Wikipedia:あなたが知らないかもしれないウィキペディアに関する10のコト

そもそもウィキペディアがターゲットにしているのは、ウィキペディアというプロジェクトに関する知識がない(あるいは限られている)人たちだといえるでしょう。そう、つまり「あなた」が知らなかったであろう事柄をリストにしたのがこの文書です。経験豊かな利用者が知らないというのは困りますが、そうではない人が、私たちウィキペディアンがふだん何を考えて活動しているかについて、ただしい知識をもってもらうための参考になれば幸いです。

値札はついていません

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何らかの利害関係から、ウィキペディアがあなたもよく知る巨大IT企業に買収されることを待っているのであれば、その期待に応えることは難しいといわざるをえません。ウィキペディアは、サンフランシスコを拠点とする非営利団体(501(c)(3) )であるウィキメディア財団が運営する、非営利のウェブサイトです。そのミッションはあらゆる人に「フリー」な知識を提供することであり、財政基盤は寄付や助成金によって成り立っています。

いくつか条件をみたせば誰でも「使う」ことができます

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ウィキペディアは、GNULinuxMozilla Firefoxなどのフリーソフトウェア・コミュニティにヒントを得て立ち上げられたプロジェクトで、そのコンテンツについては守旧的な著作権(ライセンス)のくびきから解放されています。その代わりにウィキペディアで採用されているのは「フリーコンテント・ライセンス」(具体的にはCC-BY-SAまたはGFDLのいずれか)として知られる仕組みです。これはつまり、ウィキペディアンによってつくりだされたほぼすべての文章は、誰がコピーし、改変し、再配布しても自由だということです。 ただしその場合は、誰の投稿であるか明記し、どのライセンスのもとでウィキペディアのコンテンツを再利用しているか宣言する必要があるだけでなく、そこにあなたがオリジナルな何かを加えたとしても、その作品をさらに別の誰かが使用することに新たな制約を加えてはいけません(これはウィキペディアが採用するライセンスが要求していることでもあります)。ウィキペディアにおける文章以外の様々なメディア(画像や動画など)も同じライセンスのもとにおかれているか、完全なパブリック・ドメインの下にあります。画像や動画データのファイルページにそれぞれライセンスが書かれていますので参照してみてください。

あなたがバニュマス語しか読めなくても大丈夫です

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残念ながら2022年の時点でこのエッセイにバニュマス語版は存在しませんが、300種類の言語のどれかががわかればウィキペディアで何かしらの記事を読むことができます。10,000本以上の記事を読めるのは約100種類の言語版だけですが、だからといってウィキペディアンが努力を怠っているわけではない、といったら言い訳がましいでしょうか。それぞれの言語版における記事同士は互いに連動しているわけではなく(一部は翻訳によって同じ内容が移入されますが)、記事の主題がそれぞれの言語において等価であるから言語間でリンクされているだけです。ただしウィキメディア財団は、20以上の国家にまたがる独立した支部組織に支えられています。この支部が、エリアごとのローカルなトピックについて財団に気づきをあたえるわけです。アメリカを含む多くの国で、ウィキペディアはトップ10には入る人気サイトになっています。

なにを修正してもよいのです

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ウィキペディアに掲載されている情報は、なにを修正してもよいのです。その修正に適切な出典がともなっているのであれば、差し戻されるかノートページでの議論を経てさらに修正されることがなければ、その記事が提供する知識の一部として残り続けます。出典がなかったり単に編集者の一意見に過ぎない場合は除去されることがありますが、そもそもウィキペディアにおいて未来永劫、記事に書かれるべきでない、という何かはありません(プライバシーに関する事柄はその数少ない例外といえるでしょう)。ウィキペディアではそのコンテンツに加えられた変更はすべて記録されています。だから復帰が必要であれば、たやすく元通りにできるのです

記事の質については気にしすぎるほど気にしています

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ウィキペディアには、記事の質をコントロールするための方針と手続きが一通りそろっています。編集者は、それぞれ関心のある特定のジャンルを対象として、投稿が行われるごとに内容についてパトロールしています。あやしい編集者の投稿履歴を追いかけたり、別の編集者が気づきやすいように問題のある記事にタグづけをしたり、荒らしを管理人に報告したり、記事がどうあるべきかについて編集者間で議論したりと、その活動はさまざまです。すばらしい記事だと受け止められれば良質な記事に推薦されますし、深刻な問題がある記事だと判断されれば削除議論が起こります。特定のジャンルの記事を改善するためにWikiProjectというサークルのような仕組みもあります。本当によい記事は、ウィキペディア内にとどまらず他のメディアでも使われるだけでなく、Wikipedia 1.0のような企画を通じ教育機関にも利用されています。ウィキペディアでは様々な事柄を改善することに余念がなく、その方法論自体をアップデートするための議論もいまなお行われています。

