Nao (ロボット)
Nao(発音はナオ)は自立歩行する小型ヒューマノイドロボット。フランスのパリに拠点を置く Aldebaran Robotics社により開発された。
概要
編集Naoの学術開発版は、大学や研究機関において研究目的で利用されている。一般公開は2011年以降になる予定。
ロボットによるサッカー・コンテストとして毎年開催されるロボカップにおいて、「四足ロボットリーグ」に長らくソニーのAIBOが採用されてきたが、2006年のAIBO販売終了に伴いこのリーグは終了する流れとなる。代替となるものとして、2007年8月15日「スタンダード・プラットフォーム・リーグ(Standard Platform League、SPL)」用の機種としてNaoの採用が決まり、2008年以降使用されている。ロボカップ2010では、NaoV3Rが共通プラットフォームとして採用される。
バージョン
編集- 2005年1月 - 2006年3月: AL-01, AL-02 and al.-03
- 2005年9月 - 2006年7月: AL-04
- 2006年6月 - 2007年6月: AL-05.a
- 2007年5月 - 2007年12月:AL-05.b
- 2008年3月:初めての完成版(finalized version)であるNaoロボカップ・エディションがリリース[1]
また2008年には、Naoアカデミック・エディションが教育関係者や企業に向けてリリースされた。2011年半ばには、一般公開バージョンがリリースされる予定。
沿革
編集- 2005年7月7日 - ブルーノ・メゾニエ(Bruno Maisonnier)によりアルデバランロボティクスが設立される。
- 2007年8月21日 - RoboCup 2008よりNaoが標準プラットフォームリーグ(Standard Platform League、SPL)で採用[2]
- 2008年4月3日 - RoboCup 2008用Naoの発表[3]
- 2008年5月9日 - マイクロソフトよりRobocup Nao用softwareリリース[4]
- 2008年7月14日~20日 - RoboCup 2008開催
- 2008年9月 - Naoの研究機関・大学向け販売開始。価格は10.000ユーロ[5]
- 2009年5月 - Naoのバッテリ改良[6]
- 2009年7月 - アールティが日本国内総代理店としてNaoの販売開始。
- 2010年3月5日 - 2010 5th HRI (ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interactionにて安定化制御を披露[7]
- 2010年6月21日 - 上海万博フランスパビリオンで20体のNaoがダンスを披露[8]
- 2010年10月13日 - 東大がNao30台導入[9]
- 2010年12月 - 新型Nao発表[10]
- 2011年12月9日 - Naoの第4世代Nao Next Genが登場[11]
- 2013年4月29日 - 会話型音声機能を採用し自閉症対策の提唱プログラムASK Naoを発足[12]
- 2013年11月 - ニュアンス・コミュニケーションズの会話型音声機能を採用[13]
- 2014年6月16日 - Naoの第5世代Nao Evolutionを発表。稼働時間30%向上し90分、金属製ギアで首・腰・脚・足首耐久性強化。[14]。センサー感度・音声認識機能強化。日本語音声合成エンジンに「AITalk」採用[15]。
- 2015年1月9日 - 日本サード・パーティとNaoの販売代理店契約を締結[16]
- 2015年1月24日 - 三菱東京UFJ銀行が接客用にNaoを導入すると発表[17]
- 2015年4月13日 - 三菱東京UFJ銀行本店でNaoの接客運用試験開始[18]
- 2015年9月15日 - オリックス・レンテックと日本サード・パーティがNaoレンタルサービスを開始[19]
- 2018年5月24日 - Naoの第6世代Nao6を発表。[20]
- 2018年6月26日 - 日本サード・パーティがNao6の先行販売の受付を開始。参考販売価格は140万円。[21]
仕様
編集テクニカル・スペック | |
---|---|
Height | 58 cm |
Weight | 4,3 kg |
Autonomy | 90 min. (constant walking) |
Degrees of freedom | 21 to 25 |
CPU | x86 AMD GEODE 500 MHz |
Built-in OS | Linux(NAOqi) |
Compatible OS | Windows, MacOS, Linux |
Programming languages | C++, C, Python, Urbi |
Vision | Two CMOS 640 x 480 cameras[22] |
Connectivity | Ethernet, Wi-Fi |
NAO6
編集2018年の第六世代NAO6ではATOM E3845のCPU、4GB DDR3 RAM、32GBのSSDへスペックアップされたことで起動時間は従来品NAO Evolutionの131.7秒から79.4秒へ大幅に短縮された。カメラも固定焦点レンズからオートフォーカスレンズに、解像度もトップカメラは1280×960の5FPSから2560×1920の15FPSへ刷新された。その他、全指向性マイクで音声認識力の向上、Bluetooth接続に対応しWi-Fiの高速化がはかられている。[23]
導入事例
編集- 慶應義塾大学、立命館大学、筑波大学、日本工業大学、京都大学[24]
- ハーバード大学、 スタンフォード大学[25]
- 東京大学大学院[26]
- 情報理工学系研究科(2010年10月13日)
- コネティカット州ウェストポート図書館(2014年10月11日)[27]
- ロボットスタート(2014年11月25日)[28]
- 三菱東京UFJ銀行(2015年4月13日)
- オリックス・レンテック
- 東京技術センター(2015年6月16日)
- ハウステンボス[29]
- 変なホテル(2015年7月17日)
- 大垣共立銀行[30]
- OKB本店ビル17階展望室(2015年10月7日)
- ヒルトン『コニー』(2016年3月09日)[31]
- ロボット旅日本一周〜タカラモノクダサイ〜
脚注
編集- ^ Standard Platform League Technologie-Zentrum Informatik und Informationstechnik(英語)
