Yak-52 (航空機)
Yak-52
Yak-52(ロシア語:Як-52)は、ソ連のヤコヴレフ設計局で開発され、ルーマニアのIAv社によって生産されたレシプロ練習機。同社がアエロスターと社名を変えてからは、Iak-52と名称が変更されている。
概要
編集Yak-18の後継機として、同系で単座型のYak-50と共に開発された。1976年に初飛行した後、生産をルーマニアのIAv社で行うこととなり、同社での生産は1979年に開始された。
外見はYak-18と似たタンデム複座の機体であり、完全な曲技飛行が可能。エンジン出力は360馬力と、レシプロエンジンの初等練習機としては強力である。前輪式の降着装置は引き込み時でも車輪が完全に露出する半引き込み式となっており、これによって胴体着陸時の衝撃を和らげるようになっている。
Yak-52は、ソ連空軍やその準軍事団体飛行組織であるDOSAAF向けに大量生産され、旧東側諸国を中心に輸出も行われた。また、民間でも曲技飛行機として使用されている。
総生産数はおよそ1,800機で、現在も生産が続けられている。
実戦での使用
編集非武装の練習機ではあるが、2022年ロシアのウクライナ侵攻では2024年4月にロシアのオルラン10偵察ドローンをオデッサ上空で撃墜しており[1]、また2024年6月8日にはZALA社のドローンを撃墜している[2]。SNS上に投稿された画像では少なくとも1機のYak-52が8機のドローンを撃墜したようである[3]。失速度が遅いため、低速でドローンを追跡でき、後部座席の射手が近距離からドローンを狙い撃ちできる[2]。ロシア軍も、ウクライナ軍のドローン対策に、電子機能をアップデートしたYak-52を投入している[4][5]。
派生型
編集- Yak-52
- 基本型。エンジンはベデニエフ M-14Pを搭載。
- Yak-52B
- 軽攻撃機型。翼下にロケット弾ポッドを携行可能。
- Yak-52M
- M-14Khへのエンジン換装、3枚プロペラの採用、新型アビオニクスの装備などを行った近代化改修型。
- Iak-52
- アエロスター社への社名変更後の名称。
- Iak-52W
- 西側製の計器を搭載した型。
- Iak-52TW
- Iak-52Wの降着装置を尾輪式に変更した型。
- コンドル(Condor)
- エンジンをアメリカのライカミング・エンジンズ製AEIO-540-LIB5Dに変更し、尾部を設計変更した型。試作のみ。
採用国
編集要目(Yak-52)
編集- 乗員:2名
- 全長:7.75m
- 全幅:9.30m
- 全高:2.70m
- 翼面積:15m2
- 空虚重量:1,015kg
- 最大離陸重量:1,305kg
- エンジン:ベデニエフ M-14P星型(360馬力)×1
- 最大水平速度:285km/h(海面高度)
- 航続距離:550km(高度500m、最大燃料20分の余裕)
- 実用上昇限度:4,000m
脚注
編集- ^ “Yak-52 shot down a Russian reconnaissance drone in the sky over Odesa” (英語). Militarnyi. 2024年4月27日閲覧。
- ^ a b “Ukrainian Defense Forces scramble Yak-52 to shoot down Zala UAV” (英語). Militarnyi. 2024年6月9日閲覧。
- ^ Newdick, Thomas (2024年6月25日). “Yak-52 Kill Marks Hint At Success In Ukraine’s Drone War” (英語). The War Zone. 2024年6月25日閲覧。
- ^ “ドローン対策「第二次大戦時のような航空機」をアップデート ウ軍に続いて露軍も使用へ”. 乗りものニュース. (2024年8月28日) 2024年10月6日閲覧。
- ^ Satam, Parth (2024年8月24日). “Russia to Modernize its Yak-52 Trainers to Shoot Down Ukrainian Kamikaze Drones” (英語). The Aviationist 2024年10月6日閲覧。
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 199. ISBN 978-1-032-50895-5