ウディ・アレン会見
『ウディ・アレン会見』(-かいけん、Meetin' WA)は、ジャン=リュック・ゴダール監督による、1986年製作のフランスの短篇ビデオ映画である。ウディ・アレンへのゴダールによるインタビューを収録したドキュメンタリーである。
ウディ・アレン会見 | |
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Meetin' WA | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 |
ウディ・アレン アネット・インスドルフ |
製作 | トム・ラディ |
出演者 |
ウディ・アレン ジャン=リュック・ゴダール |
撮影 |
クリスチャン・シモンピエトリ ピエール・バンジェリ |
編集 | ジャン=リュック・ゴダール |
公開 | 1986年5月8日 カンヌ映画祭 |
上映時間 | 26分 |
製作国 | フランス |
言語 | 英語 |
概要
編集1985年の第38回カンヌ国際映画祭の期間中、イスラエルからハリウッドに進出して気を吐く映画プロデューサーメナヘム・ゴーランとランチをとったゴダールは、100万ドルで、作家のノーマン・メイラーをリア王に、ウディ・アレンを道化にしたシェークスピアの『リア王』の映画化を了承する。即座にレストランのナプキンにサインされ、契約は締結される。この時点で、トム・ラディが『ゴダールのリア王』(1987年)のプロデューサーとして雇われる。
当時、アレンは翌1986年の第39回カンヌ国際映画祭で新作『ハンナとその姉妹』がプレミア上映されることが決まっており、ここ数年カンヌに行っていないことからナーヴァスになっていた。ラディがゴダールにサジェスチョンしたのは、『ゴダールのリア王』の製作開始を延期しているあいだに、アレンに対しゴダールが新作についてのインタビューをし、それを映画祭でサプライズ上映すること。このアイデアをゴダールも、アレンも、カンヌのディレクターのジル・ジャコブ(Gilles Jacob)も気に入り、映画祭サイドとスイスのテレビ局から製作資金を得た。このドキュメンタリーは、たんなるインタビューよりもクリエイティヴなものに仕上がった[1]。
撮影のクリスチャン・シモンピエトリは写真家である。ピエール・バンジェリは、ゴダールのグルノーブル時代のテレビシリーズ『二人の子どもフランス漫遊記』(1977年 - 1978年)で撮影監督ウィリアム・リュプチャンスキーの助手につき、また、本作ののち、オムニバス映画『パリ・ストーリー Les Français vus par...』のゴダール篇『最後の言葉』(1988年)で撮影監督をつとめる。アネット・インスドルフは作品末尾では「ジャーナリスト」とクレジットされている。
本作は、黒味画面に大文字で「MEETIN' WA」の白抜き文字で始まり、ゴダールの声が聞こえる。カメラが引くと、それがゴダールの背中であることがわかる。そこはニューヨークのアレンのオフィス。窓から外を見下ろす彼の背中に彼の顔のイラストがオーバーラップする。アレンもゴダールも好きなサイレント映画で多用されたアイリスで、インタビューが始まり、アレンが紹介される。インタビューの進行に従い、「NORMAL MAN(ノーマルな男)」、「STRUGGLE(闘争)」、「TITLE(題名)」、「HANNAH KARENINE(ハンナ・カレーニナ)」[2]、「FLASH GORDON(フラッシュ・ゴードン)」[3]、「THE ANXIETY OF THE MAN IN THE BOOTH(ブースの中の男の不安)」、「SUMMER IN NEW-YORK(ニューヨークの夏)」、「AUTUM CHILL(秋の凍え)」[4]、「THE BIG LEAP(大いなる跳躍)」[5]、「LUCKY I RAN INTO YOU(あなたにあえてわたしはラッキーだ)」といった文字がインサートされる。オーソン・ウェルズ、エリザベス・テーラー、後半からは『インテリア』(1978年)、『マンハッタン』(1979年)ほかアレンの数々のフィルムがインサートされる。
この作品の発案者であるトム・ラディは、かつて「政治の時代」に踏み出したばかりのゴダールとD・A・ペネベイカーの共同監督作『ワン・アメリカン・ムービー』(1968年 - 1972年)に出演しており、1983年には、かつてゴダールにオムニバス映画『ベトナムから遠く離れて』(1967年)への参加を呼びかけたクリス・マルケル監督の『サン・ソレイユ』でマルケルの撮影助手をつとめた人物で、1987年には、かつてエリック・ロメールと「レ・フィルム・デュ・ローザンジュ」を共同設立したバルベ・シュレデールのハリウッドでの監督作『バーフライ』をメナハム・ゴーランの出資のもとプロデュースしている。ちなみに1985年、カンヌでの伝説の「ナプキン」をラディが最後に観たのは、ゴーランのオフィスでゴーランがナプキンに火を点けた瞬間だと言う[1]。
作品データ
編集カラー作品(ビデオ) / 上映時間 26分 / 上映サイズ1:1.37(スタンダード・サイズ)
スタッフ・キャスト
編集- 監督 ジャン=リュック・ゴダール
- 脚本 ウディ・アレン、アネット・インスドルフ
- 出演 ウディ・アレン、ジャン=リュック・ゴダール
- 撮影 クリスチャン・シモンピエトリ(カメラ)、ピエール・バンジェリ(ビデオ)
- 編集 ジャン=リュック・ゴダール
- 製作会社 JLGフィルム(パリ)、シグマ、カンヌ国際映画祭
註
編集- ^ a b The American Friend: Tom Luddy on Jean-Luc Godard(英語)ブラッド・スティーヴンス(Brad Stevens)によるトム・ラディへのインタビューの記述を参照。
- ^ ハンナ・カレーニン。レフ・トルストイ著『アンナ・カレーニナ』にかけたことば遊びである。
- ^ アメリカのコミック・ストリップ『フラッシュ・ゴードン』は、1980年にディノ・デ・ラウレンティスの製作により映画化された。
- ^ 正しいスペルは「Autumn Chill」だが文字は画面のママ。
- ^ 「The Big Sleap(大いなる眠り)」、レイモンド・チャンドラーの小説(1939年)、ハワード・ホークス監督の映画『三つ数えろ』(1946年)の原題にかけたことば遊びである。