ウィザードリィの登場キャラクター
ウィザードリィの登場キャラクター(ウィザードリィのとうじょうキャラクター)では、1981年に発売されたコンピュータ・ロールプレイングゲーム『ウィザードリィ』(Wizardry)シリーズの、登場キャラクターについて解説する。総合的な情報など他の項目については「ウィザードリィ」または「Category:ウィザードリィ」を参照。
本記事ではいわゆる「本家」に登場する人物に絞って紹介する。またプレイヤーが作成するキャラクターについては、ストーリー上の登場人物ではなく、プレイに必要なステータスの一種であると考えられる為、本記事では扱っていない。これについては「ウィザードリィ」を参照。
トレボー Trebor (#1,#4)
編集飽くことなき征服欲と、尽きることの無い野心を持つがゆえ、人々からは「狂王」と呼ばれ恐れられる。戦士としての力量もさることながら、古代魔法の秘術にも通じている。ワードナにアミュレットを奪われてしまい、ワードナの討伐とアミュレット奪還の布令を出すこととなった。
シナリオ#1のゲーム中では、コントロールセンターの試練を乗り越えた冒険者への彼の訓示が放送される。数年後、アミュレットを取り戻すことが出来たものの、「地上への道」によるとアミュレットに掛かっていたワードナの呪いに気づかないままアミュレットを発動させて命を落とす。シナリオ#4では亡霊となってワードナの目の前に立ち塞がるが、唯一残っていた身体のパーツをワードナに破壊され、昇天する。
名前の由来は、『ウィザードリィ』の制作者ロバート・ウッドヘッドのロバート(Robert)を逆から綴ったものである[1]。
日本の小説や漫画ではワードナ以上の悪役として描かれる事が多い。
なお、トレボーの城塞は当初「城」としか設定がなく、この城が#2以降の舞台であるリルガミンと同一の街であるか否かについては明らかにされていない。両者にボルタック商店やカント寺院など同じ名前の施設は存在するものの、#1と同時代のシナリオである#2において、リルガミン王家の壊滅などトレボーとは独立したストーリーが設定されている。#2冒頭においてトレボーの使者がリルガミンへ応援を出すとの触れを出し参加者を募る描写がある。また、リルガミンの設定が存在する時点で作成された#4ではリルガミンについては言及されていない。
日本で独自に作成された世界設定においては両方の設定が存在する。同一の街とする代表例にはウィザードリィRPGの舞台であるエセルナートがあり、トレボーはリルガミンの王という設定になっている(但し、本作においてトレボーの後にリルガミンの王位に就くのはノーム王マウダであり、アラビク、マルグダは登場しない。ウィザードリィ#2をシナリオ化したサプリメントも存在するが、特にTRPG版との設定的な繋がりは説明されていない)。また、多摩豊の小説『ウィザードリィ正伝 トレボーと黄金の剣』では、第四王子だったところ父王と三人の兄が相次いで戦死したため王位についた、とされている(ただしニルダの杖等の逸話は一切登場せず)。別の街としている例には、ベニー松山による小説(『小説ウィザードリィII 風よ。龍に届いているか』)中の設定がある。
後の移植版でも大半はこの点を明確にしていないが、PS版などの「リルガミンサーガ」においてはエセルナートの設定が採用され、トレボーがリルガミンの王とされている。
ちなみに、映画監督の押井守は熱烈なウィズファンとして知られており、自身の作品の中にトレボーの名や迷宮内のメッセージを登場させた事がある。
ワードナ Werdna (#1,#4)
編集トレボーの元からアミュレットを奪取した悪の魔術師。悪の魔術師とはいうものの、世界制覇などにはあまり興味がないようで、性質的にはマッドサイエンティストに近い。アミュレットを奪った後はその力の秘密を探る為に地下迷宮に立て篭もって研究に没頭していた。だが、ある時最下層の居室に乱入してきた冒険者に倒され、アミュレットを奪い返される。しかし、その遺体はいかなる手段を用いても破壊する事が出来ず、地下迷宮はそのままワードナを封じる墓所となった。
シナリオ#4において復活を果たし、アミュレットを求めて地上を目指す。長く苦難に満ちた旅路の果てに全ての叡智を手に入れ、アミュレットを取り戻すといずこかに去っていった。
名前の由来は、『ウィザードリィ』の制作者アンドリュー・グリーンバーグのアンドリュー(Andrew)を逆から綴ったものである。
