Renesas RZファミリは、ルネサスエレクトロニクス(英: Renesas Electronics)が開発するマイクロプロセッサのファミリ名である[1]

RZの名称の由来は「The Zenith of Renesas micro」[2]の頭文字からきている。

概説

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RZファミリは、32ビット/64ビットのARMアーキテクチャ CPUコア、またはRISC-VアーキテクチャCPUコアを採用しており、ルネサスのマイクロプロセッサ(MPU)/マイクロコントローラ(MCU)製品ポートフォリオの中では、High-endに位置する製品群である。RZファミリには5つの製品シリーズがあり、Vision AI、産業ネットワーク、リアルタイムコントロール、IoT Edge、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)などの組み込みシステムに向けてラインナップされている[3]

各シリーズの特長

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ルネサスのユニークIPであるDRP-AIアクセラレータ[4]を搭載したVision AI向けの製品シリーズである。高速なAI推論を低消費電力で実現できるという点がDRP-AIのメリットであり、リテール、ロボット、家電、産業オートメーションなどのアプリケーションにおいて、冷却ファンなしでリアルタイムに画像のAI処理が可能。

TSN産業イーサネットプロトコルを容易に付加できる産業ネットワークアプリケーション向けの製品シリーズである。PROFINET, EtherNet/IP™, EtherCAT®, Modbus, CC-Linkを含む主な産業通信プロトコルに対応。主な応用分野は、PLC、イーサネットスイッチ、リモートI/Oなど[5]

産業イーサネット通信や各種エンコーダプロトコロルに対応したリアルタイム制御向けの製品シリーズである。インダストリ4.0および産業向けIoT(Internet of Things) 用途に、リアルタイム通信を提供。主な応用分野は、ACサーボ、産業モータ、インバータなど。

グラフィックスコア(GPU)を搭載したハイエンド HMI アプリケーション向け製品と、高速コネクティビティとセキュリティ機能を備えたIoT Edgeアプリケーション向け製品を持つ製品シリーズである。Linux OSやAndroid OS、またRTOSとのマルチOSなどもサポート。応用分野はディスプレイ製品だけでなく、ホームバッテリー制御やアセットトラッカーなど幅広い。

リアルタイム性と高速起動に優れたRTOSベースのHMIアプリケーション向け製品シリーズである。最大10MBの大容量メモリを内蔵し、MCUのような使いやすさとMPUの高機能を合わせ持つ。主な応用分野は、産業表示機器、家電表示機器、スキャナーなど。

製品ラインナップ

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Linux / Android /

Multi-OS with RTOS

RTOS
Vision AI

(RZ/V Series)

RZ/V2M RZ/V2H - -
RZ/V2MA RZ/V2L - -
Industrial Network

(RZ/N Series)

RZ/N1D - RZ/N1S RZ/N2L
- - RZ/N1L -
Real-time Control

(RZ/T Series)

- - RZ/T1 RZ/T2M
- - - RZ/T2L
IoT Edge

(RZ/G Series)

RZ/G3S RZ/Five - -
HMI

(RZ/G Series)

(RZ/A Series)

RZ/G1H RZ/G2H RZ/A1H RZ/A2M
RZ/G1M RZ/G2M RZ/A1M RZ/A3UL
RZ/G1N RZ/G2N RZ/A1LU -
RZ/G1E RZ/G2E RZ/A1L -
- RZ/G2L RZ/A1LC -
- RZ/G2LC - -
- RZ/G2UL - -

脚注

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  1. ^ https://www.mouser.jp/new/renesas/renesas-rz-32-64-bit-mpus/
  2. ^ RZファミリ カタログ
  3. ^ RZファミリ公式サイト
  4. ^ AI Accelerator : DRP-AI
  5. ^ 産業用Ethernet & Fieldbus | Renesas”. www.renesas.com. 2024年8月9日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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