Simple Network Time Protocol
Simple Network Time Protocol(シンプルネットワークタイムプロトコル、SNTPと略記)とは、NTPパケットを利用した、簡単な時刻同期プロトコルである。
処理概要
編集SNTPのパケットは、RFC1305を抜粋し、RFC 1361, RFC 1769, RFC 2030 にて再定義される。このパケットを使用し、上位時計サーバとの通信にて、オフセットを演算する。なお、時計反映処理はNTPも同様で定義されていないためプログラマーに依存する。その理由は、時計校正にはそのまま反映してよいものと、徐々に時計を近づける方法があり、運用されるシステムによって選択する必要があるためである。
時計精度と上限
編集時計精度
編集SNTPおよびNTPも同じパケット使用しているため、処理上はNTPタイムスタンプ形式の精度が内部精度となる(例:NTPタイムスタンプ形式)。
オフセット | データサイズ | 項目 |
---|---|---|
0 | 符号無し4バイト整数 | Seconds |
+4 | 符号無し4バイト整数 | Seconds Fraction (0-padded) |
上記より使用できる時計精度は200ピコ秒まで処理可能。
2036年問題
編集このパケットは協定世界時(UTC)の1900年1月1日0時からの経過秒数で送られている。データサイズは符号無し4バイト整数であるため最大経過秒数は4294967295秒までとなり、協定世界時の2036年2月7日午前6時28分16秒(日本時間では同日午後3時28分16秒)までとなる。そのため、オーバーフローが発生するより前に継続を行うための何らかの対処が必要となる。
RFC 4330には、最上位ビットが0の場合は時刻が2036年から2104年の間であるとみなして、2036年2月7日6時28分16秒(UTC)を起点として計算することで2036年問題を回避する方法が記述されている[1]。
時計サーバとの伝送モードと同期について
編集伝送モード
編集SNTPおよびNTPを使用するには伝送モードの種類がある。NTPパケットには「Mode」と言われる3ビットのフィールドがある。多くのSNTPソフトは、サーバ・クライアントモードを使用して同期処理を行う。
mode値 | 内容 |
---|---|
1,2 | 本来は時計サーバ同士の同期に使用。UNIX系OSのNTPサーバではpeer設定にて動作するモードである。 |
3,4 |
時計サーバと時計クライアントの組合せで同期に使用。 UNIX系OSのNTPサーバではServer設定にて動作するモードである。 SNTPに使用するNTPDATEコマンドで使用される。 多くのSNTPクライアントではこの仕様が採用されている。 |
5 |
放送モードでブロードキャストまたはマルチキャストによる同期方式である。 このモードは時計サーバより一方的にNTPパケット送信する。SNTPクライアント、NTPクライアントはこれを受信し、かつ推定遅延値を加算して時計を反映する。マルチキャストで使用可能なようにIPv4はRFC-1700、IPv6はRFC-2375にマルチキャストアドレスが割り当てられている。
|
6,7 | NTPの状態の参照、設定等に使用する伝送モードである。ntpq、ntpdcコマンドで使用する。RFC-1305のオプション機能として記述されるが、SNTPはこの機能を実装する必要はない。 |
NTPは基本的にすべてのモードをサポートする必要があるが、SNTPは規定がないため、どれを利用してもよく、どれか1つサポートすれば基本的にSNTPといえる。
同期
編集SNTPは1回の通信で時計反映処理に移行できる。一般的なソフトはstratum値が正常であること、閏秒指示子(Leap Indicator値)が正常であれば時計を信用する。ただし、時計校正条件はRFCに記述はない。