小説『ウィザードリィ正伝 トレボーと黄金の剣』では、幼少時に若き日のトレボーに母アリーサを斬殺され、父ノエルもトレボーに成敗されたことから、トレボーを付け狙うようになった、としている。
ワードナがアミュレットを奪った経緯についても、シナリオや機種、攻略本によってだいぶ異なっている。最初のApple II版シナリオ#1に付属の粗筋では、トレボーの宝物庫から盗んだ、としている。一方FC版Iの説明書では、ある朝トレボーが目覚めると、ベッドの傍にはアミュレットの代わりにワードナの置手紙が置かれていた事で、ようやくアミュレットが奪われた事を知り、その場で直ちに冒険者を募る布令を出した事になっている。
シナリオ#4の説明書に記載されているプロローグでは、「失われた神々の楽園」からトレボーの配下がアミュレットを持ち帰った翌日にワードナが魔物を引き連れて城の謁見室に乗り込み、金縛りの呪文でトレボーを動けなくしてから奪い去った事になっている。他方、シナリオ#4の攻略本「地上への道」(アスキー刊)では、戦勝パーティでトレボーが酔い潰れている所にワードナがやってきてトレボーの手から直接奪い取っている。事件の数日後、側近の1人が冒険者を募るアイデアを出した。ベニー松山の小説『小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』では、討伐隊に倒されたワードナが直後に一種の亡霊となってアミュレットを奪った事になっており、冒険者を募った経緯は「地上への道」に準じている。
ドラマCD「ハースニール異聞」にて図らずではあるが、マルグダ・アラビクの入ったパーティーの窮地を救ったことがある(もっとも当の本人は召喚した覚えのない侵入者である、ライカーガスとヘルマスター一派を追い払っただけ……の様子ではあるが)。
ダバルプス Davalpus (#2)
編集リルガミンに産まれた邪悪な魔術師。リルガミン出身の為にニルダの杖が効果を表せず、リルガミン王室のほぼ全員を殺害して王家を乗っ取る。しかし、ダイヤモンドの騎士の装備を手にしたアラビク王子とマルグダ王女の攻撃を受けて滅びる。だが、滅びる直前にニルダの杖に呪いの言葉を吐きかけ、杖を地底深くに落としこむ。
説明書のプロローグに彼の行動とその破滅が書かれているのみで、ゲーム本編には一切登場しない。ただし、GBC版には、本編クリア後に出現するエクストラダンジョンで敵キャラクタとして登場する。
マルグダとアラビク Margda&Alavik (#2)
編集ダパルプスによって壊滅したリルガミン王家の最後の生き残り。マルグダが姉でアラビクが弟とされる。リルガミンから辛うじて脱出した後、伝説のダイヤモンドの騎士の装備を手に入れ、王家の復権を目指すべくダパルプスに戦いを挑む。激しい戦いの末にダパルプスを倒すが、断末魔に放たれた呪いの言葉でアラビクはリルガミンの城とニルダの杖ごと地下に落下してしまう。マルグダはリルガミンを復興させると共に、ニルダの杖探索の冒険者を募る。
マルグダはシナリオクリア時の恩賞授与の場面で登場する。アラビクは、ダパルプスと同様に説明書のプロローグに彼の行動が書かれているだけで、ゲーム本編には一切登場しない。
ドラマCD「ハースニール異聞」にて二人ともトレボーの試練場に入った経験もある(そのときは身分を隠す為、偽名で名乗っており、終盤で本名を明かした)。
エル' ケブレス L'kbreth (#3)
編集リルガミンに程近い岩山に住む巨大な龍。リルガミンを災厄から救うと言われる宝珠の守護者で、宝珠を手にしようとする者に試練を与える。正体は世界の力そのもので、神と呼んでも差し支えの無い存在である。善と悪が調和した姿である中立の水晶を持たない者を宝珠がある場所には通さない。
ゲーム中に敵キャラクタとして登場はするが、基本的に一切の攻撃や呪文が無効化される[※ 1]ので、彼を討伐することはできない。
日本ではこのキャラクタの名は、FC版やPS版リルガミンサーガなどで長らく「ル’ケブレス」と表記されていた。しかし、原作者ロバートの指摘により、1999年に発売されたSFC版、及び2001年のGBC版でこの表記となった。
石垣環 作の「ウィザードリィ外伝」の第一部ではショウとルーシディティ、そしてその以前にサンザ[※ 2]をギルの迷宮に召喚し、第二部では鳳凰の塔にて鳳凰に姿を変えて(この作品ではエル' ケブレス=鳳凰の正体は「世界」そのものであり一定の姿は持っておらず、「世界」が滅べば彼も消滅に繋がる)最上階にてクサナギとともに、ショウ・ケイヒたちを待ち構える存在として登場している。
