エレミアサウルス
エレミアサウルス(学名: Eremiasaurus)は、モササウルス科に属する絶滅した白亜紀の海生トカゲの属。モササウルス亜科モササウルス族に分類され、モロッコのOuled Abdoun 盆地のマーストリヒチアンにあたるリン酸塩堆積物から知られている。属名は「砂漠のトカゲ」を意味し、化石が発見された現在のモロッコの乾燥した気候を反映する。
エレミアサウルス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
後期白亜紀マーストリヒチアン, 70.6–66 Ma ↓ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Eremiasaurus Leblanc et al., 2012 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エレミアサウルス・ヘテロドントゥス (E. heterodontus) ただ1種のみが知られており、種小名は他のモササウルス科の種と比較して異歯性が高いことを表す。
形態
編集エレミアサウルスは2つの標本が知られており、いずれもシンタイプ標本に認められている。シンタイプ標本 UALVP 51744 はほぼ完全な頭骨、脊柱、四肢骨格の断片を内包する。シンタイプ標本 OCP DEK/GE 112 もほぼ完全な頭骨を含むほか、脊柱も完全に近い。これらの標本の観察に基づき、高い異歯性を示す、プロトサウルスに次ぐ尾椎の個数を誇るなど、エレミアサウルスを独立した属として支持する特徴が確立された[1]。
分類
編集記載の際に行われた解析では135個の特徴のデータマトリックスと32の末端分類群が取り上げられ、エレミアサウルス・ヘテロドントゥスは、現在はモササウルス族のシノニムとみられているプロトサウルス族の姉妹群とされた。モササウルス族との近縁性(あるいはそれに含まれていること)を支持する証拠としては、外鼻孔の竜骨状の骨の存在、鼻孔境界から前前頭骨が排斥されていること、前頭骨に鼻孔が存在すること、方形骨に溝が存在することが挙げられる[1]。
エレミアサウルスは近縁なモササウルスやプロトサウルスと異なり、方形骨が癒合した上あぶみ骨突起と下あぶみ骨突起を持ち、あぶみ骨には丸みを帯びた非常に大きな窪みがあり、翼状骨歯は大型で、上腕骨の関節丘はわずかにドーム状をなす。
以下のモササウルス亜科内におけるエレミアサウルスと近縁種のクラドグラムは D.V. Grigoriev (2013) に基づく[2]。
モササウルス亜科 |
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出典
編集- ^ a b Leblanc, A.R.H.; Caldwell, M.W.; Bardet, N. (2012). “A new mosasaurine from the Maastrichtian (Upper Cretaceous) phosphates of Morocco and its implications for mosasaurine systematics”. Journal of Vertebrate Paleontology 32 (1): 82–104. doi:10.1080/02724634.2012.624145.
- ^ Grigoriev, D. V. (2013). “Redescription of Prognathodon lutugini (Squamata, Mosasauridae)”. Proceedings of the Zoological Institute RAS 317 (3): 246-261.