カイカシー
叙事詩ラーマーヤナにおけるラーヴァナの母
カイカシー(梵: कैकसी, Kaikasī)は、インド神話に登場するラークシャサの女性(ラークシャシー)である。ラークシャサの王スマーリンの娘で、ヴィシュラヴァスの妻、ラーヴァナ、クンバカルナ、シュールパナカー、ヴィビーシャナの母。
神話
編集叙事詩『ラーマーヤナ』によると、スマーリン王の時代、ラークシャサはランカー島から追い払われ、地下世界パーターラに亡命し、王都ランカーはヤクシャ族の王であり富の神であるクヴェーラ神の支配するところとなっていた。そこでスマーリンは一族の再興のため、娘のカイカシーを1人の男と結婚させた。それがクヴェーラ神の父ヴィシュラヴァスであった。カイカシーはヴィシュラヴァスとの間にクヴェーラ神の異母兄弟であるラーヴァナ、クンバカルナ、シュールパナカー、ヴィビーシャナを生んだ。ラーヴァナが長じると、カイカシーはクヴェーラ神と戦って都を取り戻すよう諭した。そこで彼女の子供たちは苦行を積み、ブラフマー神に認められて強大な力を与えられた。そしてクヴェーラ神と戦って都を取り戻し、ラークシャサ族の再興を果たした[1][2][3]。
もう一方の叙事詩『マハーバーラタ』では、ヴィシュラヴァスの妻と結婚してラーヴァナの母となったラークシャシーの名はプシュポートカターとなっている[4][5][6]。
脚注
編集参考文献
編集- 『ラーマーヤナ 世界文学全集III-2』阿部知二訳、講談社、1966年。
- 『原典訳 マハーバーラタ4』上村勝彦訳、ちくま学芸文庫、2002年。ISBN 4-480-08604-8。
- 『インド神話 マハーバーラタの神々』上村勝彦訳、ちくま学芸文庫、2003年。ISBN 4-480-08730-3。
- 菅沼晃編 編『インド神話伝説辞典』東京堂出版、1985年。ISBN 4-490-10191-0。