オガム文字 (Unicodeのブロック)

Unicodeのブロック

オガム文字(ここにヨミガナをかく、英語: Ogham)は、Unicodeの43個目のブロック

オガム文字 (Unicodeのブロック)
Ogham
範囲 U+1680..U+169F
(32 個の符号位置)
基本多言語面
用字 オガム文字
主な言語・文字体系
割当済 29 個の符号位置
未使用 3 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
3.0 29 (+29)
公式ページ
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解説

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アイルランド4世紀6世紀頃にアイルランド語の古語である原アイルランド語古アイルランド語を表記するために用いられていたオガム文字を収録している。Unicode上では一番最初に来る、現在話されている言語の表記に用いられる文字が一つも存在しないブロックである。

オガム文字は音素文字のうち、母音と子音に独立した文字が割り当てられているアルファベットに分類される。書字方向ラテン文字などと同様に左から右に横書き(左横書き)するか、或いは下から上に向かって縦書きをする。Unicode上では左横書き文字として定義されている。

単語毎に分かち書きをするが、全ての文字を軸でつないで表記するため、通常のスペースではなく何も文字が書かれていない軸単体(U+1680   OGHAM SPACE MARK)を単語境界に用いる。また、文境界については文の終わりだけでなく文の開始についてもそれを表現する約物が存在する。

符号位置の順序はおおむね伝統的なオガム文字の順序に従っており、文字名についても樹木の名前に因んだ伝統的な名前が付けられている。

Unicodeのバージョン3.0において初めて追加された。

収録文字

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コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
スペース
U+1680 OGHAM SPACE MARK オガム文字における単語境界用のスペース
伝統的な字母
U+1681 OGHAM LETTER BEITH 音素[b]を表す。 b
U+1682 OGHAM LETTER LUIS 音素[l]を表す。 l
U+1683 OGHAM LETTER FEARN 音素[w]を表す。 f
U+1684 OGHAM LETTER SAIL 音素[s]を表す。 s
U+1685 OGHAM LETTER NION 音素[n]を表す。 n
U+1686 OGHAM LETTER UATH 音素[j]を表す。 h
U+1687 OGHAM LETTER DAIR 音素[d]を表す。 d
U+1688 OGHAM LETTER TINNE 音素[t]を表す。 t
U+1689 OGHAM LETTER COLL 音素[k]を表す。 c
U+168A OGHAM LETTER CEIRT 音素[kʷ]を表す。 q
U+168B OGHAM LETTER MUIN 音素[m]を表す。 m
U+168C OGHAM LETTER GORT 音素[ɡ]を表す。 g
U+168D OGHAM LETTER NGEADAL 音素[ɡʷ]を表す。 ng
U+168E OGHAM LETTER STRAIF 音素[st], [t͡s]或いは[sʷ]を表す。 z
U+168F OGHAM LETTER RUIS 音素[r]を表す。 r
U+1690 OGHAM LETTER AILM 音素[a]を表す。 a
U+1691 OGHAM LETTER ONN 音素[o]を表す。 o
U+1692 OGHAM LETTER UR 音素[u]を表す。 u
U+1693 OGHAM LETTER EADHADH 音素[e]を表す。 e
U+1694 OGHAM LETTER IODHADH 音素[i]を表す。 i
フォルフェダ(補助的な字母)
U+1695 OGHAM LETTER EABHADH 二重母音[ea],[eo]或いは音素[k], [x]を表す。 ea
U+1696 OGHAM LETTER OR 二重母音[oɪ]を表す。 oi
U+1697 OGHAM LETTER UILLEANN 二重母音[uɪ]を表す。 ui
U+1698 OGHAM LETTER IFIN 二重母音[ia]を表す。 ia
U+1699 OGHAM LETTER EAMHANCHOLL 音素[x]或いは二重母音[aɪ]を表す。 x/ch/ae
U+169A OGHAM LETTER PEITH 音素[p]を表す。 p
約物
U+169B OGHAM FEATHER MARK 文の開始を表す。
U+169C OGHAM REVERSED FEATHER MARK 文の終端を表す。

小分類

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このブロックの小分類は「スペース」(Space)、「伝統的な字母」(Traditional letters)、「フォルフェダ(補助的な字母)」(Forfeda (supplementary letters))、「約物」(Punctuation)の4つとなっている[1]

スペース(Space

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この小分類にはオガム文字のうち、単語境界となるスペースに用いられる軸のみの文字が1つのみ収録されている。

伝統的な字母(Traditional letters

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この小分類にはオガム文字のうち、基本的な字母が収録されている。

フォルフェダ(補助的な字母)(Forfeda (supplementary letters)

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この小分類にはオガム文字のうち、フォルフェダ英語版と呼ばれるオガム文字が流行した後から追加された追加文字が収録されている。

約物(Punctuation

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この小分類にはオガム文字のうち、文の境界として用いられる記号2種類が収録されている。

文字コード

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オガム文字(Ogham)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+168x
U+169x
注釈
1.^バージョン15.1時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
3.0 U+1680..169C 29 (to be determined)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1680.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年8月21日閲覧

関連項目

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