ソフトークオールスターズ-1 Softalk All-stars less one (#4)
編集シナリオ#4に登場する冒険者の中で、最強を誇るパーティ。ワードナを打ち倒してアミュレットを奪還したパーティとされている。less oneと付いているのは、後述のホークウィンドが一人だけ別行動をとっているからである。名前の由来はアメリカのゲーム雑誌「ソフトーク」から。パーティメンバーの名前は「ソフトーク」の編集者から取られている。クリアーするエンディングによっては、最低2回戦う必要がある。メンバーは、タック(善の司教、男性)、セズマール(善の侍、男性)、サラ(善の僧侶、女性)、モラディン(中立の盗賊、男性)、プロスペロー(善の魔術師、男性)の5名。いずれもレベル50に達した猛者である。
ホークウィンド Hawkwind (#4)
編集ソフトークオールスターズのメンバーの一人でエルフ族の忍者。実質ワードナの最後の敵となる。説明書のプロローグでは、ワードナをクリティカルヒットで仕留める場面が描かれている。シナリオ#4の作者ロー・アダムスの分身で「ウルティマ」「バーズ・テイル」シリーズにも同名の人物が登場している。また、彼を倒したときのメッセージに「SKARA BRAEも喪に服すであろう。」という1節が含まれる。SKARA BRAEは実在の地名でもあるが、この場合はバーズ・テイルシリーズにおける地名を指していると考えられる。シナリオ#1をOVA化した作品にも同名の忍者が登場する(声:玄田哲章。なおこちらは人間族の設定)。普通の攻撃は勿論、最強の攻撃魔法であるティルトウェイトですら通用しない化け物のような人物であり、彼を倒すためのヒントを探すのに大変な手間と労力を要する。
ちなみに彼は戦闘でまともに戦ってくれず、ワードナ一行を笑い飛ばす・雑誌を読む・出前の寿司を食べる・ペットのドラゴンとじゃれる・昼寝をする・歯を磨くと、様々な悪ふざけ行動をとり、彼のターンになるごとに時間が経過していき、最終的にワードナをKADORTO神の生贄に捧げることを思い立ち、ワードナを縛り上げて本当にそれを実行する(KADORTO神はホークウィンドの行為自体は評価したものの生贄のワードナは気に入らなかったらしい)。
カドルト神 Kadorto (#4)
編集カント寺院に祭られている神で、右手にワードナが求めるアミュレットが握られている。寺院の天井に頭が届く程の巨体を持つ。その正体は、迎えたエンディングの種類によって変化する。真のエンディングでは、カント寺院の僧侶達が自分達の威厳を保つ為に作ったゴーレムの一種である。名前の由来は同名の呪文(灰化を含めた死者をHP全回復状態で復活させる僧侶の最高位の呪文)から。
ゲートキーパー The Gatekeeper (#5)
編集ゲイトキーパーとも表記される。ブラザーフッド教団の創設者で、三軸の門の守護者。世界に災厄をもたらす力の渦が世に放たれないように監視していたが、愛弟子であるソーンの裏切りで三軸の門そのものに幽閉されてしまう。具体的な正体は不明だが、竹内誠の小説では#4で改心したワードナとされている。
ソーン Sorn (#5)
編集ゲートキーパーの高弟であったが、世界を己の意のままに改変するという野心を持ち、教団を裏切ってゲートキーパーを三軸の門の奥に幽閉した。あらゆる攻撃を跳ね除ける魔法の盾で身を守っており、通常の手段ではかすり傷一つ与えられない。PC版とSFC版ではデザインが異なっている(どちらも末弥純によるもの)。
災いの王 Bane King (#6)
編集冒険者が訪れる古城の城主だった人物。残忍な気性を持つゆえに人々から恐れられた。コズミックフォージをゾーフィタスと共に手に入れるが、「永遠に生きる」事を望んだ為に死ぬことの出来ない不死者となってしまう。生の喜びを感じられない事に絶望の日々を送るが、唯一レベッカの存在が彼の心を支えた。#6の一応の最終ボスだが冒険者の選択によっては戦わずに済み、災いの王は自ら不死身の呪縛を解く行動に出る。ゲーム中では「ドラキュラ」という名が明らかになる。元ネタはワラキア公国の「串刺し公」ヴラド・ツェペシ。
レベッカ Rebecca (#6)
編集人間の女性と悪魔との間に生まれた少女。呪われた少女と人々から呼ばれたが、その気性は心優しいものであった。そんな少女に王は安らぎを覚えるが、王妃は嫉妬に狂う事となる。常に王と行動を共にしており、戦闘になれば王を守る為に強大な魔法を使う。冒険者の選択によっては戦わずに済む。
王妃 Queen (#6)
