T-35 (航空機・チリ)
T-35 ピラン
エナエル T-35 ピラン(スペイン語:ENAER T-35 Pillán)は、チリのエナエルによって生産されたレシプロ練習機。ピランとは悪魔の意。
概要
編集チリ空軍が運用していたT-41およびT-34の後継としてパイパー・エアクラフトに開発を依頼した練習機であり、同社の軽飛行機でエナエルがライセンス生産も行っていたPA-28 チェロキーシリーズをベースにタンデム複座化したものである。胴体は拡大モデルであるPA-32R サラトガのものをベースにしており、曲技飛行ができるように構造を強化したチェロキー・アローの主翼を組み合わせている。
試作型PA-28R-300の1号機XBTは1981年始めに初飛行し、2号機YBTも同年後半に初飛行した。その後エナエルでの製造が始まり、翌年7月からT-35の名称でチリ空軍への配備が開始された。当初はパイパーが供給したキットによって製造されていたが、次第に国産化率が高められていった。中南米諸国を中心に輸出もされ、スペイン空軍でもE.26 タミズ(Tamiz)の名称で採用されCASAが機体の組み立てを行った。
後にエンジンをターボプロップ化したモデルも試作されたが、量産には至らなかった。