OSG3 (航空機)
大西 OSG3
OSG3は、大西勇一によって設計・製作された、1970年代の日本の単座モーターグライダー[1]。OX-6型とも呼ばれる[2]。初めて飛行に至った日本製6発機とされる[3]。
設計と経緯
編集OSG3は、6基の模型航空機用エンジンを動力源とする点を特徴としており[2][3][4][5]、これらは機首近くを基部とする横方向に延びるブーム上に平行して配置され、ブームはストラットで支えられている。エンジンは6基合わせて、離陸時には10.1 hp(7.5 kW)、巡航時には7.5 hp(5.6 kW)の出力を発揮する[5]。これらのエンジンには、スロットルレバーとカットアウトスイッチが6基づつ備わっている[5]。OSG3は高翼機で[2]、胴体の上側に片持ち式単葉の主翼を持つ。尾翼の構成はT字尾翼である[1][5]。翼はヒノキ製の桁にバルサおよびフィルム張り、胴体は鋼管骨組に網張りだった[3][注 1]。材料費は50万円弱[3]。
OSG3の設計は1976年(昭和51年)1月に開始され、同年7月には製作が始められた。1977年(昭和52年)1月には機体が完成し地上滑走試験が行われ[1][4]、同年3月12日には館林飛行場で計15分間[3]、最大高度5 mの初飛行を実施した[4]。低出力のエンジンで飛行させる代償として機体構造には脆弱性があり、飛行はこの1度のみとされた[3]。後に与えられた機体記号は「JX0013」[2]。
なお、OSG3は大西が設計した2機目のモーターグライダーである。最初の機体は、スバル車のエンジンを動力とする高翼単葉機「OX5 スバルプレン」で、大西は1970年(昭和45年)7月に茅ヶ崎から伊豆大島までの120 km(75 mi)の飛行を行った[3][7][8]。
諸元・性能
編集出典:「Jane's all the world's aircraft 1977-78」[1]、「夢の6発機、ついに浮上す」[3]、「Gliders & sailplanes of the world」[5]
- 諸元
- 乗員:1名
- 全長:6.5 m(21 ft 4 in)
- 翼幅:14.1 mあるいは14.6 m(47 ft 11 in)
- 全高:1.6 m(5 ft 3 in)
- 翼面積:17.2 m2(185 sq ft)
- アスペクト比:11.6
- 翼型:Göttingen 535改修
- 空虚重量:65 kg(143 lb)
- 総重量:135 kg(298 lb)
- エンジン:小川精機 OS-60FSR 10cc2ストロークグローエンジン (1.5 hp(1.12 kW)あるいは1.7 hp) × 6
- プロペラ:2翅、0.3 m(1 ft)径
- 性能
- 巡航速度:39 km/h(24 mph、21 kn)
- 失速速度:34 km/h(21 mph、18 kn)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d Jane's all the world's aircraft 1977-78. London: Jane's Yearbooks. (1977). pp. 500 – 501. ISBN 0-354-00551-0 15 July 2023閲覧。
- ^ a b c d “自作航空機一覧(2)a”. エクスペリメンタル航空機連盟 (2004年11月26日). 2024年6月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 青木考「夢の6発機、ついに浮上す 大西氏の「華麗なるヒコーキ人生」」『航空情報』第375号、酣燈社、1977年、90,91頁、doi:10.11501/3290345、ISSN 0450-6669。
- ^ a b c 西原良一「機体も飛行場もすべて手作り その情熱はラジコンを超えた」『RC AIR WORLD』第7巻第12号、枻出版社、2008年、37頁、全国書誌番号:00112485。
- ^ a b c d e Gliders & sailplanes of the world. London: Ian Allan Ltd. (1982). p. 162. ISBN 978-0-7110-1152-6 15 July 2023閲覧。
- ^ 「自作機製作者リスト」『JABAL NEWS』第6号、日本自作航空機連盟、1984年、12頁。
- ^ “「ヒコーキ野郎」大空語る 茅ケ崎「宇宙まつり」で講演会”. カナロコ. 神奈川新聞社 (2018年6月20日). 2024年6月7日閲覧。
- ^ “Car Engine-Powered Plane Makes Flight”. The Japan Times. pp. 3 (29 July 1970). 15 July 2023閲覧。