あしたの少女
『あしたの少女』(あしたのしょうじょ、原題:다음 소희、英題:Next Sohee)は、2022年公開の韓国映画。監督のチョン・ジュリと主演のペ・ドゥナは、映画『私の少女』以来8年ぶりのタッグとなった。第75回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めて批評家週間の閉幕作に選ばれ[2][3]、ソヒ役のキム・シウンは百想芸術大賞など4つの映画賞で新人女優賞を獲得した。
あしたの少女 | |
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다음 소희 | |
監督 | チョン・ジュリ |
脚本 | チョン・ジュリ |
製作 |
キム・ドンハ キム・ジヨン |
製作総指揮 |
チェ・ピョンホ キム・チョルウ キム・ドンハ |
出演者 |
ペ・ドゥナ キム・シウン |
音楽 | チャン・ヨンギュ |
撮影 | キム・イルヒョン |
編集 |
イ・ヨンリム ハン・ジユン |
公開 | |
上映時間 | 138分 |
製作国 | 韓国 |
言語 | 韓国 |
あしたの少女 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 다음 소희 |
発音: | タウム ソヒ |
日本語読み: | あしたのしょうじょ |
英題: | Next Sohee |
製作・上映
編集2016年、特性化高校の女子学生が、韓国全州市にある大手通信会社のコールセンターに現場実習生として入った。働き始めてから3か月後の2017年1月、学生は自殺した[4][5]。「実際の事件を映画にしよう」と製作会社から提案を受けていたチョン・ジュリは、この事件を取り扱ったSBSの調査報道番組『それが知りたい』を見返し、現場実習の問題に関連する報道記事や討論会の映像、本などを当たった。5か月間、昼も夜もなくシナリオに没頭し、2021年5月に脱稿した[5]。
電子メールでシナリオを受け取ったペ・ドゥナは翌朝、チョン・ジュリに「私たちまた会いましょう」と電話した[5]。ペ・ドゥナはチョン・ジュリの監督デビュー作『私の少女』(2014年)に主演しており、二人は再びタッグを組むことになった。
2022年1月16日にクランクインし[6]、同年2月28日にクランクアップした[7]。全州映像委員会が主管する「2022全北ロケーションインセンティブ事業」の支援を受けて製作され、完山区多価洞通り、全州徳津警察署、全北大学病院葬儀場、松川洞金星葬儀場、完州松光スーパーなど、全州市内の多数の場所でロケ撮影が行われた[3]。
高校生のソヒが働くコールセンターの労働環境は、実際の事件の現場がほぼ忠実に再現された[8]。ソヒの死後にペ・ドゥナ扮する刑事が事件を調べる後半部分はフィクションである[8]。
2022年5月の第75回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めて批評家週間の閉幕作に選ばれた[2]。
日本では、2022年秋に開催された東京フィルメックスに『Next Sohee(英題)』のタイトルで出品され[8]、2023年8月25日に一般公開された[9]。
ストーリー
編集ダンス好きの明るい高校生・ソヒ(キム・シウン)は、担任教師からインターンシップの実習先として大手通信会社の下請け会社であるコールセンターを紹介される。実習生として働き始めたソヒだったが、過酷なノルマ、顧客からの言葉の暴力、規定外の低賃金労働などに不満を募らせていた。
ある雪の日、ソヒが出社すると指導員のチーム長が自死していた。ソヒは大きなショックを受けたが、会社は実習生を口止めし、業務を継続するよう促し、チーム長の死を問題視することはなかった。
より一層不満を抱えた状態のソヒは会社の方針に反する対応を行い、新たに赴任したチーム長から懲戒処分を言い渡される。学校の就業率に固執する担任教師、娘の悩みを見て見ぬふりする両親、苦しむ姿にも手を差し伸べる人はおらず、ソヒは独りで神経をすり減らしていく。ソヒは真冬の貯水池で遺体として発見された。
ソヒの死を捜査することになったのは、刑事ユジン(ペ・ドゥナ)。ソヒの職場や家族、友人を訪ねていくことで、次第に彼女が見せていた姿、死へと追いやった根深い問題へと迫っていく。
キャスト
編集スタッフ
編集映画賞・映画祭
