オツネントンボ
オツネントンボ(学名:Sympecma paedisca (Brauer, 1877))は、トンボ目アオイトトンボ科オツネントンボ属に属するイトトンボの一種。トンボの多くがヤゴとして越冬するが、本種は成虫のまま越冬することが知られている。
オツネントンボ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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オツネントンボ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Sympecma paedisca (Brauer, 1877) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
オツネントンボ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Siberian Winter Damselfly |
特徴
編集成虫のまま越冬する数少ないトンボ。「越年トンボ」と呼ばれる一つの種で、和名のオツネンは成虫のまま越冬することに由来する[1][2]。[注釈 1][1][3]
体色は淡い褐色で、雌雄ともに成熟過程で複眼が青くなるだけでほとんど体色が変化しない[3][4]。体長はオスが37-41 mm、メスが35-41 mm[3]。翅には青銅色の斑紋があり[5]、後翅長はオスが20-24 mm、メスが21-24 mm[3]。ヤゴの尾鰓は3枚で木の葉の形状[6]。河川や池などに生息。成熟したオスは縄張りを持ち、翅を閉じて水辺で静止している[3][7]。ヤゴの全長は約27 mmで[3]、ホソミオツネトンボ(全長は約22 mm)[8]に似ている。
本種の学名が、同属のSympecma annulate Seles, 1877やSympecma striata St. Quentin, 1963と混乱されていたことがあった[3]。
生活史
編集卵の期間は1-2週間ほどで、年に1回の産卵を行う[3]。ヤゴ(幼虫)の期間は1.5-3か月[3]。7-9月にヤゴが羽化して成虫となり、未熟のまま越冬し翌年交尾して、植物の組織内に卵を産み付ける[5][1]。冬期は主に山林の木の皮の間や建物の隙間などで越冬する[3][9]。越冬するオツネントンボの生存率は諸説あるが、年によって生存率が変動するものと考えられている[10]。春になると成熟し、複眼が青色になる[5]。
分布
編集ヨーロッパ、ロシア、中央アジア、中国、朝鮮半島および日本の北海道、本州、四国、九州北部に分布する[3]。大分県が日本の分布の南限[11]。平地から山地にかけて、抽水植物が多く生育する明るい池や沼に分布する[3][4][12]。
種の保全状態評価
編集水質汚濁や土地開発の影響を受けやすく[5]、個体数を減らしている地域もある。例えばオランダでも個体数や生息域が減少している[10]。
日本では以下の多数の都道府県により、レッドリストの指定を受けている[13]。関東地方と北陸地方などで現存が確認できる産地が激減している地域がある[3][5]。
近縁種
編集- Common Winter Damselfly (Sympecma fusca)
脚注
編集注釈
編集- ^ 他に日本で成虫として越冬するトンボとして、ホソミオツネントンボ(Indolestes peregrinus)とホソミイトトンボ(Aciagrion migratum)が知られている。
出典
編集- ^ a b c トンボのすべて (1999)、73頁
- ^ a b “しまねレッドデータブック・オツネントンボ”. 島根県 (2002年3月). 2013年4月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 日本のトンボ (2012)、16-17頁
- ^ a b トンボのすべて (1999)、40頁
- ^ a b c d e f “いしかわレッドデータブック動物編2009” (PDF). 石川県 (2009年). 2013年4月6日閲覧。
- ^ トンボのすべて (1999)、112頁
- ^ トンボのすべて (1999)、106-107頁
- ^ 日本のトンボ (2012)、18-19頁
- ^ 「“間借り”し越冬?オツネントンボ 山形市の千葉さん宅で見つかる」山形新聞、2010年1月9日(2011年5月27日閲覧)
- ^ a b R. MANGER & N.J. DINGEMANSE (2009) ADULT SURVIVAL OF SYMPECMA PAEDISCA (BRAUER) DURING HIBERNATION (ZYGOPTERA: LESTIDAE). Odonatologica 38(1): 55-59
- ^ a b “レッドデータブックおおいた” (PDF). 大分県. pp. 361 (2000年). 2013年4月6日閲覧。
- ^ トンボのすべて (1999)、128-129頁
- ^ 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示されます。“日本のレッドデータ検索システム(オツネントンボ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2013年4月6日閲覧。
- ^ “千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 232 (2011年). 2013年4月6日閲覧。
- ^ “東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2010年版” (PDF). 東京都. pp. 65 (2010年). 2013年4月6日閲覧。
- ^ “京都府レッドデータブック・オツネントンボ”. 京都府 (2002年). 2013年4月6日閲覧。
参考文献
編集- 井上清、谷幸三『トンボのすべて』トンボ出版、1999年6月1日。ISBN 4887161123。
- 尾園 暁、川島逸郎・二橋 亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2012年6月19日。ISBN 978-4-8299-0119-9。