オオレイジンソウ(大伶人草、学名:Aconitum iinumae[1])は、キンポウゲ科トリカブト属多年草[4][5][6][7]

オオレイジンソウ
福島県尾瀬 2012年7月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: トリカブト属 Aconitum
: オオレイジンソウ
A. iinumae
学名
Aconitum iinumae Kadota (2014)[1]
シノニム
  • Aconitum umbrosum auct. non (Korsh.) Kom. (2006)[2]
  • Aconitum gigas H.Lév. et Vaniot var. hondoense Nakai ex Tamura et Lauener (1979)[3]
和名
オオレイジンソウ(大伶人草)[4]

特徴

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地下の根茎は塊根をつくらないで垂直に伸びる。は直立して、高さ50-100cmになり、茎の上部や花柄には曲がった毛が生える。長い葉柄がある根出葉は直径20cmの大型になり、7-9中裂し、裂片はさらに浅裂し、裂片の先はとがる。根出葉は花時にも残る[4][5][6][7]

花期は7-8月。茎先に長さ約30cmになる細長い総状花序をつけ、淡黄色のを多数つけ、下側から咲く。かぶと状の花弁にみえるのは片であり5枚あり、1個の花の高さは2.5-3cmになる。花弁は頂萼片の内側にかくれ、花弁の身部は長さ8mm以上あり、花弁の距は長さ4mm以上に伸び、距の先が著しく内側に曲がる。雄蕊に毛は無い[4][5][6][7]

分布と生育環境

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日本では、本州の中部地方以北(福井県以東の日本海側山地)に分布し、亜高山帯から高山帯、ときに山地帯の湿った草地、林縁などに生育する[4][6][8]

名前の由来

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和名オオレイジンソウ(大伶人草)の「伶人」とは、かぶと状の花の形が舞楽の奏者である伶人(れいじん)が被る冠に似ていること、また同属のレイジンソウ(伶人草、学名:Aconitum loczyanum )より全体に大きいことによる[5][6][9]

種小名(種形容語)iinumae は、江戸時代の本草学者、飯沼慾斎への献名。本種は、エゾレイジンソウ Aconitum gigas変種として扱われてきたが、門田裕一 (2014) の研究によって、エゾレイジンソウと本種はそれぞれ独立種とされた。Aconitum gigas の変種名 var. hondoense を種の階級に上げて種小名として組み替えると、「ミタケウズ」 Aconitum hondoense Nakai (1920)(=Aconitum mitakense Nakai (1920))と同名となってしまう[注釈 1]ことから、門田 (2014) は、「レイジンソウ」を「草木図説」において最初に記録した飯沼を記念した Aconitum iinumae とした[8][10][11]

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ ミタケウズ:Aconitum hondoense Nakai (1920) と A. mitakense Nakai (1920) は、同一の標本によって記載された。なお、「ミタケウズ」のタイプ標本は、東京都の御岳山で採集されたものであるが、それは、カワチブシ A. grossedentatumヤマトリカブト A. japonicum subsp. japonicum の交雑個体である考えられているという[10]。現在、「ミタケウズ」は、YListでは掲載されていない。

出典

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  1. ^ a b オオレイジンソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ オオレイジンソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ オオレイジンソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.216
  5. ^ a b c d 田村道夫 (1982) 『日本の野生植物 草本II離弁花類』「キンポウゲ科」p.63
  6. ^ a b c d e 『新牧野日本植物圖鑑』p.135
  7. ^ a b c 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』pp.334-335
  8. ^ a b 門田裕一 (2016)『改訂新版 日本の野生植物 2』「キンポウゲ科」p.123
  9. ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.67
  10. ^ a b 門田裕一:「オオレイジンソウ(キンポウゲ科)の新学名」,The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』, Vol.89, No.4, pp.253-258, (2014).
  11. ^ Takenoshin Nakai, Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ, XXII, The botanical magazine, 『植物学雑誌』,Vol.34, No.400, p.en41 (1920).

参考文献

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