全米6位のフロリダ大にも勝利した[18]。17-20でサウスカロライナ大相手に唯一の敗戦を喫した[19][20]。3年連続チャンピオンシップゲーム出場を果たしたがLSU戦で10-37の大敗[21][22]。 2年連続となるシュガーボウルに参加。全米5位のジョージア大対7位のベイラー大相手に26-14で勝利した[23]

2020年シーズン

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新型コロナウイルスの影響で短縮シーズンとなったこのシーズンは、レギュラーシーズンを当時全米2位のアラバマ大・8位のフロリダ大に敗れたのみの7勝2敗で終了。もともと他カンファレンスのチームとも対戦が予定されたが試合中止が発表され、SECの西地区チーム(アーカンソー大・ミシシッピ州立大)と追加で対戦することとなったシーズンだった。ヴァンダービルト大との対戦も発表されていたものの、コロナウイルスの陽性反応がヴァンダービルト大側にあり試合中止となった。SEC東地区2位でフィニッシュし、ピーチボウルに出場。全米9位のジョージア大は8位のシンシナティ大に24-21で勝利した。

2021年シーズン

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レギュラーシーズンを12勝無敗で終えたジョージア大は、アラバマ大と3年ぶりのSECチャンピオンシップゲームを戦い24-41で大敗する。しかしジョージア大はシーズン無敗の実績を評価され全米3位でCFPに進出となる。準決勝はオレンジボウルとして行われたミシガン大戦で、34-11で快勝。ナショナルチャンピオンシップはSECチャンピオンシップで敗れたアラバマ大戦。33-18で勝利し雪辱を果たしたジョージア大は1980年以来31年ぶりの全米王者を獲得した。これまでアラバマ大のニック・セイバンHCアシスタントコーチを務めた監督で勝利していたのは、LSU時代のアシスタントで当時テキサスA&M大のHCだったジンボ・フィッシャー英語版のみだったが、この勝利で2人目となりアラバマ大時代のアシスタントで初めて勝利したHCとなった。2021年SECコーチオブザイヤーも受賞している。

2022年シーズン

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2022年7月、スマートは10年総額1億1250万ドルの契約延長に同意。カレッジフットボールコーチとして最高額を記録。APランキング3位でスタートしたジョージア大は、開幕戦で全米11位だったオレゴン大と対戦し49-3と圧勝。その後7連勝し、当時CFPランク1位、APランク2位だったこちらも無敗であったテネシー大戦。27-13で勝利しそのままCFPランク1位を続けたチームはSECチャンピオンシップゲームでLSUと対戦。50-30で破りCFPに出場。CFP準決勝はオハイオ州立大戦。接戦の末42-41で勝利し、ナショナルチャンピオンシップはTCU戦。65-7の大勝となり、2011・12年とアラバマ大を全米王者に導いたニック・セイバン以来となる全米連覇を果たす。SECコーチオブザイヤーも2年連続3回目の受賞を果たした。

2023年シーズン

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2023年シーズン最初にジョージア大は、APランク・コーチ投票でも1位を獲得。開幕戦はAACに所属しているUAB英語版戦で、49-21で勝利。この勝利で、通算100戦85勝15敗とSECコーチとして最高勝率を果たしたコーチになった。そこから第12週のライバルチーム・ジョージア工科大戦に31-23で勝利しシーズン12勝無敗にしてSEC記録となる29連勝を果たしレギュラーシーズンを終える。1980-82シーズンのジョージア大に並ぶ3季連続のSEC同士の対戦を無敗で終えるという記録を作った。この記録が止まったのはSECチャンピオンシップゲームのアラバマ大戦。24-27で敗れてしまったことでCFP出場が絶たれ、全米3連覇の夢が潰えた。オレンジボウルに出場し、フロリダ州立大と対戦。オレンジボウル・昨年のナショナルチャンピオンシップを超える点差である60点差での勝利(63-3)でシーズンを終えた。

2024年シーズン

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2024年5月、スマートとジョージア大は10年総額1億3000万ドルの契約延長に合意。再度カレッジフットボールコーチとして史上最高額を記録[24]