編集災いの王の妻。お世辞にも貞淑な妻だったとは言い難く、王に隠れて密通を繰り返していた。しかし、レベッカが王の保護下に入った事でレベッカに激しい嫉妬心を持つようになる。王妃自身は自分はレベッカによって殺害されたと主張する。死してなお嫉妬心が消えなかった王妃は亡霊となり、死者の殿堂にやってきた冒険者に自分の怨念を晴らせと銀の十字架を託す。冒険者は王妃の話を信じるか信じないかの決断を求められる。
レベッカへの嫉妬に狂った王妃は彼女の死を望み、コズミックフォージで「悪魔の娘の死」を書き記すが、悪魔のように冷酷な王妃自身にフォージの災いが降りかかり、望みを書いた直後に自らのナイフの上に転倒して命を落としたとされる。ただしこれはレベッカによって語られる話であり、王妃の墓を調べてみると、死因がナイフでは無いらしいことが分かる。
ゾーフィタス Xorphitus (#6)
編集かつての城の宮廷魔術師。災いの王と共に悪行を重ねた上、コズミックフォージを王と共に手に入れた。全ての叡智を手にする事をコズミックフォージで望むが、その結果、知識を持つが力の無い善の心と強大な力を持つが正気を失った悪の心に分裂してしまう。善の心は金剛石で囲まれた牢屋に幽閉され、悪の心は狂気に支配されるまま残虐な魔法実験に没頭するようになる。その後、古城にやってきた冒険者に善の心は開放され、悪の心は滅ぼされる。なお、戦闘後の会話で選択を間違えるとゲームオーバーになるので注意が必要(PC版。SFC版は間違えてもワープさせられるだけで済む)。
ベラ Bela (#6-8)
編集王妃と悪魔の間に生まれた巨大な黒竜。レベッカの異母弟に当たる。#6の隠しボス的な存在だが、冒険者の選択では彼とは戦わず、共に惑星ガーディアへ旅立つエンディングとなる。シナリオ#7ではオープニングの他にフィールド上でも遭遇出来るが、その時は単なる敵モンスターとなってしまっている。
アルセイデス Aletheides (#6-8)
編集コズミックフォージが置かれていたコズミックサークルの管理者。シナリオ#6のエンディングで登場した時は正体不明の人物だったが、シナリオ#7のオープニングで初めて名前を明かす。頭部に機械パーツが露出しており、サイボーグの一種と思われる。ガーディアの存在が明らかになった事を冒険者達に伝え、アストラル・ドミナの探索を依頼する。もっとも、ほとんど強制的にガーディアに送り込まれる事になるので、依頼とは言いがたい。
ダークサヴァント Dark Savant (#7-8)
編集アストラル・ドミナを捜し求める闇の科学者。宇宙を己の意のままに改変する事が目的と思われる。宇宙服と思われるスーツを常に身に付けており、素顔を見たものは誰も居ない。自分以外の人間を信用せず、サヴァントガードと呼ばれるロボット達に身の回りの世話をさせている。ヴィ・ドミナの命を助ける代わりに、アストラル・ドミナを冒険者達の手から奪い取る。その正体は創造主フォーンザングである。
ヴィ・ドミナ Vi Domina (#7-8)
編集アストラル・ドミナの鍵を握ると言われる少女。右目に眼帯を付けているが盲目な訳ではない。ダークサヴァントの保護下にあったが、異星からやってきた冒険者達に興味を持ってダークサヴァントの元から脱走する。アストラル・ドミナを手に入れた時に右目の眼帯の奥に隠されていた秘密を明かすが、ダークサヴァントの本拠地である宇宙船から“何か”を取りに戻った時に囚われ、右目の眼球を奪われてしまう。その後、冒険者達と共にガーディアを旅立った。性格はヤンキー気質だが好奇心旺盛であり、強い意志を持つ。
フォーンザング Phoonzang (#7-8)
編集惑星ロスト・ガーディアや惑星ドミナスで創造主として崇められている存在で、幾つかの街では彫像が建っている。コズミックサークルにおいて宇宙を司るコズミックロードの一人であったが、下界の人々と交流して幾つかの知恵を授けたりしたため、愚か者として力を奪われたあげく下界に落とされた。下界に残していた自らの創作物や技術を元にコズミックサークルに帰還する道を模索しているうちに残忍な性格と化し、ついにはダークサヴァントとなった。8の終盤でプレイヤーを出し抜いてコズミックサークルへの帰還を果たし、アルセイデスを倒すが、彼自身の運命はプレイヤーが握ることとなる。
注釈
編集出典
編集- ^ “Wizardryは,連綿とつながる文化の鎖の1ピース――生みの親,狂王ことRobert Woodhead氏に聞く,その源流と80年代アニメの話”. www.4gamer.net. Aetas (2016年4月9日). 2021年9月18日閲覧。