エコー賞(Echo Music Prize、ECHO)は、毎年行われているドイツ音楽賞である。ポップカテゴリーの受賞者は3月クラシックカテゴリーの受賞者は10月に発表される。2018年4月に、ポップス部門の受賞グループの楽曲に反ユダヤ主義的な歌詞が含まれることに対し多くの非難が起こり、過去の受賞者が続々と賞を返還する騒動に発展、賞の廃止が決定された。

エコー賞
Echo Music Prize
ドイツの旗 ドイツ
主催ドイツ・フォノ・アカデミー (Deutsche Phono-Akademie)
初回1992年5月18日 (32年前) (1992-05-18)
最新回2018年4月12日 (2018-4-12)
公式サイトechopop.de
テレビ/ラジオ放送
放送局Das Erste (2009年–2016年)
VOX (2017年–2018年)

概要

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エコー賞は1963年から1992年まで続いたドイツ・レコード賞の後継として1992年に始まった。ドイツ・フォノ・アカデミー (Deutsche Phono-Akademie)が主催しており、毎年の受賞者は前年の売上によって決まる。

賞の部門

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ポップカテゴリーには以下の賞などがある。

ドイツ国内の部門

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  • 最優秀ドイツ男性アーティスト賞
  • 最優秀ドイツ女性アーティスト賞
  • 最優秀ドイツグループ賞
  • 最優秀ドイツ新人賞
  • 最優秀ドイツ楽曲賞

国際部門

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  • 最優秀国際男性アーティスト賞
  • 最優秀国際女性アーティスト賞
  • 最優秀国際グループ賞
  • 最優秀国際新人賞
  • 最優秀国際楽曲賞

その他の部門

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  • 最優秀楽曲賞
  • 最優秀アルバム賞
  • 名誉賞

批判

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ファリド・バン英語版コレガー英語版が2018年のポップスアルバム部門の最優秀賞を受賞したことに対し、世界中から大きな批判が起きた。受賞したアルバム"Jung Brutal Gutaussehend 3"に収録された"0815"という楽曲の中に、自分たちの筋肉がアウシュビッツの収容者よりもはっきりしているという歌詞があったためである。この2人は、授賞式の数週間前に激しい抗議を受けていたにもかかわらず、授賞式の場では問題になった"0815"を歌唱した。

ドイツのパンクバンド、ディ・トーテン・ホーゼン英語版のボーカルのカンピーノ英語版は、授賞式で審査委員会の決定を批判し[1]、観客はスタンディングオベーションでその意見を支持した[2]

何人かのアーティストが、抗議のためにエコー賞を返上した。マリウス・ミュラー=ヴェスターハーゲン英語版は過去に7回受賞したエコー賞を全て返上すると述べた。このほか、ドイツの指揮者クリスティアン・ティーレマンエノッホ・ツー・グッテンベルク、ロシア出身のドイツのピアニスト、イゴール・レヴィット、音楽プロデューサーのクラウス・フォアマン、ノトス・カルテットなどがエコー賞を返上した[3]

また、エアバス社CEOのトム・エンダース英語版は、この決定は「ドイツの国際的な評判」を傷つけることになるだろうと述べ、「反ユダヤ主義がドイツで再び受け入れられるようになるのか」と問いかけた[1]

この結果、エコー賞は2018年を最後に廃止されることとなった[4]

