数学において、ウォリス積分とは、ジョン・ウォリスによって導入された積分である。
ウォリス積分 I m {\displaystyle I_{m}} (m は 0 以上の整数)は
で定義される。部分積分によって
すなわち漸化式
が得られる。これより m の偶奇に応じて I m {\displaystyle I_{m}} の値が求まる。
ただし n ! ! {\displaystyle n!!} は二重階乗である。
証明 — 先述の漸化式より
が成り立つ。故に数列 { m I m I m − 1 } {\displaystyle \{mI_{m}I_{m-1}\}} は定数列で
ここで、 0 ≤ θ ≤ π 2 {\displaystyle 0\leq \theta \leq {\frac {\pi }{2}}} で sin m + 1 θ ≤ sin m θ ≤ sin m − 1 θ {\displaystyle \sin ^{m+1}\theta \leq \sin ^{m}\theta \leq \sin ^{m-1}\theta } より
はさみうちの原理より
m = 2n を代入すると先述の I 2 n {\displaystyle I_{2n}} の求値より
スターリングの公式:
はウォリスの公式の拡張である。実際、スターリングの公式を仮定し a n := n ! n ( e n ) n {\displaystyle a_{n}:={\frac {n!}{\sqrt {n}}}\left({\frac {e}{n}}\right)^{n}} とおくと、
より
が得られる。
ウォリスの公式を用いてガウス積分を求めることができる。
またカタラン数 C n = 1 n + 1 ( 2 n n ) {\displaystyle C_{n}={\frac {1}{n+1}}{2n \choose n}} にも二項係数が現れるため、ウォリスの公式より評価できる: