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料理そのものの著作権について

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始めに、場違いでしたら申し訳ございません。さて、料理に対する著作権について質問なのですが、料理そのものに著作権はあるのでしょうか。また、存在するのだとすればWikimediaプロジェクトではどの程度まで合法とみなさなされているのでしょうか。参考としてSTORIA法律事務所のページによると、「被写体である料理に関する著作権」が存在するらしいのですが、反対に日刊ゲンダイの記事においては「著作権があるかないかといえば、ありません。民法上も著作権の事例に挙げられておりませんし、芸術性はないという認識が一般的」とされています。日本の法律に限れば美術の著作物、アメリカ著作権法では絵画、図形および彫刻の著作物(CRICによる日本語訳より)に料理そのものはあてはまるのでしょうか。本来は身近な法律家に相談するべきなのですが、まずはウィキペディアンの方々の意見を参考にさせていただきたいです。--Osumi Akari会話2020年7月4日 (土) 02:47 (UTC)[返信]

ものすごく芸術的で独創的な盛り付けや見た目の料理であれば、その盛り付けや見た目が著作物として認められる可能性があるかもしれませんが、味付け、素材、調理手順とかの料理そのものが著作物として認めらることはないと思います。--Yapparina会話2020年7月4日 (土) 03:54 (UTC)[返信]
  コメント アメリカの法科大学院の記事 (参考) をたらたらと斜め読みしました。この記事では、一般的な料理に対しての訴訟では認められておらず、また、フードアートと呼ばれるような独創的な盛り付けなどには意匠権はあるかもしれないけれど、知的財産権を争う訴訟で必ず勝てるかどうかはわからない、といった内容でした。--Strangesnow会話2020年7月4日 (土) 04:11 (UTC)[返信]
  •   広く「法的保護」について、可能な限りで回答します。
  1. まず著作権法におけるレシピの扱いについて。私が知る限りではフランス著作権法が世界的に最も保護水準が高く (つまり著作権侵害に最も厳しい)、そのフランス著作権法であっても料理の「レシピ」に対し、著作権保護は判例で否定されています。出典: 専門弁護士・井奈波氏の論文 P6参照。そして アイディア・表現二分論 の観点からも、料理のレシピは「手順」「プロセス」(つまり法的な「アイディア」) に該当するので、保護対象外とみなせると思います。Yapparinaさんが「手順とかは認められない」とおっしゃってるのを私が単に面倒くさく説明しているだけなのですが、両者ともアイディア・表現二分論の話をしてます。
  2. 続いて、アイディアであるレシピを「表現」した料理の盛り付けですが、Osumi Akariさんが掲示したSTORIA法律事務所のページの末尾には「どんな料理の盛りつけが著作物になるのか、ですが、正直言ってよくわかりません」と法律事務所が言及しています。ヤル気あるのか?と疑いたくなりますが (笑)、盛り付けに著作権保護が認められると、保護期間中は誰も同じ盛り付けができなくなり、真似たら著作権侵害になることを意味します。しかし、先述のフランス著作権法では「有名アーティストが作った一からオリジナルで作った彫像を、その弟子が真似て作った場合でも、その真似たものは弟子に著作権が発生する」とみなされています (著作権法の大家Colombetの文献より)。というのも、弟子が真似る際にも、弟子個人の表現性が投影されるので、完全な複製に当たらないからだということです。よって、料理の盛り付けについても、真似たからといって著作権侵害になるとは考えづらいです。
  3. ところが、盛り付けられた料理を写真に収めたとして、その写真画像をWikimedia CommonsやSNSなどに無断でアップロードできるか? (または撮影者以外の第三者がシェアできるか?) という問題が残ります。これについては少なくとも2つの法律が絡みます。写真著作物として著作権保護がかかるか?、そして施設管理権侵害に当たるか?です。人物も写真内に写りこんでいれば肖像権も絡みますが、今回は料理だけと判断して2点に絞ります。
    • まず写真著作物ですが、米国著作権法の判例一覧でも紹介した、作家オスカー・ワイルドの写真に関する裁判 (バローガイルズ・リトグラフィック対サロニー裁判; 1884年最高裁) と、不動産王カッツの写真裁判 (カッツ対シェヴァルディーナ裁判; 2015年 11th Cir.) が参考になると思います。オスカー・ワイルドの方は、写真撮影にあたって明暗や衣装やセット配置などが個性を発揮して選択されているので、その成果物としての写真画像は著作権保護に値すると判定されています。この古い判例は、他国の著作権法でも考え方は踏襲されていると思います。一方の不動産王の写真については、ワイルドを被写体にしたケースと異なり、個性の表現とは言えない写真だったため、著作権保護ナシと判定されています。したがって素人がレストランに行ってスマホでサクっと写真に収めたものには、著作権保護というのは難しいと推定されます。
    • 著作権とは別に、施設管理権侵害への配慮も必要です。つまりレストラン側が秘密のメニューだと考えていて、CommonsやSNSなどへの写真投稿をされるとシークレット感がなくなって来店者数が減るからやめてくれ、という方針の場合、レストランの客がこの方針に反すると施設管理権侵害のおそれがあります。同じことはレストランだけでなく、美術館でも当てはまります。美術館で展示している絵画そのものが著作権保護期間が切れていたとしても、美術館は施設管理権を行使して、館内写真撮影禁止のルールを設定することができます。施設管理権については、みずほ中央法律事務所の解説が分かりやすいと思います。Osumi Akariさんが引用した、ドイツの新たな法律のケースですが、料理人の意に反してSNS投稿はNGとの判例は、日本の施設管理権侵害に近いものと思われます。ですから、SNSやCommonsに投稿する前に、レストラン側の撮影ルールを確認するべきでしょうね。--ProfessorPine会話2020年7月4日 (土) 08:57 (UTC)[返信]

