ほうおう座α星(ほうおうざアルファせい)は、ほうおう座で最も明るい恒星で2等星。

ほうおう座α星[1]
Alpha Phoenicis
仮符号・別名 アンカア, Ankaa[2][3]
星座 ほうおう座
見かけの等級 (mv) 2.37[1]
分類 分光連星[3]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  00h 26m 17.05140s[1]
赤緯 (Dec, δ) −42° 18′ 21.5539″[1]
赤方偏移 0.000249[1]
視線速度 (Rv) 74.6km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 233.05 ミリ秒/年[1]
赤緯: -356.30 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 38.50 ± 0.73ミリ秒[1]
(誤差1.9%)
距離 85 ± 2 光年[注 1]
(26 ± 0.5 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 0.3[注 2]
α星の位置
物理的性質
半径 11.1 R
質量 1.58 +1.16
−0.49
M[4]
スペクトル分類 K0.5IIIb[1]
光度 83 ±4 L[4][注 3]
表面温度 4,770 ±250 K[4]
色指数 (B-V) +1.09[5]
色指数 (U-B) +0.88[5]
色指数 (R-I) +0.60[5]
金属量[Fe/H] -0.40[4]
軌道要素と性質
軌道の種類 連星系
離心率 (e) 0.34[6]
公転周期 (P) 3848.83 日[6]
近点引数 (ω) 19.8 度[6]
準振幅 (K) 5.8 km/s[6]
他のカタログでの名称
Nair al Zaurak
Cymbae, Lucida Cymbae
CD -42 116[1], FK5 12[1]
HD 2261[1], HIP 2081[1]
HR 99[1], SAO 215093[1]
LTT 231[1]
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名称

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固有名のアンカア(Ankaa)はアラビア語フェニックスを指す言葉 عنقاء(ʿanqāʾ, 文語アラビア語発音:アンカーッとアンカーゥとアンカーァを混ぜたような発音, 学界標準カタカナ表記:アンカー) に由来する[2]。2016年7月20日、国際天文学連合の恒星の固有名に関するワーキンググループは、この名称を固有名として承認した[3]

また、ザウラク(Zaurak)という、アラビア語で『の輝くもの』を指す[2][7]熟語の"船"(زورق, zawraqないしはzauraq, 厳密には船よりも小さな「舟、ボート」の意)部分に由来する名称で呼ばれることもあった。これは古来、アラビアではこの辺りの星の並びを船に見立てていたことに因む[2][7]

近年、ザウラクはエリダヌス座γ星の固有名として用いられるのが一般的となっており[7]、2016年7月20日、国際天文学連合により正式にエリダヌス座γ星の固有名として承認された[3]

物理的特徴

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ほうおう座α星は公転周期約10.5年の単線分光連星である[6][8]。1905年には視線速度が変化する恒星の1つに挙げられ[9]、1918年に視線速度の変動の記録に基づいて公転周期3,880日の軌道が求められた[8]

主星はスペクトル分類がK型の橙色巨星[1]、太陽の約83倍の光度を持ち、金属量は太陽よりも低い[4]。伴星は主星よりずっと暗く、スペクトルが観測されていない。

ほうおう座α星の見つけ方

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ほうおう座α星は、くじら座β星を鋭角の頂点として、みなみのうお座のα星フォーマルハウトと二等辺三角形を描いている[10]。フォーマルハウトの南東にあり[11]くじら座β星との赤経差がおよそ17であるため、くじら座β星が南中すると、その下方に見える。

3星のうち、フォーマルハウトは1星で、他の2星は2等星である。3星のあたりは、周りに明るい星がないため比較的目立つ[7]。ただし、日本ではこの星の高度が低いため、大気による減光を受け、カタログ値ほど明るくならない。大気の澄んだ日に南の地平線近くの空が開けていて、かつ観望の妨げとなる光源のない場所を選択することが望ましい。

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典中では対数表記 log (L/L) = 1.92 ±0.02 。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Results for * alf Phe”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月22日閲覧。
  2. ^ a b c d Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 49. ISBN 978-1-931559-44-7 
  3. ^ a b c d IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年8月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e Charbonnel, C. et al. (2020-01). “Lithium in red giant stars: Constraining non-standard mixing with large surveys in the Gaia era”. Astronomy & Astrophysics 633: A34. Bibcode2020A&A...633A..34C. doi:10.1051/0004-6361/201936360. 
  5. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=99. 
  6. ^ a b c d e Pourbaix, D. et al. (2004-09). “SB9: The ninth catalogue of spectroscopic binary orbits”. Astronomy and Astrophysics 424: 727. Bibcode2004A&A...424..727P. doi:10.1051/0004-6361:20041213. 
  7. ^ a b c d 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂)恒星社厚生閣、1996年6月30日、203頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  8. ^ a b Lunt, J. (1918-04). “On the orbit of the spectroscopic binary alpha Phoenicis”. Astrophysical Journal 47: 196. Bibcode1918ApJ....47..196L. doi:10.1086/142400. 
  9. ^ Wright, W. H. (19105-05). “A list of twelve stars whose radial velocities vary”. Astrophysical Journal 21: 371. Bibcode1905ApJ....21..371W. doi:10.1086/141223. 
  10. ^ 藤井旭『全天星座百科』(新)河出書房新社、2011年2月11日、126頁。ISBN 978-4309252445 
  11. ^ Richard Hinckley Allen. “Star Names - Their Lore and Meaning”. Bill Thayer. 2014年12月18日閲覧。

関連項目

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