受賞者

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<ドイツ国内の部門>

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男性アーティスト賞

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  • 1992年 ヘルベルト・グレーネマイヤー (Herbert Grönemeyer)
  • 1993年 マリウス・ミュラー=ヴェスターンハーゲン (Marius Müller-Westernhagen)
  • 1994年 ヘルベルト・グレーネマイヤー (Herbert Grönemeyer)
  • 1995年 マリウス・ミュラー=ヴェスターンハーゲン (Marius Müller-Westernhagen)
  • 1996年 Mark'Oh
  • 1997年 ペーター・マファイ (Peter Maffay)
  • 1998年 Nana
  • 1999年 マリウス・ミュラー=ヴェスターンハーゲン (Marius Müller-Westernhagen)
  • 2000年 クサヴィア・ナイドー (Xavier Naidoo)
  • 2001年 アイマン (Ayman)
  • 2002年 ペーター・マファイ (Peter Maffay)
  • 2003年 ヘルベルト・グレーネマイヤー (Herbert Grönemeyer)
  • 2004年 ディック・ブレイヴ (Dick Brave)
  • 2005年 ジェントルマン (Gentleman)
  • 2006年 クサヴィア・ナイドー (Xavier Naidoo)
  • 2007年 ロジェ・ツィツェロ (Roger Cicero)
  • 2008年 ヘルベルト・グレーネマイヤー (Herbert Grönemeyer)
  • 2009年 ウド・リンデンベルク (Udo Lindenberg)
  • 2010年 クサヴィア・ナイドー (Xavier Naidoo)
  • 2011年 デイヴィッド・ギャレット ((David Garrett)
  • 2012年 ウド・リンデンベルク (Udo Lindenberg)
  • 2013年 デイヴィッド・ギャレット ((David Garrett)
  • 2014年 ティム・ベンツコ (Tim Bendzko)
  • 2015年 ヘルベルト・グレーネマイヤー (Herbert Grönemeyer)
  • 2016年 アンドレアス・ブラー二 (Andreas Bourani)
  • 2017年 ウド・リンデンベルク (Udo Lindenberg)
  • 2018年 マーク・フォースター (Mark Forster)

女性アーティスト賞

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グループ賞

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新人賞

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  • 1991年 ペー・ヴェルナー (Pe Werner)
  • 1992年 ディー・ファンタスティッシェン・フィーア (Die Fantastischen Vier)
  • 1993年 イリガル2001 (Illegal 2001)
  • 1994年 シックス・ワズ・ナイン (Six Was Nine)
  • 1996年 フェッテス・ブロート (Fettes Brot)
  • 1997年 フールズ・ガーデン (Fool's Garden)
  • 1998年 Nana
  • 1999年 クサヴィア・ナイドー (Xavier Naidoo)
  • 2000年 ザシャ (Sasha)
  • 2001年 アイマン (Ayman)
  • 2002年 シード (Seeed)
  • 2003年 ワンダーウォール (Wonderwall)
  • 2004年 ヴィア・ズィンド・ヘルデン (Wir sind Helden)
  • 2005年 ジルバーモント (Silbermond)
  • 2006年 トキオ・ホテル (Tokio Hotel)
  • 2007年 ラフェー (LaFee)
  • 2008年 マルク・メドロック (Mark Medlock)
  • 2009年 トーマス・ゴドジ (Thomas Godoj)
  • 2010年 ザ・ベースボールズ (The Baseballs)
  • 2011年 レナ・マイヤー=ラントルート (Lena)
  • 2012年 ティム・ベンツコ (Tim Bendzko)
  • 2013年 クロ (Cro)
  • 2014年 アデル・タヴィル (Adel Tawil)
  • 2015年 ウーナ (Oonagh)
  • 2016年 ジョリス (Joris)
  • 2017年 アネンマイカンタライト (AnnenMayKantereit)
  • 2018年 ヴィンセント・ヴァイス (Wincent Weiss)

楽曲賞 (ドイツ)

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<国際部門>

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男性アーティスト賞

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女性アーティスト

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グループ賞

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新人賞

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楽曲賞 (国際)

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<その他の部門>

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楽曲賞

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アルバム賞

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  • 2008年 ヘルベルト・グレーネマイヤー: 12
  • 2009年 エイミー・ワインハウス: Back to Black
  • 2010年 ペーター・フォックス: Stadtaffe
  • 2011年 ウンハイリッヒ: Große Freiheit
  • 2012年 アデル: 21
  • 2013年 ディー・トーテン・ホーゼン: Ballast der Republik
  • 2014年 ヘレーネ・フィッシャー: Farbenspiel
  • 2015年 ヘレーネ・フィッシャー: Farbenspiel
  • 2016年 ヘレーネ・フィッシャー: Weihnachten
  • 2017年 ウド・リンデンベルク: Stärker als die Zeit
  • 2018年 エド・シーラン: ÷

名誉賞

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脚注

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関連項目

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外部リンク

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