SWIMO
SWIMO(スイモ)は、川崎車両が研究開発している架線・蓄電池併用式超低床電車 (ハイブリッドLRV)。
SWIMOの名前の由来は「スムーズ (Smooth) な乗車・非電化区間への直通運転 (WIn) をする移動手段 (MOver) 」である。
概要
編集SWIMOは3両固定編成で、全長は15m。架線のある電化区間では一般的な電車同様、パンタグラフ集電により走行するが、非電化区間では川崎重工業が独自開発したニッケル・水素蓄電池である「ギガセル」の電力を使って走行する。また、回生ブレーキの発生電力や、電化区間でパンタグラフから得た電力の一部をこれらの充電用に充てることができる。5分間の充電で、平地の場合、40km/hで10km走行できる。
2006年(平成18年)8月30日、筑豊電気鉄道2000形2103編成を試験車両として使用し、ギガセル搭載運転に成功。2007年(平成19年)、播磨工場(兵庫県播磨町)に、実際の走行区間を模し、電化区間と非電化区間が混在した試験用線路を敷設する。同年9月、新造3車体連接車「SWIMO-X」を用いた試運転を開始。同年12月から2008年(平成20年)3月まで札幌市電で「SWIMO-X」と鉄道総研の試作車LH02形「Hi-tram」との比較試験を実施、営業運転は行わなかった。
諸元
編集- 軌間 1067mm
- 定員 62人(座席定員28人)
- 電気方式 直流600V
- 編成質量 30t(空車)
- 最高速度 40km/h
- 設計最高速度 50km/h
- 加速度 常用 - 2.5km/h/s、高加速 - 3.5km/h/s
- 減速度 回生最大 - 2.5km/h/s、常用最大 - 3.5km/h/s、非常 - 5.0km/h/s
- 寸法 15,000(長さ)×2,330(幅)×3,780(高さ)[mm]、底面高さ330(出入口部)・360(一般部)[mm]
- 台車 先端 - KW-184 2軸ダイレクトマウント、中間 - KW-185 左右独立輪ボルスタレス
- ブレーキ 回生ブレーキ優先電気指令式空気ブレーキ
- 主電動機 三相誘導電動機 50kW×2
- 主制御装置 1C1M IGBT-VVVFインバータ×2
- 駆動装置 WNドライブ
- 推進用電池 200Ah以上 大型ニッケル水素蓄電池
- 充放電制御装置 IGBT-チョッパ 250kW
注釈
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 川崎重工業
- SWIMOの開発について搭載用電池の実用化に目処、走行試験へ - 2006年6月14日
- SWIMOの開発に向けた電池駆動路面電車走行試験に成功 - 2006年8月30日
- SWIMOが完成 - 2007年11月19日
- 川崎重工業『Kawasaki News』
- No.149 2008 WINTER 新製品・新技術「次世代型路面電車LRV(ライト・レール・ビークル)「SWIMO」の実験車両が完成し、順調に実験走行中」
- No.152 2008 AUTUMN イラストぎじゅつ入門「架線なしで走れる次世代型路面電車LRV『SWIMO』のしくみ」
- 台車近影:SWIMOを見る(A)(B) - 鉄道ホビダス(ネコ・パブリッシング)。SWIMO主要諸元表も掲載。
- 秋山 悟「1)架線フリー技術 : SWIMO(フリー技術による軽やかな鉄道の実現,特別企画(ミニ講演+ポスター講演),J-RAILフォーラム,第16回鉄道技術連合シンポジウム(J-RAIL2009))」『交通・物流部門大会講演論文集』第18巻、一般社団法人 日本機械学会、2009年、53-56頁、doi:10.1299/jsmetld.2009.18.53。
- 秋山 悟「低床電池駆動路面電車(SWIMO) : 架線なしでスイスイ走る,人に・地球に優しい次世代LRV(鉄道,<メカライフ特集>のりもの-人と乗物のいい関係-)」『日本機械学会誌』第111巻第1075号、一般社団法人 日本機械学会、2008年、468-469頁、doi:10.1299/jsmemag.111.1075_468。