てんま

日本のX線天文衛星

第8号科学衛星てんま (ASTRO-B) は、旧文部省宇宙科学研究所が打ち上げた、日本で二番目のX線天文衛星である。開発・製造は日本電気が担当した。1983年2月20日に、鹿児島県内之浦町にある鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられた。名前はペーガソスの和訳である「天馬」に由来する。英語表記は"Tenma"。

ASTRO-B / てんま
てんま (ASTRO-B)
所属 ISAS
主製造業者 日本電気
公式ページ X線天文衛星「てんま」
国際標識番号 1983-011A
カタログ番号 13829
状態 運用終了
目的 X線天文学
打上げ機 M-3Sロケット3号機
打上げ日時 1983年2月20日
14時10分
運用終了日 1988年12月17日
消滅日時 1989年2月20日
物理的特長
質量 216 kg
発生電力 約140W
軌道要素
周回対象 地球
近点高度 (hp) 497 km
遠点高度 (ha) 503 km
軌道傾斜角 (i) 31.5度
軌道周期 (P) 94.4分
搭載機器
SPC すだれコリメータ付蛍光比例計数管(2個)
PC 蛍光比例計数管
XFC 広視野X線モニター
SXRF 軟X線反射集光器
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ミッションの概要

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てんまは先代のX線天文衛星である「はくちょう」による成果を発展させるために開発された。はくちょうはX線星X線バースト、硬軟X線星雲などを観測し成果を上げたが、同時にその観測結果は新たな疑問をもたらした。

この問題を解明すべく、てんまは、はくちょうよりもエネルギー分解能に優れた蛍光比例計数管を主観測器として搭載し、この他に、軟X線反射集光鏡装置、広視野X線モニター、放射線帯の検知とガンマ線バーストの記録を行なう検出器を搭載した。 てんまの搭載する蛍光比例計数管は、太陽観測衛星「ひのとり」でも使われたガス蛍光比例計数管を発展させたものであり、X線天文衛星としては初めて採用された。

1983年2月20日14時10分 (JST) 、M-3Sロケット3号機によって打ち上げられ、近地点497km、遠地点503kmの略円軌道に投入された。同年3月から定常観測に入った。その直後に姿勢制御用のホイールに異常が発生し、観測精度に若干の低下を来したが、運用は問題なく続けられた。1984年7月、電源系に異常が発生し、バッテリーが使えなくなった。このため日陰での運用が不可能となり、また日陰をまたいだ長期の観測も出来なくなった。その後も運用は続けられたが、装置不具合によるトラブルの影響の回避が出来なかったため1985年11月11日に観測運用を終了した。

軌道運用はその後も継続し、1989年1月19日大気圏に再突入して消滅した。

バッテリーのトラブルによって、観測装置系の電源が規定値に達しなくなったため、高電圧を要する蛍光比例計数管の運用は停止された。しかしその後も軌道系の運用システムは継続し、様々な軌道実験を行い、後の宇宙X線観測衛星あすかの軸制御等の貴重なデータが得られることになった。

観測装置

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  • すだれコリメータ付き蛍光比例計数管(SPC)
  • 蛍光比例計数管(PC)
  • X-ray Focusing Collector (XFC)
  • 広視野X線集光器 (SXRF)

主な成果

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  • 中性子星の脈動(通称:星震)の観測に成功。
  • より高度な精密観測によって、中性子星の起源、その他について精密な観測が行われた。近年(2006年)現在、伴星を伴うのか?自己が放つ強力電磁場によって自転周期が遅れるのか(※)?について、まだ分からないが、中性子星の自転周期が遅いものも見つかっている。

中性子には、元々磁気アノマリー(中性子中心から、磁場が分散する)現象が1933年にシュテルン・ゲルラッハの実験等によって明らかになっていた。中性子星が、中性子の液体・固体層からなるとされている。よって、特に生成初期の中性子星では、液体中性子層が大きいためこのような現象が起こりえる。

名称

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当初は「おりひめ」と命名する案が挙がっていたが、文部省の担当者の「女工哀史を思い出して暗い気分になる」という反対意見を受けて再検討し、「てんま」という名前が選ばれた[1]

出典

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  1. ^ てんま”. 日本の宇宙開発の歴史. 宇宙科学研究所. 2016年1月10日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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