編集- 映画賞
- 第59回百想芸術大賞
- 最優秀脚本賞
- 最優秀新人女優賞(キム・シウン)
- GUCCI IMPACT AWARD[10]
- 第43回韓国映画評論家協会賞[11]
- 最優秀作品賞
- 新人女優賞(キム・シウン)
- 第32回釜日映画賞
- 最優秀監督賞
- 最優秀新人女優賞(キム・シウン)
- ユ・ヒョンモク映画芸術賞(ペ・ドゥナ)
- 第59回大鐘賞 - 最優秀新人女優賞(キム・シウン)
- 第44回青龍映画賞 - 最優秀脚本賞
- 第28回春史大賞映画祭 - ある視点部門監督賞
- 映画祭
- カンヌ国際映画祭(2022) - 批評家週間 クロージングフィルム
- ファンタジア国際映画祭(2022) - クロージングフィルム、シュバル・ノワール・コンペティション部門 最優秀監督賞、Silver Audience Award for Best Asian Film
- アミアン国際映画祭(2022) - 観客賞、Special Mention、UPJV (Université de Picardie Jules Verne) Reference Award
- 東京フィルメックス(2022) - 審査員特別賞
- 平遥国際映画祭(2022) - 最優秀作品賞
- アレス映画祭(2023)- オープニングフィルム
- クレテイユ国際女性映画祭(2023) - Best Feature for Young Audiences
- レミス・ポーラー・クライム映画祭(2023) - 審査員賞
- フィレンツェ韓国映画祭(2023) - 審査員賞
- イスタンブール国際映画祭(2023) - FIPRESCI賞
脚注
編集- ^ a b c d あしたの少女 - IMDb
- ^ a b “ペ・ドゥナ主演映画「あしたの少女」カンヌ国際映画祭で批評家週間の閉幕作に選定”. Kstyle (2022年4月21日). 2024年7月31日閲覧。
- ^ a b 임채두 (2023年2月1日). “콜센터 실습생 죽음 그린 '다음 소희'…실제 사건 배경은 전주”. 연합뉴스. 2025年1月25日閲覧。
- ^ 常川拓也 (2023年8月25日). “彼女の死は防げたのではないか。韓国映画『あしたの少女』監督が向ける社会と幼き者たちへのまなざし”. CINRA. 2025年1月21日閲覧。
- ^ a b c 서정민 (2023年2月8日). ““학생이 일하다 죽었는데…” 배두나의 분노, 관객을 대변하다”. 한겨레. 2025年1月25日閲覧。
- ^ Kim Mi-hwa (January 17, 2022). “배두나, '다음 소희' 출연..'도희야' 정주리 감독과 재회 [Bae Doo-na to appear in 'The Next So-hee'.. Reunited with director Jung Ju-ri of 'Hey Do-hee']” (朝鮮語). Star News (Naver) May 26, 2022閲覧。
- ^ Kim Kyung-hee (March 4, 2022). “'다음 소희' 배두나 X '도희야' 정주리 감독의 재회작 크랭크업 ['The Next Sohee' Bae Doo-na X 'Dohee-ya' Director Jung Ju-ri's Reunion Crankup]” (朝鮮語). iMBC (Naver) May 26, 2022閲覧。
- ^ a b c “『Next Sohee(英題)』/東京フィルメックス・コンペティション - 第23回「東京フィルメックス」”. 東京フィルメックス. 2025年1月21日閲覧。
- ^ “ペ・ドゥナ主演、実在の事件を描く映画『あしたの少女』日本公開決定、ポスタービジュアルも解禁”. MOVIE WORKER PRESS (2023年5月15日). 2025年1月21日閲覧。
- ^ “ペ・ドゥナ&キム・シウン主演映画『次のソヒ』、百想芸術大賞設立の「GUCCI IMPACT AWARD」を受賞”. KBS WORLD (2023年4月7日). 2025年1月25日閲覧。
- ^ “今年の映画評論家賞の作品賞に『あしたの少女』…『フクロウ』は3冠”. KBS WORLD (2023年9月5日). 2025年1月23日閲覧。