アスタチン化水素
アスタチン化水素(アスタチンかすいそ、英: hydrogen astatide)は、化学式 HAt で表される水素のアスタチン化物である。ハロゲン化水素の一種。水素原子とアスタチン原子は共有結合で結び付いている[2]。
アスタチン化水素 | |
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hydrogen astatide | |
識別情報 | |
PubChem | 23996 |
ChemSpider | 22432 |
ChEBI | |
Gmelin参照 | 532398 |
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特性 | |
化学式 | HAt |
モル質量 | 211 g mol−1 |
精密質量 | 211.008 g mol-1 |
関連する物質 | |
関連物質 | フッ化水素 塩化水素 臭化水素 ヨウ化水素 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
この化合物は他のハロゲン化水素と非常に類似した性質をもち、実際この中で最も強い酸である。しかし、アスタチンの同位体の半減期は非常に短く、アスタチン化水素も短時間で分解するため、用途は限られている[3]。それぞれの原子がほとんど等しい電気陰性度をもつため、電離によって容易に水素が負電荷を帯び、At+ イオンが生じる[4]。そのため、アスタチン化水素は次のような反応を起こす。
この反応によって気体の水素とアスタチンの沈殿が生じる。また、ハロゲン化水素 HX の生成エンタルピーは、ハロゲンが族を下がるにつれて低下する傾向がある。ヨウ化水素酸は安定しているのに対して、アスタチン化水素酸はアスタチン-水素-水系と比較して明らかに不安定である。最終的に H-At 結合はアスタチン核からの放射線分解によって切断される。
さらに、アスタチンの同位体はすべて放射性同位体であり、最も半減期が長い同位体は半減期8.1時間の 210At である。したがってアスタチンは別の元素に崩壊していくため、その化合物の操作は特に困難である[5]。
出典
編集- ^ “Astatane - PubChem Public Chemical Database”. The PubChem Project. USA: National Center for Biotechnology Information. 2011年5月30日閲覧。
- ^ PubChem, "astatane - Compound Summary", accessed July 3, 2009.
- ^ Fairbrother, Peter, "Re: Is hydroastitic acid possible?", accessed July 3, 2009.
- ^ Advances in Inorganic Chemistry, Volume 6 by Emeleus, p.219, Academic Press, 1964 ISBN 0120236060
- ^ Gagnon, Steve, "It's Elemental", accessed July 3, 2009.