信用してほしいわけではないのです

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ウィキペディアのような、様々な人に開かれた現在進行形のメディアでは、編集が重ねられるごとに、あるいは記事ごとに、その質が大きく揺れ動くのはどうしようもないことです。学識に裏打ちされた非常に優れた記事がある一方で、平たく言ってゴミであると認めざるをえない記事もあります。さらにウィキペディアはいつでも誰でも編集できるので、内容に間違いがあることは珍しいことではなく、荒らされることもままあります。だからウィキペディアそれ自体は信頼できる情報源ではないのです。大事なことを決めたり書いたりするのに、ウィキペディアを使わないでください。ただ、ウィキペディアという百科事典は、記事の主題やそこで使われている用語に親しむのには優れていて、ウィキペディアの外部でその主題をさらに調べるためのキーワードを学ぶことには適している、とはいえるでしょう。記事本文ではありませんが、記事に掲載された外部リンクもまた、あなたの学習を手助けるために追加されたものです。

単独のプロジェクトではありません

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ウィキペディアは、学問と教育を普及するために始動し、成長している、「フリーな知識」を目指すムーヴメントの一部です。ウィキメディア財団が直接運営している姉妹プロジェクトだけで次のように9個あります。

Wiktionary (辞書でありシソーラス)

Wikisource (典拠となる文書のライブラリ)

Wikimedia Commons (様々なメディアのリポジトリ)

Wikibooks (教科書やマニュアルのコレクション)

Wikiversity (インタラクティブな学習支援環境)

Wikinews (一般人による、しかしジャーナリスティックなニュースサイト)

Wikiquote (様々な引用のコレクション)

Wikispecies (あらゆる種類の生物の名鑑)

Wikidata (ナレッジベース)

Wikivoyage (トラベルガイド)

ウィキペディア自体がそうであるように、上記のすべてのプロジェクトがフリー・ライセンス化されていて、また誰でも投稿が可能です。

事実をコレクションしたいだけです

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ウィキペディアには署名記事はありませんし、その匿名の記事を編集しているのも無給のボランティアです。あなたが東京の私立大学のパーマネントの准教授であっても、ログインしたときの利用者名に本名を使っていたとしても、あなたが記事に投稿した内容や記事へのコメントは純粋にウィキペディアにおける価値基準によって書くに値すべき「事実」か判断されます。独立記事を作成するような重要な投稿については検証可能な出典が必須だと考えられていますし、記事の一部を編集するときであっても編集者個人の考えを紛れ込ませることは許されていません。中立的な観点から記事を書くこともすべての編集者には求められています。信頼できる情報源にたどり着くことのできる、その記事の主題に関連した言説を集めることしかウィキペディアンには許されていないのです。

独裁制でも寡頭制でもありません

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ウィキメディア財団には理事会(Board of Trustees)が設置されていてこの理事会が最終的な意思決定を行いますが、理事にはウィキメディア・コミュニティのメンバーが複数人いる必要があります。また理事会およびウィキメディア財団の職員は、基本的に記事の編集にはかかわらず、ウィキペディアを含む各プロジェクトは自治にゆだねられ、コミュニティ内の自治が最優先されます。ウィキペディアの共同創設者であるジミー・ウェールズは、時おり英語版ウィキペディアに現れて議論の最終調整役をかったりしていますが、これはウィキペディアとしてはむしろ例外的です。ウィキペディアは透明性が保たれており、自己批判の仕組みもあります。問題点についてはオープンに議論され、特に重要な議論の結果について正式に文書化される場合さえあります。

100年先のことを考えて取り組んでいます

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ウィキペディアンは、ウィキペディアが少なくともあと100年ぐらいは続くプロジェクトになってほしいと思っています(その途中でもっと凄い別のプロジェクトに進化するのであればこの限りではありません)。ウィキペディアに関するあらゆる事柄はこの目標に向かって設計されています。コンテンツに関するライセンス、事業体制やガバナンス、特定の国家に偏らない国際性、ファンドレイジングの戦略、フリーソフトウェアの活用、そして目標を達成するための終わりのない努力。想像してみてほしいのです。あらゆる人が、すべての(これは文字通り「すべて」の)知識を自由にシェアできる世界を。そのためにはあなたの力が必要なのです。

関連項目

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