私生活

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2023年のCFPチャンピオンシップでレポーターの前でポーズを決めるスマート家の家族

ジョージア大のバスケットボールプレーヤーだったメアリー・”ベス”エリザベス・リセットと結婚し、3人の子どもに恵まれている。

ヘッドコーチ記録

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全体戦績 SEC内戦績 順位 ボウルゲーム/チャンピオンシップ コーチランク APランク
ジョージア・ブルドッグス(SEC) (2016-現在)
2016 8-5 4-4 2位タイ リバティボウル勝利
2017 13-2 7-1 東1位 ローズボウル勝利、ナショナルチャンピオンシップ敗北 2 2
2018 11-3 7-1 東1位 シュガーボウル敗北 8 7
2019 12-2 7-1 東1位 シュガーボウル勝利 4 4
2020 8-2 7-2 東2位 ピーチボウル勝利 7 7
2021 14-1 8-0 東1位 オレンジボウル勝利、ナショナルチャンピオンシップ優勝 1 1
2022 15-0 8-0 東1位 ピーチボウル勝利、ナショナルチャンピオンシップ優勝 1 1
2023 13-1 8-0 東1位 オレンジボウル勝利 3 4
合計 94-16 56-9

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脚注

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  1. ^ Riley, Connor (2022年8月4日). “Full details of Kirby Smart contract released by Georgia football program” (English). DawgNation. 2022年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  2. ^ “Lycett-Smart wedding”. Athens Banner-Herald. (October 8, 2006). https://www.onlineathens.com/stories/100806/celebrations_20061008122.shtml 2015年12月3日閲覧。. 
  3. ^ Rudolph (2023年5月10日). “Kirby Smart recalls key lesson learned from his father's own high school coaching tenure” (英語). On3. 2023年12月1日閲覧。
  4. ^ Leathers (2015年12月3日). “From small towns to Sanford Stadium, Kirby Smart is the same man he was back when”. Sowega Live. 2019年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月7日閲覧。
  5. ^ Rill (2018年8月21日). “Kirby Smart reflects on his playing career at Georgia: 'I wouldn't sign me'” (英語). Saturday Down South. 2023年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  6. ^ Johnson (2018年1月8日). “Comparing the playing careers of Saban and Smart” (英語). SBNation.com. 2018年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  7. ^ Southeastern Conference Index” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  8. ^ Georgia Bulldogs College Football History, Stats, Records” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  9. ^ 2017 Southeastern Conference Year Summary” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年4月10日閲覧。
  10. ^ Tracy (2018年1月2日). “An Unrelenting Georgia Wears Down Oklahoma in a Clash of Styles” (英語). The New York Times. 2019年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
  11. ^ Walk-off: Alabama beats Georgia in OT for national title” (英語). ESPN.com (2018年1月9日). 2023年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
  12. ^ SEC Coach of the Year Winners” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2022年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  13. ^ Georgia at LSU Box Score, October 13, 2018” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2022年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  14. ^ Alabama vs Georgia Box Score, December 1, 2018” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  15. ^ 2018 Georgia Bulldogs Schedule and Results” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  16. ^ 2018 Southeastern Conference Year Summary” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年4月10日閲覧。
  17. ^ Sugar Bowl – Texas vs Georgia Box Score, January 1, 2019” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
  18. ^ Notre Dame at Georgia Box Score, September 21, 2019” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2022年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  19. ^ 2019 Georgia Bulldogs Schedule and Results” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2022年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  20. ^ Georgia vs Florida Box Score, November 2, 2019” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2022年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月10日閲覧。
  21. ^ 2019 Southeastern Conference Year Summary” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年4月10日閲覧。
  22. ^ Blinder (2019年12月8日). “L.S.U. Makes Case for Top Seed in Playoff With SEC Win” (英語). The New York Times. 2023年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
  23. ^ Sugar Bowl – Baylor vs Georgia Box Score, January 1, 2020” (英語). College Football at Sports-Reference.com. 2023年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月10日閲覧。
  24. ^ Low (2024年5月5日). “Georgia makes Kirby Smart college football's first $13M coach”. ESPN.com. 2024年6月1日閲覧。