台湾桃園国際空港

台湾・桃園市大園区にある空港

台湾桃園国際空港(たいわんとうえんこくさいくうこう、繁体字中国語: 臺灣桃園國際機場英語: Taiwan Taoyuan International Airport)は、中華民国桃園市大園区にある台湾最大の国際空港中華民国の首都である台北市の西に約40kmに位置している。空港コードTPE

台湾桃園国際空港
臺灣桃園國際機場
Taiwan Taoyuan International Airport
IATA: TPE - ICAO: RCTP
概要
国・地域 中華民国の旗 中華民国台湾
所在地 桃園市大園区
母都市 台北市
種類 民間
運営者 桃園國際機場股份有限公司
運用時間 24時間[1]
開港 1979年2月26日
ターミナル 2
拠点航空会社 チャイナエアライン
エバー航空
タイガーエア台湾
スターラックス航空
敷地面積 1249 ha
標高 32 m (106 ft)
座標 北緯25度04分39秒 東経121度13分58秒 / 北緯25.07750度 東経121.23278度 / 25.07750; 121.23278座標: 北緯25度04分39秒 東経121度13分58秒 / 北緯25.07750度 東経121.23278度 / 25.07750; 121.23278
公式サイト 桃園國際機場
滑走路
方向 ILS 長さ×幅 (m) 表面
05L/23R YES 3,660×60 アスファルト
05R/23L YES 3,800×60 アスファルト
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空港の一覧
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TPE/RCTPの位置(台湾内)
TPE/RCTP
TPE/RCTP
空港の位置(台湾)
台湾桃園国際空港
各種表記
繁体字 桃園國際機場
簡体字 桃园国际机场
拼音 Táoyuán Guójì jīchǎng
注音符号 ㄊㄠˊ ㄩㄢˊ ㄍㄨㄛˊ ㄐㄧˋ ㄐㄧ ㄔㄤˇ
発音: タオユエン グオジー ジーチャン
英文 Taoyuan International Airport
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上空から

概要 編集

1979年2月26日台湾十大建設の一環として台北松山空港から国際線の業務の移転を目的とし開港した。これにより、松山空港は国内線専用、桃園国際空港は国際線主体で、国内線の一部が運航という役割分担がなされるようになったため、国内・国際の航空路線を共に増便することが可能となった。

2024年1月現在、チャイナエアライン中華航空)、エバー航空長榮航空)、スターラックス航空星宇航空)、タイガーエア台湾台湾虎航)がハブ空港として使用している。

2000年にターミナル2が開業した。2017年には桃園機場捷運(MRT)が開通し、台北都心との直結が実現。現在は64万㎡の規模を持つターミナル3が建設中であり、2026年ごろの完成を予定している。

台湾と中国の通商交渉の結果、2008年にいわゆる三通が拡大されることになり、台湾と中国の大都市を結ぶ直行便(両岸線)が増便された。

台湾の地場産業である電子機器の輸出拠点となっており、国際貨物取扱額は香港国際空港上海浦東国際空港仁川国際空港と並ぶアジアの拠点空港である。

評価 編集

台湾桃園国際空港は、台湾当局が発表している「アジア・太平洋空港番付」で2007年13位、2008年14位[2]、2009年18位とランクを落としている[3]。これは空港内の飲食物の値段が高い、旅客用カートの質といった利用者の満足度が低いことが原因とされている。このため空港側は施設の改築等に乗り出している。

国際空港評議会(ACI)の2015年の顧客サービスに関する国際空港評価「ASQ(Airport Service Quality)」において、旅客数規模別(年間旅客数2500万人以上4000万人以下)部門で世界2位を獲得した。また、旅客数最優秀賞と地域における総合評価賞(Best Airport by Size and Region)が増設されている、台湾桃園国際空港は、アジア太平洋地域の最優秀空港第3位にも選ばれた[4]

世界各地の空港運営団体で構成される「国際空港評議会」(ACI)が発表した世界の1202カ空港の2017年1~12月の乗降客数・貨物取扱量ランキング(速報)において、台湾桃園国際空港は国際線旅客数世界10位、貨物取扱量世界9位、国際航空貨物取扱量世界6位でいずれも上位10位内にランクインしたほか、3部門全てで高い伸び率をマークした[5]

英国の航空サービス調査会社スカイトラックス(SKYTRAX)の2016年の顧客サービスに関する国際空港評価「World Airport Awards 2016」において、旅客数規模別(年間旅客数3000万人以上4000万人以下)部門で世界3位。また、アジア部門でも連続となる「Best Airport - Asia」に選ばれ、2部門での受賞となった[6]。同団体発表した2018年の世界の空港ランキングベスト100で、台湾桃園国際空港が世界15位に選出された(昨年の21位から6つ順位を上げた)[7]

航空会社のマイレージプログラムなどの活用方法についての情報を提供するリワードエキスパート(RewardExpert)の高評価のレストランが多い国際空港ランキングにおいて、台湾桃園国際空港は、世界2位に入った。「質」と「値段」の2つの項目で、それぞれ1位、2位に入った[8]

航空旅客数 編集

台湾桃園国際空港は、2017年の航空旅客数は年間4487万8703人に達し、前年比で6.11%成長した[9]

貨物取扱量 編集

台湾桃園国際空港の2017年の貨物取扱量は前年比で8.22%増加し、226万9585トンに達した[10]

航空機発着回数 編集

台湾桃園国際空港の2017年の航空機発着回数は24万6104回で、2016年に比べて0.67%増えた[10]。また、世界各国の国際線で就航数が最も多かったのは桃園-香港線[11]で、2017年の統計では2万9494便が就航している。

名称の由来 編集

名称は、台湾の桃園市に立地する国際空港であることによる。

当初、十大建設において名称は桃園國際機場と予定されていた。しかし、開港前に中華民国の初代総統である蔣介石を記念して中正國際機場と改称された(蔣介石の本名は「中正」。「介石」は)。英語名としては、蔣介石の英語表記「Chiang Kai‐Shek「の頭文字を取った「C.K.S. Airport」という別称が多用されていた。またチャイナエアラインの機内では、日本語アナウンスで「蔣介石国際空港」と称していた。

2006年9月6日台灣桃園國際機場と改称された[12]

同空港は台湾北部にある桃園県大園郷(現:桃園市大園区)にあることから、地元である桃園県の職員や民主進歩党を始めとする泛緑連盟の人々の間では以前から桃園国際機場という別称が多用されていた。中国側でも「桃園機場」と呼ばれる場合が多かった。

略史 編集

 
スカイトレイン

就航航空会社と就航地 編集

2024年5月現在[23][24][25]

※ △印はスカイチーム加盟航空会社、☆印はスターアライアンス加盟航空会社、◎印はワンワールド加盟航空会社。太字は本空港を拠点とする航空会社。

Terminal 1 編集

航空会社就航地
  チャイナエアライン 東アジア: 香港ソウル/仁川釜山
東南アジア: マニラセブホーチミンシティハノイダナンバンコク/スワンナプームチェンマイプノンペンクアラルンプールペナンシンガポールジャカルタデンパサールヤンゴン
オセアニア: コロール
欧州: ロンドン/ヒースローアムステルダムローマ/フィウミチーノウィーンフランクフルトプラハ
  タイガーエア台湾 日本: 札幌/新千歳旭川函館花巻秋田仙台福島茨城東京/成田東京/羽田新潟小松名古屋/中部大阪/関西岡山高知福岡佐賀沖縄/那覇
東アジア: ソウル/仁川釜山済州マカオ
東南アジア: ダナンフーコックプーケット
  スターラックス航空 日本: 札幌/新千歳函館仙台東京/成田名古屋/中部大阪/関西福岡熊本沖縄/那覇
東アジア: 香港(2024年7月8日就航予定)、マカオ
東南アジア: クラークハノイフーコック(2024年7月1日就航予定)、クアラルンプールペナン
  キャセイパシフィック航空 香港東京/成田名古屋/中部大阪/関西
  香港エクスプレス航空 香港
  グレーター・ベイ航空 香港
  マカオ航空 マカオ
  吉祥航空 上海/浦東
  春秋航空 上海/浦東
  Peach Aviation 東京/成田東京/羽田名古屋/中部大阪/関西沖縄/那覇
  ジェットスター・ジャパン 東京/成田大阪/関西
  大韓航空 ソウル/仁川釜山
  ジンエアー ソウル/仁川釜山大邱
  イースター航空 ソウル/仁川清州済州
  チェジュ航空 ソウル/仁川釜山務安
  ティーウェイ航空 大邱済州
  エアロK 清州
  フィリピン航空 マニラ
  セブパシフィック航空 マニラセブクラーク
  フィリピン・エアアジア マニラ
  ロイヤル・エア・フィリピン英語版 マニラカティクランプエルト・プリンセサ
  ベトナム航空 ホーチミンシティハノイ
  ベトジェットエア ホーチミンシティハノイフーコック
  タイ国際航空 バンコク/スワンナプーム
  タイ・ライオン・エア バンコク/ドンムアン東京/成田
  タイ・エアアジア バンコク/ドンムアンチェンマイ沖縄/那覇(2024年6月15日就航予定)
  タイ・ベトジェットエア バンコク/スワンナプーム大阪/関西
  マレーシア航空 クアラルンプールコタキナバル
  エアアジア X クアラルンプール
  エアアジア コタキナバル
  バティック・エア・マレーシア クアラルンプール名古屋/中部大阪/関西沖縄/那覇
  スクート シンガポール札幌/新千歳東京/成田ソウル/仁川
  ロイヤルブルネイ航空 バンダルスリブガワン

Terminal 2 編集

航空会社就航地
  チャイナエアライン 日本: 札幌/新千歳東京/成田富山名古屋/中部大阪/関西広島高松福岡熊本鹿児島沖縄/那覇
中国大陸: 北京/首都上海/浦東廈門広州深圳成都/天府
北米: ニューヨーク/JFKロサンゼルスオンタリオサンフランシスコシアトル(2024年7月14日再開予定)、バンクーバー
オセアニア: シドニーメルボルンブリスベンオークランド(ブリスベン経由)
  エバー航空 日本: 札幌/新千歳仙台東京/成田小松大阪/関西松山福岡沖縄/那覇
東アジア: 香港マカオソウル/仁川
中国大陸: 北京/首都上海/浦東広州成都/天府杭州
東南アジア: マニラセブクラークホーチミンシティハノイダナンバンコク/スワンナプームチェンマイプノンペンクアラルンプールシンガポールジャカルタデンパサール
オセアニア: ブリスベン
欧州: ロンドン/ヒースロー(バンコク/BKK経由)、アムステルダム(バンコク/BKK経由)、パリ/ド・ゴールミュンヘンミラノ/マルペンサウィーン(一部バンコク/BKK経由)
北米: ニューヨーク/JFKシカゴ/オヘアヒューストン/ICロサンゼルスサンフランシスコシアトルバンクーバートロント/ピアソン
  スターラックス航空 東南アジア: セブホーチミンシティダナンバンコク/スワンナプームチェンマイシンガポール
北米: ロサンゼルスサンフランシスコシアトル(2024年8月16日就航予定)
  マンダリン航空 廈門
  ユニー航空 深圳
  中国国際航空 北京/首都上海/浦東成都/天府重慶杭州
  中国東方航空 上海/浦東青島南京寧波武漢
  中国南方航空 上海/浦東鄭州広州深圳武漢
  海南航空 北京/首都広州
  厦門航空 廈門福州杭州
  深圳航空 深圳
  山東航空 青島
  香港航空 香港
  日本航空 東京/成田
季節便: 大阪/関西
  アシアナ航空 ソウル/仁川
  エアプサン 釜山
  シンガポール航空 シンガポール
  KLMオランダ航空 アムステルダムマニラ
  ターキッシュ エアラインズ イスタンブール
  エミレーツ航空 ドバイ/国際
  デルタ航空 シアトル(2024年6月6日就航予定)
  ユナイテッド航空 サンフランシスコ
  ニュージーランド航空 オークランド

ターミナルは航空会社及び出発方別にターミナル1とターミナル2が営業されている。ターミナル間には2分半ごとに無料で運行されている連絡電車スカイトレイン)が走っている他、深夜時間帯に限りシャトルバス国光汽車客運運行)も運行されている。

サービス・施設 編集

各ターミナルに設置されている[26]

事件・事故 編集

この空港は、過去にテロ計画の目標とされた事がある。(1995年ボジンカ計画がその例、その際には現在の成田空港も標的にされた。)

アクセス 編集

バス 編集

 
バスターミナル ターミナル2

空港からは台北市内や近郊の桃園区、中壢区宜蘭県、台湾中部の主要都市である台中市などへのバス路線が設定されており、特に台湾の政治経済の中心地である台北市中心部と連絡するリムジンバスは数社により頻繁に運行され、渋滞時を除いて50分程度で連絡している。国光客運台北駅行き1819番高速バス、統聯客運台中駅行き1623番高速バス、中壢服務区行き1627番高速バス、羅東転運站行き1661番高速バスは24時間運行されている。深夜はMRTの運行が停止するために、空港からの移動手段はタクシーかバスのみとなる。 詳細は 客運バス(台湾桃園国際空港) を参照のこと。

また、台湾高速鉄道桃園駅と連絡するシャトルバスが統聯客運(U-BUS 705番)により運行されていた。所要時間は約15分で20分に1本となっていたが、桃園機場捷運開業後は減便の末に2019年7月以降は廃止となった[30]