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  コメント 議論に参加されている皆さん、参考になる意見をありがとうございます。ここまでの議論の結果を簡単にまとめると、

  • 基本的に盛り付けは著作性がなく、一般に料理そのものは著作物とみなされてはいないこと
  • 高級レストラン等において撮影した画像など、ブランドイメージが損なわれる可能性があるものは施設管理権侵害による問題が発生する可能性がある

ということでよろしいでしょうか。

ところで話は変わりますが、この質問を提起するきっかけになったのはcommons:File:Pancake of the phases of the moon.jpgのような特定の著作物と強く結びついた、いわゆるコラボであったりタイアップであったりする料理の、Commonsへの投稿に違法性はないか、というものです。大変ご迷惑になると思いますがこういった点ではどのように法解釈がなされるのでしょうか。有益な情報を提供できなかった上、質問を重ねてしまい申し訳ございません。--Osumi Akari会話2020年7月4日 (土) 14:41 (UTC)[返信]

「xxxをイメージしたメニュー」というのはあくまで作品を知る者がそれを連想させるものかと思いますので、料理の範疇でしかなく著作物としては認められないものかと思います(キャラクターのプリントとか粉砂糖デコとかがあるなら話は別ですが)。そのため、掲載には問題ないでしょう。施設内での撮影物についてはWikipedia:画像利用の方針#他人の施設内で撮影された写真も参考になるかと思います。端的に言いますと、施設管理者により撮影した画像に制約を指定されている場合はアップロードが出来ません。これはレストランの格やブランドイメージに関係なく、全ての施設内での画像に対して影響があるものです。尚、Commonsの画像掲載基準についてはWikipediaとは異なる基準があると思いますので、詳細はCommonsにてご確認下さい。--devicehigh会話2020年7月8日 (水) 17:37 (UTC)[返信]

  返信 @Devicehighさん、ありがとうございます。当方にてCommonsを調べていたところ、commons:Commons:Copyright rules by subject matter#Foodにて「ほとんどの場合では食品は著作権の対象となりません。しかしながらCommonsにおいては食品をベースとした彫刻やケーキの装飾などは、その無常性に関わらず十分に独創的であれば著作権が認められることが一般的に分かっています。」(訳: Osumi Akari)とありました。なんとも微妙な表記ですが参考にどうぞ。--Osumi Akari会話2020年7月8日 (水) 22:52 (UTC)[返信]
  •   追記 遅ればせながら、追加回答します。
  1. 「料理そのものは著作物とみなされてはいない」についてですが、注意すべきは「著作権は知的財産権の一つでしかない」という点です。これは、上でStrangesnowさんが意匠権について言及されているのとも関連します。知的財産権の中でも、著作権というのは独占性が弱いので、権利侵害に (相対的に) なりづらいです。むしろ特許権、商標権、意匠権といったほかの知的財産権で保護対象にならないかも慎重に調査しなければなりません。盛り付けのデザイン性が高い場合は意匠権登録されているかもしれませんし、料理のメニューが商標登録されている場合もあるでしょう。世の中には意外なものが商標登録されていて、たとえばティファニーのブランドカラーである水色は、「ティファニーブルー」としてネーミングではなく色そのものが商標登録されています (参考記事)。ですので、料理そのものが (著作権法上セーフであっても) 使い方によっては別の法律で違法判定になるかもしれません。
  2. 続いて、テレビアニメ「恋する小惑星」とコラボしたパンケーキについて。Commonsに画像アップしたのがベテラン執筆者のMiyuki Meinakaさんなのでたぶん大丈夫だと思いますが、法律のケーススタディーの位置づけで、仮定を交えて争点整理します。
    1. 料理提供している秋葉原のメイドカフェが、テレビアニメの権利者に無断で名前を使って料理提供している場合、テレビアニメという映像著作物に対する権利侵害になります。ですから、その権利侵害の結果生み出されたパンケーキの写真も、Commonsに画像アップできません。
    2. 仮にアニメ公式タイアップであったとしても、先述の通り、施設管理者たるメイドカフェが撮影NGにしていれば (例: シークレットメニュー扱い)、それをCommonsにアップできません。施設管理権で思い出しましたが、一番わかりやすい例が東京オリンピックの写真・動画SNS投稿禁止規定でしょうかね (報道記事)。ただし一般的にテレビアニメとタイアップした料理の場合、むしろSNSなどへの露出で番組の視聴率を上げたいというテレビ側の思惑があるので、今回のパンケーキに関しては撮影NGになるケースは現実的には非常に少ないと思われます。
    3. メニューが著作権保護されないからといって、お店で提供されたメニューを自宅で再現し、それをあたかもお店提供と偽ってCommonsにアップはできません。元々知的財産権の中でも商標権だけ毛色が違って、消費者保護 (間違って商品・サービスを購入したり、異なるブランドイメージを抱いてしまう) の観点が強いです。このような背景もあって、商標法ないし不正競争防止法 (米国であればランハム法英語版) のリバース・パッシングオフ英語版 (逆詐称通用) あたりが懸念されます。
    4. 仮にお店が撮影OKを出していて、料理をAさんが撮影し、撮影者と関係ないBさんが自分の名前でCommonsにアップしたらどうなるか。これは著作者人格権侵害になります。具体的には氏名表示権 (著作者の名前が適正に表示される権利) と公表権 (無断で他者に写真著作物を公表されない権利) にひっかかります。
    5. 他にも盛り付ける容器・お皿など、料理以外のものに著作物性が発生していないか、細心の注意を払って撮影する必要があります。あと、今回はレストラン料理が例として挙がっていますが、これが加工食品であった場合、パッケージが映り込んでいて、そこにデザイン性のある絵などが描かれていれば、美術著作物の複製権侵害になるおそれがあります。
  3. 7月8日にOsumi Akariさんが追加提示して下さったCommonsのルールに関連して。これに抵触しそうな具体例をご紹介しておきます。ミニチュア写真家の田中達也氏の作品には食品を使ったアートがあり、それを画像発表しています。ナス作品紅茶作品の画像をパクってきてCommonsにアップはできません。また、Natalie Sideserfの食べ物を別のお菓子で表現した動画やそのスクショ画像も、CommonsにアップNGでしょう。
  4. ただし例外があります。それはパロディインターネット・ミームです。つまり、元々の画像や動画が著作権保護の対象になっていても、それを別ユーザが勝手に加工して別目的 (風刺やおちゃらけて見せるなど) に作り替えた場合、元の画像・動画の作者に許諾を取らずともネット上にアップして構わないです。これは米国法ではフェアユース判定になることが多く、またEU法では2019年にDSM著作権指令が成立して、「パロディなどの作品までインターネットサービス事業者が著作権侵害のおそれありとして、みだりに削除してはならない」と明確に規定しています。これは各国の憲法で保障されている表現の自由を侵害してしまうため、著作権法に制限がかかっているためです。DSM著作権指令の成立過程でウィキメディア財団などが猛抗議して法案修正が入っており、何とか表現の自由を勝ち取りました。
以上、私が分かる範囲でほぼ全力で (笑) 回答させて頂きました。今後の参考になれば幸いです。--ProfessorPine会話2020年7月14日 (火) 10:38 (UTC)[返信]
  返信 @ProfessorPineさんありがとうございます。これで安心して料理の画像をアップロードできます。質問ばかりでしたが丁寧に答えていただきありがとうございました。--Osumi Akari会話2020年7月24日 (金) 11:55 (UTC)[返信]