エイルザ侯爵: Marquess of Ailsa)は、イギリスの侯爵位、貴族連合王国貴族爵位。スコットランド貴族第12代カセルス伯爵アーチーボルド・ケネディ1831年に叙されたことに始まる[1][2]

エイルザ侯爵
Marquess of Ailsa
創設時期1831年9月10日
創設者ウィリアム4世
貴族連合王国貴族
初代12代伯アーチボルド・ケネディ
現所有者9代侯デイヴィッド・ケネディ
相続資格初代侯の嫡出直系男子
付随称号
  • カセルス伯爵(S
  • ケネディ卿(S)
  • エイルザ男爵
旧邸宅
モットー終わりを考慮せよ (AVISE LA FIN)
侯爵家当主はケネディ氏族英語版の氏族長を務める

爵位名はクライド湾に浮かぶ小島(アルサクレイグ島)に由来し、同島は長くケネディ家の所有であったが、2013年に売却された[3]。また、侯爵家の当主はケネディ氏族英語版の氏族長を務める。

かつての邸宅には、カセルス・ハウス、エアーシャー州メイボール英語版近郊のクレイン城英語版などがあった[4]

歴史

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侯爵家の旧邸宅であるカセルスハウス。スコットランド、エアシャー地方に現存。[5]
 
エイルザ侯爵ケネディ家がかつて領していたアルサクレイグ島

スコットランドの有力氏族であるケネディ家の歴史は長く、14世紀末までにその先祖の存在を確認することができる。その中でも、ギルバート・ケネディ英語版(1406頃‐1480頃)がスコットランド王ジェームズ3世の御世の1457年ケネディ卿(Lord Kennedy)に叙されたことはのちのエイルザ侯爵家につながる出来事であった[6]

1509年には、初代卿の孫でスコットランド枢密院顧問官を務めた3代卿デイビッド(1463–1513)カセルス伯爵(Earl of Cassillis)[註釈 1]に叙された[7]

その後も初代伯の系統は7代伯ジョン(1653–1701)まで爵位継承を続けたが、その孫である8代伯ジョン(1700–1759)1759年に嗣子なく没してしまう[7]。この際に、伯爵位及び卿位が「男系相続(heir male)であるのか、女系も含めた相続(heir general)であるのか」を巡って論争となった。男系の場合は、3代伯の男系子孫であるクレインのケネディ準男爵英語版家当主のトマス・ケネディ(1726-1775)が継承者であった。一方で女系の継承者として、7代伯の娘の孫にあたる第4代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラスがその爵位の継承を主張したため、貴族院による裁定を求める運びとなる[7]

これに対して、貴族院は1762年に『カセルス伯爵位及びケネディ卿位は男系子孫がこれを承継する』との決定を下したため、トマス・ケネディが第9代カセルス伯爵を襲うこととなった[7][8]

9代伯ののちは弟のデイヴィッドが爵位を相続した。しかし、10代伯デイヴィッド(1727-1792)には男子がなかったため、(クレインのケネディ)準男爵位は廃絶、カセルス伯爵位は遠縁アーチボルド・ケネディ(?–1794)が爵位を相続した[7]

その息子である12代伯アーチボルド(1770–1846)は国王ウィリアム4世の親しい友人であり、次男がウィリアム4世の庶出の娘と結婚したほか[9]、1831年9月10日には連合王国貴族であるエアシャーにおけるエイルザ島エイルザ侯爵(Marquess of Ailsa, of the Isle of Ailsa in the County of Ayr)に叙されて、今に続く侯爵家の祖となった[10]

現在もその初代侯の系統で続いており、彼が1806年連合王国貴族としてエアー州エイルザのエイルザ男爵(Baron Ailsa, of Ailsa in the County of Ayr)に叙されたため、1999年貴族院法制定まで侯爵家当主は自動的に貴族院に議席を持ち続けていた[11][12]

現当主の保有爵位

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現当主である第9代エイルザ侯爵デイビッド・トーマス・ケネディは以下の爵位を保有している[11]

  • 第9代エアー州エイルザ島のエイルザ侯爵(9th Marquess of Ailsa, of the Isle of Ailsa in the County of Ayr)
    (1831年9月10日の勅許状による連合王国貴族爵位)
  • 第20代カセルス伯爵(20th Earl of Cassillis)
    (1509年創設のスコットランド貴族爵位)
  • 第22代ケネディ卿(22nd Lord Kennedy)
    (1457年創設のスコットランド貴族爵位)
  • 第9代エアー州エイルザのエイルザ男爵(9th Baron Ailsa, of Ailsa in the County of Ayr)
    (1806年11月12日の勅許状による連合王国貴族爵位)

一覧

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ケネディ卿(1457年)

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カセルス伯爵(1509年)

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エイルザ侯爵(1831年)

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法定推定相続人は現当主の息子であるカセルス伯爵(儀礼称号)アーチボルド・デイビッド・ケネディ(1995–)。

脚注

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註釈

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  1. ^ 実際の発音は、([ˈkæsəlz] KASS-əlz)であり、対応するカタカナ表記では「カサルズ」。

出典

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  1. ^ "No. 18846". The London Gazette (英語). 9 September 1831. p. 1833.
  2. ^ Cokayne(1910), p. 67.
  3. ^ Kevin McKenna, 'Ailsa Craig, granite jewel of the Firth of Clyde, finally finds a buyer', The Guardian, Saturday 7 December 2013
  4. ^ "Battle brews over castle 'clearances'". www.scotsman.com (英語). 2019年11月28日閲覧
  5. ^ Battle brews over castle 'clearances'” (英語). www.scotsman.com. 2019年11月28日閲覧。
  6. ^ Kennedy, Lord (S, 1457-8)”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日閲覧。
  7. ^ a b c d e Cassillis, Earl of (S, 1509)”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日閲覧。
  8. ^ The Complete Peerage, vol. III, pp 78 – 79
  9. ^ Paul, James Balfour, Sir, ed. (1905). The Scots Peerage (英語). Vol. II. Edinburgh: David Douglas. pp. 496–501.
  10. ^ "No. 18846". The London Gazette (英語). 9 September 1831. p. 1833.
  11. ^ a b Ailsa, Marquess of (UK, 1831)”. Cracroft's Peerage. 2019年11月29日閲覧。
  12. ^ No.15971”. The Gazette 1 November 1806. 2019年11月29日閲覧。

関連項目

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参考図書

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