チヂミ
チヂミ(지짐이[1]または찌짐)またはチジミは、朝鮮料理の一つ。様々な食材を溶いた小麦粉などと合わせ、油で平たく焼いた粉食。韓国では主にプチㇺゲ(부침개)やチョン(전、煎)と呼ばれる(後述)。
チヂミ | |
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各種表記 | |
ハングル: |
부침개 부침 전 지짐 찌짐 지짐이 지짐개 |
発音: |
プチムゲ プチム チョン チジム チジム チジミ チジムゲ |
RR式: |
buchimgae buchim jeon jijim jjijim jijimi jijimgae |
MR式: |
puch'imgae puch'im chŏn chijim tchijim chijimi chijimgae |
概要
編集地方によってさまざまなチヂミがあるが、日本で一般的に知られるチヂミは薄く外側はパリっと、内側はもちっとした食感のものであり、タレにつけて食べる。日本では大抵の朝鮮料理店で供されるほか、食品スーパーで「チヂミの粉」が売られるなど、なじみ深い料理となっている。
朝鮮ではチヂミをつまみにマッコリを飲むことが好まれるほか、雨の日になるとチヂミを食べる俗習がある[2]。その起源はチヂミを焼く音と雨の降る音が似ているためとも、農作業ができない雨天にチヂミを焼いてマッコリとともに食べていた風習の名残とも言われるが、荒天時は買い物が面倒なため、家にある物で簡単に作れる料理として重宝されたのが習慣化したものとみられる[2]。祭祀に欠かせない料理でもある。
ネギを用いたチョンをパジョン(파전。パはネギの意)と言い、魚介類を加えたものをヘムルパジョン(해물파전、海物-)と言う[3]。釜山広域市東萊地区のパジョンは「東萊パジョン」と呼ばれ、釜山を代表する伝統料理として知られる[4]。
呼称
編集「チヂミ」という呼称は慶尚道などの方言で使われることが多く、韓国の標準語ではプチㇺゲ(プッチㇺゲ、プッチンゲ、부침개)またはチョン(ジョン、전、漢字では煎)と呼ぶ方が一般的である[2][5]。厳密には、プチㇺゲは食材と溶いた粉を練り混ぜて焼いたもの、チョンは食材に衣を付けて焼いたものという違いがあるが、広義のプチㇺゲにはチョンが含まれ(反対は成立しない)、両者の区別が曖昧な場面もある。日本で「チヂミ」という呼称が定着した背景には、在日韓国・朝鮮人に慶尚道出身者が多かったことが関係すると考えられる[2]。日本では「チヂミ」と「パジョン」が同義であると誤解されることがあるが、先述のとおりパジョンはネギを使ったチョンという意味であり、チヂミと呼ばれうる数あるメニューの一つにすぎない。
日本語としてカタカナ表記する際、現代は四つ仮名を区別しないため、内閣府告示の「外来語の表記」の原則に従えば「チジミ」になるが、「チヂミ」と表記することが定着しており、NHKでも2015年から特例で「チヂミ」と表記している[6]。「韓国風お好み焼き[6]」や「韓国式お好み焼き[2]」とも呼ばれる。
作り方
編集ギャラリー
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広蔵市場のチヂミ屋台
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パジョン
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カㇺジャジョン(감자전、ジャガイモチヂミ)
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キㇺチブチㇺゲ(김치부침개、キムチチヂミ)
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プチュジョン(부추전、ニラチヂミ)
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チェサ(제사、儒教式法事)の供物。中央部にチヂミが積まれている。
脚注
編集- ^ “지짐-이”. 標準国語大辞典. 国立国語院. 2023年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e 日本経済新聞社・日経BP (2018年6月19日). “韓国式お好み焼き、チヂミはなぜ雨の日に食べる?”. NIKKEI STYLE. 2022年6月1日閲覧。
- ^ “Korean pancake flips for wine [パジョンはワインのお供]” (英語). サンフランシスコ・クロニクル. (2008年3月21日). オリジナルの2009年5月8日時点におけるアーカイブ。 2021年12月26日閲覧。
- ^ 平原奈央子 (2022年7月22日). “「東萊パジョン」雨の日にマッコリといかが 【釜山レシピ】”. 西日本新聞 2023年2月17日閲覧。
- ^ “韓国語で「チヂミ、지짐이(チヂミ)」意味とは”. Kpedia. 2017年5月29日閲覧。
- ^ a b “韓国料理の「チジミ」?「チヂミ」?”. 放送現場の疑問・視聴者の疑問. NHK放送文化研究所 (2015年8月1日). 2015年8月2日閲覧。
- ^ “지짐이” (朝鮮語). 韓国民族文化大百科事典. 2023年12月8日閲覧。