タクシー 編集

各ターミナルより乗車できる。深夜時間帯に限り、相乗りで定額運賃となる"共乗"が利用できる[31]

捷運(MRT) 編集

2017年3月2日、空港と台北市内を連絡する捷運路線である桃園機場捷運が開業した[32]台北車站駅から空港及び台湾高速鉄道桃園駅を経由して桃園市中壢区環北駅(将来的には台湾鉄路管理局中壢車站駅にも延伸接続)までを連絡し、台北駅まで最短で35分のアクセスとなる[17][33]

脚注 編集

  1. ^ https://www.city.narita.chiba.jp/content/000064551.pdf
  2. ^ 島内の国際空港、凋落の危機―台湾当局2008年10月8日09時03分(Record China)]
  3. ^ 「ベスト3は羽田、北京、香港―中国メディア」2009年9月22日12時06分(Record China
  4. ^ 2015國際機場服務評比 桃機榮獲全球第二 - 自由時報 2016/03/01
  5. ^ 桃園空港 国際線旅客数や貨物取扱量が世界トップ10入り/台湾 - 中央社フォーカス台湾 2018/04/11
  6. ^ 2016全球機場評比出爐! 桃機蟬聯最佳機場第3名 - ETtoday新聞雲 2016/03/19
  7. ^ 台湾・桃園空港、世界ランクで15位に選出 入国審査部門では1位 - 中央社フォーカス台湾 2018/03/23
  8. ^ 高評価のレストランが多い国際空港ランキング、1位は成田 - Forbes JAPAN 2018/02/10
  9. ^ キャパオーバーの桃園空港、年間利用客が再び過去最高に 混雑深刻/台湾 - フォーカス台湾 2018/01/14
  10. ^ a b 民航運輸統計106年度起資料 - 交通部民用航空局 2018/01/14閲覧
  11. ^ 2017年の運航便数、香港-台北が最多 国内線は金浦-済州 英OAG
  12. ^ 中正国際空港、台湾桃園国際空港に改名 Radio Taiwan International
  13. ^ 桃園空港の南滑走路で改良工事始まる 超大型機の離着陸に対応へ - フォーカス台湾 2014/02/19
  14. ^ http://kukou.info/blog/archives/3005 [出典無効]
  15. ^ 桃園空港が北滑走路を改修、観光業推進に影響も[運輸] NNA.ASIA 2015/03/03
  16. ^ 台湾・桃園空港の北側滑走路、今月24日に供用再開 - フォーカス台湾 2015/12/17
  17. ^ a b c d <空港線>来月2日にプレ開業 1カ月間無料で乗車可能/台湾2017年1月25日,フォーカス台湾
  18. ^ (繁体字中国語)機場交通 > 航廈間交通 > 機場捷運2017年2月24日,桃園国際機場公司
  19. ^ 桃園空港ターミナル3、26日着工 2020年末に完成予定/台湾 - フォーカス台湾 2017/05/28
  20. ^ (繁体字中国語)高雄桃園接駁機將停飛 往返替代交通看這邊2017-06-20,自由時報
  21. ^ 桃園空港新管制塔、12月16日供用開始”. Radio Taiwan International (2019年12月13日). 2023年8月16日閲覧。
  22. ^ 台湾の軍事演習、桃園国際空港や台北駅でも…上陸阻止できぬ想定で「市街戦」重視に”. 読売新聞オンライン (2023年7月30日). 2023年7月30日閲覧。
  23. ^ 航空会社案内-台湾桃園国際空港
  24. ^ 定期航班客機 - 桃園国際機場
  25. ^ 台湾桃園国際空港 飛行機時刻表 - NAVITIME Transit
  26. ^ サービス施設ガイド - 桃園国際空港
  27. ^ トラベルサービスセンター -台湾観光局
  28. ^ 台湾半日無料ツアー - 交通部観光局
  29. ^ 真危險 桃園機場空橋垮下來 自由時報 2010年6月29日
  30. ^ (繁体字中国語)「705高鐵桃園站-桃園國際機場」路線7/1起停駛公告”. 台湾高速鉄路公司 (2019年6月14日). 2019年6月30日閲覧。
  31. ^ 計程車共乘服務 (PDF) - 台湾桃園国際空港
  32. ^ <空港線>きょう正式開業 桃園空港へのアクセスさらに便利に/台湾 - フォーカス台湾 2017年3月2日
  33. ^ 桃園国際機場捷運 Archived 2016年1月18日, at the Wayback Machine.

外部リンク 編集