- ^ Naoによる新競技「Standard Platform League」を設立
- ^ “Les News d’Avril pour Nao d’Aldebaran Robotics : Nao en Production”. Robot Blog (2008年4月3日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “The MSRS Nao Simulation Competition for Robocup 2008 is now available”. Microsoft Robotics Blog (2008年5月9日). 2014年12月23日閲覧。
- ^ “NAOが世界中の研究機関で支持されるわけ仏Aldebaran RoboticsメゾニエCEOに聞く”. ロボナブル (2010年3月25日). 2014年12月23日閲覧。
- ^ “アルデバランロボティクスの研究プラットホーム「NAO」、大阪大学でデモ”. Impress Watch (2009年12月10日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “仏Aldebaran Robotics、Naoによる安定化制御を披露、押されても安定して歩行”. ロボナブル (2010年3月12日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ フランスのロボット『nao』がチームダンス動画
- ^ “東大がフランス製人間型ロボット30台を導入、人とのコミュニケーション研究に利用”. 日経テクノロジー (2010年10月13日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “Aldebaran's New Nao Robot Demo”. IEEE Spectrum (2010年12月21日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ Nao Next Gen―転んでも自力で立ち上がり、顔認識して会話もできるロボット登場
- ^ “NAO robot revolutionizes education for children with autism”. Ubifrance (2013年4月29日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “Aldebaran、Nuanceの音声認識技術をヒト型ロボット「NAO」に搭載”. マイナビニュース (2013年11月6日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ 進化したNAOを公開:強化されたロボットと、より包括的なオペレーティングシステム
- ^ Aldebaran、Atomを搭載する第5世代目のロボット「Nao Evolution」
- ^ “JTP、Aldebaranとヒューマノイドロボット「NAO」の販売代理店契約を締結”. マイナビニュース (2015年1月13日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “接客のヒト型ロボット導入へ、19カ国語対応 日本の銀行”. CNN (2014年1月24日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “三菱UFJ銀、接客ロボを本店の店頭で公開”. 産経ニュース (2015年4月13日). 2015年4月13日閲覧。
- ^ “人型ロボット「NAO」のレンタルサービスを開始”. オリックス・レンテック (2015年9月15日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “新たな「Nao」がパリのPepper Worldで初お披露目 フランス大統領に出会う”. ロボスタ (2018年5月25日). 2018年5月26日閲覧。
- ^ “日本サード・パーティ、ヒューマノイドロボット「NAO」の新バージョン「NAO6」の販売受付開始と先行販売キャンペーン開始を発表”. 日本サード・パーティ (2018年6月27日). 2018年6月28日閲覧。
- ^ Nao - a robot that sees, speaks, reacts to touch and surfs the web gizmag.com(英語)
- ^ “NAO6 the versatile humanoid robot”. softbankrobotics. 2018年6月28日閲覧。
- ^ “東大、ヒューマノイドロボットを活用した教育と研究を開始”. マイナビニュース (2010年10月4日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “日本人を魅了するフランス生まれの小さなロボット「ナオ」”. 在日フランス大使館 (2011年1月7日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “ヒューマノイドロボットNAO を用いた教育と研究を開始”. 東京大学 (2010年10月21日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “19言語を話す人型ロボット、米図書館で活躍へ”. ウォールストリートジャーナル (2014年9月30日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “アルデバランNao Evolutionが当社に入社!”. ロボットスタート (2015年11月25日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “ハウステンボスが「変なホテル」ロボットが接客 園内に7月開業、概要を発表”. 日経新聞 (2015年1月27日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “人型ロボットの導入”. 大垣共立銀行 (2015年10月7日). 2015年12月19日閲覧。
- ^ “世界初、Watson搭載のロボットコンシェルジュがヒルトンホテルで採用される”. ギズモード (2016年3月11日). 2016年3月17日閲覧。