は、仮名のひとつであり、に濁点をつけた文字である。四つ仮名の一つ。日本語音節のひとつとして用いられ、1モーラを形成する。

平仮名
文字
字源 に濁点
JIS X 0213 1-4-24
Unicode U+3058
片仮名
文字
字源 シに濁点
JIS X 0213 1-5-24
Unicode U+30B8
言語
言語 ja
ローマ字
ヘボン式 JI
訓令式 ZI
JIS X 4063 ji,zi
発音
IPA d͡ʑi̞
種別
濁音
「じ」の筆順
「ジ」の筆順

日本語での発音

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  • 舌の前部を上歯茎の後ろから硬口蓋近くの範囲に近づけて、隙間から声を摩擦させて通すときに出る有声摩擦音、すなわち「し」の有声音。または、いったん舌の前部を上歯茎の後ろから硬口蓋近くの範囲に付けて、離すときに、狭い隙間を作って摩擦した音を出す有声破擦音、すなわち「」の子音の有声音である。これら二つの「じ」の発音は、一般に現代日本語の話者には違いをほとんど聞き分けられず、意味上の差異はない。だいたいにおいて破擦音は語頭、撥音のあとで現れ、摩擦音は語中で現れる。「じ」は「」と同じ発音であり、現代標準語では「じ」と「ぢ」を音の上で区別しない。現代仮名遣いでは、例外(「ち」が重畳する「ちぢむ」など)を除いて「ぢ」で書かれてきたものをすべて「じ」で書く。有声歯茎硬口蓋摩擦音[ʑ]有声歯茎硬口蓋破擦音[d͡ʑ]または国際音声記号では有声後部歯茎摩擦音[ʒ]有声後部歯茎破擦音[d͡ʒ]で記述される。どちらかといえば[ʑ, d͡ʑ]が近く、[ʒ, d͡ʒ]で表される場合でも英語のvisionなどの s や j よりも調音部位の範囲が広い。


これらは日本の中央語(京阪語)での発音で、日本全土の言語がこのように発音しているわけではない。東京の発音では/ʣi/が多く、「ヅィ」に近い。山陰や奥羽では中舌母音(いわゆるズーズー弁)のため/ʣï/に。母音の無声化により/ʣi̥/になることも。関東、南奥羽、東海、北陸、山陰、九州に多い。
文頭か文中かでも発音は変わる。京阪の発音では文頭が/zi/で文中は/zi/か/ʣi/。

じ に関わる諸事項

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  • 上代の「じ」は /dzi//dʒi//ʒi/ いずれとも論じられているが、確定しがたい。いずれにせよ「ぢ」との区別が成されていたのは明らかである。室町時代末には /ʒi/ と発音されたが、江戸時代に入ると「ぢ」(/dʒi/)との区別が曖昧になり、仮名遣いの混乱を生じるようになった[1]
  • 上代の万葉仮名には「し」の濁音専用と思われるもの(慈・自・士)が存在したが、古体の片仮名・平仮名が成立する頃には仮名としての区別が無くなり、「し」に濁点を付して濁音を示すようになった[1]
  • 「じ」の調音点は、拗音の「じゃ、じゅ、じょ」と同じであり、発音面では「ジャ行に属する」と言える。「じゃ、じ、じゅ、ジェ、じょ」は国際音声記号では、[d͡ʑä/d͡ʒä], [d͡ʑi̞/d͡ʒi̞], [d͡ʑɯ̹˕/d͡ʒɯ̹˕], [d͡ʑe̞/d͡ʒe̞], [d͡ʑo̜/d͡ʒo̜]と表せる。ヘボン式ローマ字表記の「ji」も、この発音に従った物である。
    • このため、ザ行の中で唯一調音点が異なっている。「ざ、ず、ぜ、ぞ」と同じ調音点で発音すると/zi/となり「ズィ」と発音されるが、これは日本語にはない音であり、対応する文字もない。
  • 「ジ」は「」と同様に英語の前置詞theを表す。ただし「ジ・エンド」など一部例外を除いて、本来「ジ」を用いるべきところを「ザ」とする用例が日本語においては目立つ(「ザ☆ウルトラマン」「ザ・インターネット」など)。

脚注

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  1. ^ a b 日本国語大辞典』(第2版)小学館、2001年。 

関連項目

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